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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第1章 覚醒と覚悟
19/65

閑話 俺のヒーロー

測定後のヒロの話です。( • ̀ω•́ )✧

 「な、な、な、なんじゃこりゃぁぁぁああっーーーーっ!!!」


 俺は今、七星天兵団の第四師団本部に居る。

 何故かというと、エレメントを測定するマジックアイテムで自分のエレメントを判断する為だ。


 長い行列と儚い失恋(自称)を経て、ようやく俺達の出番が来た。

 そして、5部屋で2人ずつ行われる測定。

 ……スズに拒絶されて、と言うか俺よりカイとスズが兄弟だと思われたらしい。

 くそっ!!確かに俺達はみんな黒髪だが、スズは顔だけは可愛い(ヒロには厳しいから優しいと思わない)し、カイは俺から見てもカッコいいし、あっちが美男美女の兄弟に見られる事は多い。

 だが、俺だってかなり顔は良い筈だっ!!!

 何故こんなにもモテないんだっ!!!


 と言う、意味わからない思いで測定に望む。


 「おーい、君は説明を聞いていたのかい?」


 「えっ?…す、すみません…。」


 「…………。まぁ、いっか。

  とりあえず、オーブに手をかざして。」


 「はい…。」


 1人で演劇をしていた俺に呆れながら測定を促す測定員。

 やばい、全く説明を聞いてなかった…。

 まぁ、成るように成るだろ。……成るかな?…。


 そして、俺はオーブに手をかざした…。


 「な、な、な、なんじゃこりゃぁぁぁああっーーーーっ!!!」 


 オ、オーブが四色に輝いている。

 こ、これはもしかしてっ!!


 「こ、これはっ!!!〚月〛のエレメントかっ!

  はぁ、キサラギ家の人ならそう言って下さいよ。

  親と血が繋がっているかどうかをこっそり測定って感じですかね。それなら専用の部屋でやってもらわないと困りますよ。」


 測定員が良くわからない事を言っている。

 〚月〛のエレメント?

 でも、親父からキサラギがどうとか聞いた事あるような…。


 「俺がキサラギ家のヒロです。

  ………って、キサラギ家って何です?」


 「…………。

  では、オーブにをかざして下さい。」


 測定員は何事もをなかったかのように、測定を促した。


 「うぉぉっーーいっ!!!ちゃんと測定してたでしょぉぉーっ!!」


 「間違いかもしれません…。えぇ、きっとそうだ。こいつはキサラギ家の者ではない。」


 「な、なんか酷い言われようだな…。

  分かりました。もう一度やりますよっ!!

  やればいんでしょっ!!」


 俺はもう一度オーブに手をかざした…。

 オーブが四色に輝き始める。


 「ほらね。同じ結果になりましたよ。」


 「………。このマジックアイテムは壊れているようです。

  すぐに取り替えてくるからちょっと待ってろぉおおーーっ!!」


 測定員は物凄い勢いで走って部屋を出て行った。

 部屋に残された俺と次の測定待ちの子供。


 「うぉぉっーーいっ!!!

  そこまで信じないかぁっーー!!」


 「お前、何やったんだよ…。」


 「何もやってねぇよっ!!てか、俺より年下の癖にお前とか言うなっ!!」


 「だって、お前はお前だろ?」


 「うるせぇっ!!てか、お前は俺等の後ろに並んでた奴だろ?カイが話し掛けた時は敬語だったじゃねぇかっ!!」


 「お前とカインさんを一緒にするなよ。」


 「うぉぉっーーいっ!!!カイはさん付かよっ!!扱いが違い過ぎるだろっ!!」


 「お前顔だけは良いけど、ナンパしまくって振られて凄いダサかったからな。その点、何もしなくてもカインさんは周りの女達からもモテた。

  さて、扱いの差が分かったか?」


 「……何も言えねぇ…。」


 近くにいたガキに打ちのめされた俺。

 そんな俺達の所へさっきの測定員が帰って来た。


 「待たせたな、この野郎っ!!!

  さて、勝負だぁぁぁーっ!!」


  「うぉぉっーーいっ!!!

