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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第1章 覚醒と覚悟
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14話 同じ道を歩む為に

ナニカとは…。

 

Twitterにて【ナニカ】のイメージを載せました。宜しければ見て行ってください。

 普通の人は、魔力と闘気のどちらかしか持ってない。もしくは、両方持っていてもどちらかが極端に少なくなっている。

 しかし、カインは魔力も闘気も両方が普通の人よりもかなり多い、稀なタイプだ。

 だが、両方多くても放出する場所は魔力も闘気も同じである。なので、魔力か闘気のどちらか片方ずつしか放出は出来ない。要するに放出するのを止めたり、流したり出来る部分があるのだ。


 カインは現在その両方を放出している。

 それを可能にしたのは、魔力と闘気を放出する場所を無理やり破壊した為だ。水の出る蛇口と一緒で、破壊した事により流れる様に魔力も闘気も両方を放出することが出来ている。

 だが、逆に壊した蛇口を元に戻すことは出来ない…。

 それに壊れた蛇口は調節できなくなるので、勢い良く全ての力を放出してしまう…。

 

 (彼女を守ると決めたら、死ぬ気でやったら壊すことができた…。

  それに、壊して逆にスッキリした感じかな。重りがとれたって言うのかな?まぁ、これで流れ出る魔力も闘気も止めることが出来なくなったという事か…。

  駄々漏れだな。両方合わせてかなり量を持っていると言ってもどのぐらい保つかな。

  ……考えるのはやめよう。まぁ、とにかく両方を合わせて”力”に変えるかっ!!)


 「うおぉぉぉぉーーっ!!!」


 カインは、叫びながら無理矢理闘気と魔力を合わせようとしていく。

 徐々にではあるが周囲の”力”が結合していく。


 (………この力は。俺の中のコレはなんだ?一緒になってしまったコレは闘気でも魔力でも無いみたいだ…。

  まぁ何でもいいか、コレで彼女を守れるのなら。)


 パァンッ!!!


 ミスリルソードはカインの”力”に耐え切れず弾け飛んでしまった。

 

 (……武器が無くなってしまったが、それでも関係ないっ!

  今、俺の出来る事を全力でするだけだっ!!)


 カインの力が安定してくる。

 魔力でも闘気でもエレメントでも無い”力”をカインは放出している。


 (安定したか…。何かスッキリとして変な感覚だな。…まずは試してみるか。)

 

 カインは、近くにいる小さいナニカ4体を視覚に捉える。

 その瞬間。カインのいた場所には何もいなくなり、小さいナニカの1体の前にカインがいた。


 「無手の型[手衝連破]っ!!」


 ドォォォォンッッッ!!


  カインの手から複数の衝撃波が発生する。狙った1体のナニカだけで無く、周りのナニカまで全てを飲み込み吹き飛ばす。


 (っ!!1体吹き飛ばすつもりが全部か…。普段の威力より格段に増しているな。)


 自分で放ったのに、驚いてしまったカイン。

 無手の型は、カインがヒロとスズの親に習った刀術の1つである。例え、刀を無くしても戦い続ける為の技だ。

 本来は対人戦に向いている。


 かなり遠くまで吹き飛ばされた、小さいナニカ達…。


 (………。この”力”は俺の身体能力をかなり向上させているな。3倍以上ってところか。しかも、エレメントと一緒で肉体強度も同時に上がっている。これなら肉体断裂はしないでよさそうだ。)


 予想以上の効果に少し頬が緩むカイン。

 この”力”なら行けると思っていたが。


 「「「「グォォォォォッ!!!」」」」


 小さいナニカ達は何事も無かったかのように、カインに向かって移動してくる。


 (ちっ!!あれも効いていないか…。だが少しは手応えがあった。)


 カインは高速で移動を開始する。小さいナニカ達に向かって追撃を開始した。


 「……………カイくん。」


 エルミナは遠くからその様子を眺めていた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ちょっ!!!全く効いて無いんだが、どうすれば良いんだよっ!!!!」


 小さいナニカ2体から距離を取りつつヒロが叫ぶ。さっきからヒットアンドアウェイの繰り返しだ。

 中級の闘技を放ったら、直後に離れるを20分間以上続けている。


 「バカ兄貴っ!!!嘆いてる暇があったらもっと攻撃しなさいっ!!!私達の方は2体しか相手にしてないんだからねっ!」


 「わ、わかってるよっ!!!でも、全く手応えがないし。キモい黒い光線みたいなの放ってくるし。かなり速いし。………またかぁぁぁっ!くそぉぉぉぉっ!!!!」


 小さいナニカが黒い光線をヒロに向けて放つ。光った瞬間にサイドステップでぎりぎりで躱すヒロ。


 「時間稼ぎだけでも出来ればいいのよっ!!!……それよりも、4体いるカイ兄の方が心配だよ…。エルミナちゃんも、追い付いても相手の攻撃は避ける以外は防げないし、後衛には躱せない速度だし…。」


 「カ、カイなら大丈夫だっ!!!あいつの強さは俺達も良く知ってるだろ?エルミナもカイが付いているんだっ!!!心配するなっ!!」


 急に元気が無くなっていくスズに、安心させるように語りかけるヒロ。正直ヒロも心配であるが一応兄として弱気を見せるわけにはいかない。


 「わ、わかってるわよっ!!!………バカ兄貴。」


 スズもヒロが強がっている事が分かった。スズもこれ以上弱気にはなれない。


 「よしっ!!!体力が続くまでヒットアンドアウェイだっ!!!」


 「はぁ…。私も頑張りますかっ!!」


 ヒロとスズは新たなに意気込んで小さいナニカと対峙する。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ミスティは四色のエレメントを顕現させている。エレメント〚天嵐〛である。


 (はぁ…。顕現させたのは久しぶりだねぇ。まぁ魔法が効かないんじゃ仕方ないか。)


 大きいナニカは圧倒的な強いエレメントに対して警戒を強めている