   なんの勝負だよぉおおーーっ!!」


 結局、俺は10回以上測定して1時間以上時間がかかり、ようやく認めてもらえるようになった。


 「ヒロ様、スズ様がお待ちです。

  私と一緒にお部屋に参りましょうっ!」


 「お前……。態度が…。」


 なんか納得出来無かったが、俺はスズの待っている部屋に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「スズ?大丈夫か?」


 俺が部屋に入った時に、スズは上のうわのそらだった。


 「………兄貴か…。そっちも〚月〛のエレメントだった?キサラギ家とか言ってたけど…。」


 「まあな…。〚月〛のエレメントの事は知らなかったけど、キサラギって言う言葉は親父から聞いた事はあったな。

  まさか、皇族だとは思わなかったけど…。」


 「やっぱり、私も皇族だったんだ…。

  父さんは何で教えてくれなかったんだろう?」


 「俺も親父の考えは分からないけど…。まぁ若い内は好きなようにやれって感じじゃないか?」


 「…確かに父さんなら言いそうだね。母さんも色々と経験して頑張れとしか言わなかったし。」


 俺達は…と言うか俺の両親は皇族って訳だ。

 何となく親父の考えは分かるけど、直接聞かないとなんか納得出来無いかな。

 

 「よしっ!!親父とお袋に会いに行こうぜっ!!」


 「えっ!……そうだね、私もこのままでは気持ちの整理が出来無いし、聞きたい事もある…。」


 「じゃあ決まりだなっ!

  ……そういえばカイは何処だ?」


 この部屋にはスズと俺しかいない。

 部屋に入った時から思っていた事だ。


 「…分からない。私が動揺して測定員の人にこの部屋まで連れて来られたから、その後の事は知らないよ…。」


 「まぁ、俺もびっくりしたけど……。 

  他の事が大変だったから動揺する暇も無かったかな…。」


 あの測定員もあのガキもふざけやがって…。

 最終的には嘘付きの犯罪者扱いをしやがって……。


 「まぁ、カイなら大丈夫だろ?

  あいつなら〈また新たな四色のエレメントがっ!!〉とか明日には騒がれてるかもしれないし…。」


 「そうだね。私達も…エルミナちゃんも皇族なのに、一番凄いカイ兄が皇族じゃないとかあり得ません。」


 「ははっ!確かにな…。

  とりあえず、親父達に会いに行くかっ!」


 「うん!……兄貴のこれまでの事も報告しないと。」


 「…………ほ、報告って何?」


 「父さんから兄貴がバカやってたら、ちゃんと報告しろって言ってたからね。

  その報告だけど…………死んだかな兄貴…。」


 「うぉぉっーーいっ!!それって死刑宣告かよぉぉーーっ!!助けてくれぇぇえーっ!!!」


 ヤ、ヤバイ…。急に親父達の所へ行きたくなくって来た。絶対に修行という名の地獄が待っている…。


 「や、やっぱり会いに行くの「駄目っ!!」………………はい…。」


 さようなら、俺の青春の日々…。

 さようなら、可愛い女の子達…。


 そして、俺達は親父達の居所を探したのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時間がかかると思っていた捜索だったが案外簡単に見つかった。

 それは、キサラギ家の城らしい。

 ……俺等を小さい家に押し込めて、親父は城かっ!!

 

 そして、俺達はキサラギ家の城に向かった…。


 「俺達の実家がオニキス家の圏内にあったとは…。」


 「確かにオニキス家の圏内には皇族が一つ居るって話だったけど……まさか私の実家とはね…。」


 そう、俺達の実家はオニキス家の圏内にあった。

 だが、オニキス家の圏内は30カ国があるくらい広い。そして俺達の実家はそのオニキス家の圏内でも端っこにある都市【フジノハマ】にある。

 皇族が治める都市だけあって、かなり広い大都市だ。皇族も天族と同じで普段は1つ都市だけで行動するみたいだ。

 天族と皇族でその家の圏内を統治って感じかな。

 キサラギ家は第四師団の副長を代々努めているらしい、まぁ親父がその副長だ。


 「……。なんか広いけどフォルティナみたいな大都市って感じでは無いな。東方の町並みだし、魔導具とかはあんまり使ってない。」


 「私の聞いた限りでは、ここの皇族…父さんがあまり道具に頼るなって感じみたいね…。」


 「流石だな…。どこにいても熱い親父だ…。」


 とか言いながら俺達はフジノハマを巡り、キサラギ城に足を運んだ。

 そして、今は門の前に居る。


 「で、でかいな…。これが俺の実家…。」


 いやぁ、凄い大きい城だな。 

 上見てたら首が痛くなったぜ。


 「おお!もしかして、ヒロ様とスズ様ですか?お待ちしておりました。さぁ、どうぞこちらへ。」


 初老のおじさんに誘導される俺達。


 「えーと…。よろしくお願いします?」


 「私はキサラギ家に仕えている者で、サトル・マツノギと申します。それなので、敬語はお止めください。」


 「じゃあサトルさん、よろしく!

  知ってると思うけど、俺はヒロでこっちがスズね。」


 「サトルさん、よろしくね!」


 「はい、こちらこそよろしくお願いします。

  では、キグロ様とライア様がお待ちですので直ぐに案内します。」


 「「りょうかい(はい)。」」


 サトルさんに導かれながら俺達は親父達の元へ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ヒロにスズ、久しぶりだな。元気でよかった。」


 「そうですね。ヒロもスズも立派に成長していますね。」


 城の1室で、親父とお袋が迎えてくれた。

 親父の名前はキグロ・キサラギ。

 お袋の名前はライア・キサラギだ。

 

 「元気でよかった…じゃねぇよっ!!何だよ皇族って、聞いてねぇよっ!!」


 「そうだよっ!!私かなりびっくりしたんだからね。二人ともランクA冒険者って言ってたのに…。」


 「まぁ、お前らには皇族としてではなく平民と一緒に生活して、世の中の事を知って欲しかったんだ。ランクA冒険者なのも本当だしな。

  エレメント覚醒まではバレる心配無かったんだが……フォルティナがいらん物を作りおってっ!!」


 「まぁ、そういう事だよな…。逆に今更皇族って言われても困るんだけどな。」


 「直ぐに俺の跡を継ぐわけじゃない。とりあえず、七星天兵団に入団しなければならないからな。

 普通は15歳になったら入団試験を受ける事になるが、皇族と天族の試験は無いからそのまま仮入団だ。

 しかし、仮入団してから3年間は七星学校で色々と学習をしなければならない。

 そして、卒業したら本入団となる。」


 「が、が、学校…だと?………。」


 「ん?嫌なのか?」


 「やったぁぁーーっ!!!!学校といえば青春っ!!!

  可愛い女の子が俺を待ってるぜぇぇええーーっ!!!!」


 俺を見て微笑んでいるお袋は…。


 「あらあら、ヒロは相変わらず元気ですね。」


 と、温かい目で俺を見ていたが。

 親父とスズの方から冷気が…。


 「ほうほう…。可愛い女の子がどうかしたのか?」


 「自爆死、バカ兄貴…。死んでこい…。」


 お袋と違いとても冷めた目で見てくる奴ら…。

 し、しまったっ!!!!これが誘導尋問っ!!


 「あー…。よ、用事を思い出したか「「黙れ。」」……………はい…。」


 「まだまだ根性が足りないみたいだな。よく分かった。お前は学校まで3年間、しっかりと鍛えて殺るよ。」


 「な、なんか違う字が見えた気がする…。」


 終わった…地獄行き決定だ…。

 さようなら、俺の3年間の青春の日々………。


 「そういえば、エルミナが皇族になったんだな。正直びっくりしたぞ。そのうち我が城にも挨拶に来ると思うが。」


 「うん、そうなんだよ。私もびっくりしたけど、エルミナちゃんは可愛いし頑張り屋さんだからね。皇族って、言われても納得出来るかな。」


 「まぁ、エルミナは…。てか、ヒロはエルミナの事が好きだったよな?」


 いきなり、息子に爆弾を投下する親父。


 「ちょ、ちょっとっ!!」


 「初めて会った時に、完全に一目惚れしたのを今でも俺は覚えてるぞ。」


 「あ、あれは……。エルミナにはカイが居るし…。」


 俺はエルミナが好きだ。

 確かにエルミナには一目惚れだったが、俺よりカイの方が相応しいと思っている。


 「はぁ…。情けないっ!!好きな女の為ならどんな事にでも挑めっ!!!当たって砕けろやぁっ!!」


 「うぉぉっーーいっ!!結局砕けてんじゃねぇかっ!!親父も分かってるんだろうがぁっ!!」


 「お前ではカインに勝てない事は分かる。俺の息子ながら情けないが…。才能は同じでも、鍛錬に取り組む姿勢が違う。」


 「俺も初めはエルミナを…。でも、カイの頑張りは凄いっていうか、執念と信念が強いからな…。諦めてしまった…。」


 「カイ兄に、兄貴が勝てるわけ無いよ。カイ兄は自分に物凄く厳しくて他人に甘い。兄貴は自分に物凄く甘くて他人も甘い。………そして、バカ、キモい、死ね。」


 「うぉぉっーーいっ!!最初の言葉は合ってるけど、最後のはただの悪口じゃねぇかっ!!」


 「エルミナちゃんを、諦められずにナンパに走るバカにはこれで十分でしょ。」


 な、何も言えねぇ…。

 俺とカイの違い。俺ももう少し頑張ったら、エルミナの隣に…。

 同じ皇族っていうのもあるし…。

 久しぶりに、もう一度真剣に頑張ってみるかっ!!

 

 「やってやるぞぉぉおおおおーっ!!!」


 「「うるさい、黙れ。」」 「ふふっ、元気ですね。」


 「………はい…。」


 相変わらず、温かいお袋と冷たいスズと親父だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「………スズ…元気出せよ…。」

 

 スズは自分の部屋に閉じ篭っている。

 俺達は城に行き、2ヶ月後にオボルに帰った…。

 そして、オボルの家で発見したのは、自分が無能者である事と俺達に感謝していた事を書いたカイの手紙があった…。


 スズは大泣きして、大変だった…。

 直ぐに探しに行くとか、

 私が余計な事言ったからとか、

 エルミナちゃんを裏切って自分が代わりになろうとしたから罰が当たったとか…。

 

 スズがカイの事を大好きだったのは知っているし、エルミナに遠慮してあまり積極的に出来なかったのも知ってる…。 

 でも、スズのせいではない…。

 

 ………はぁ…。カイの野郎…。

 あんな手紙を残しやがって…。

 スズは見てしまったから仕方ないけどな。

 自分の事は忘れて他の男と一緒に幸せになってとか、エルミナに見せられる訳無いだろっ!! 

 お前、好きと言う感情知らないからな…。

 おもわず俺が手紙を持って来てしまった…。

 

 てか、燃やしたからなっ!!

 無能者とかそんなの関係ないわっ!!!

 運とか遺伝とか努力しても手に入らないもので、おまえとの関係を無かった事になんかできるかっ!!

 一番誰よりも頑張っていたお前を、そんな事で馬鹿にする奴は俺が絶対に許さないっ!!

 お前は…俺のライバルで、親友で…。

 

 俺達のヒーローだったんだからなっ!!

 いつもカッコよくて、誰にでも優しくて、困った時には絶対に解決してくれる…。

 ピンチの時には全力で挑んで、ボロボロになりながら俺達を守ってくれる…。

 そんなお前ならエルミナもスズも2人を任せられると…俺はずっと…。


 よしっ!!次会ったらとりあえず殴ろうっ!

 スズを泣かした事、エルミナを諦めた事への罰だっ!!

 待ってろよカイ、強くなった俺に平伏すがいいっ!!

 ………でも、俺よりも強かったらどうしよう…。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 結局、スズは2週間後に1人で気持ちを整理したみたいで、今までよりも張り切っている。


 「バカ兄貴っ!!カイ兄はきっと凄い力を手に入れて戻って来る。その時に〈役に立ちませんでした〉とかならない為に、もっと私達もがんばるわよっ!!」


 「はぁ…。落ち込んでいる時は静かで可愛かったのに…。」


 「私はカイ兄に可愛いって言って貰えればいいの。こんな私でも、ずっと優しくて可愛がってくれたのはカイ兄だけだからね…。

  ……お前はとりあえず死ね…。」


 なんか、別にスズが元気にならない方が良かったと思って来た…。

 俺を心から癒やしてくれる存在はいつ現れるだろう…。


 まだ見ぬ恋人に思いをのせる俺であった…。

 自分で言っててキモいな俺…。

次回、登場人物の紹介です。

その後、2章に入ります。


読んで頂きありがとう御座いました。

ブクマ登録、感想と評価等もよろしくお願いします(;•̀ω•́)

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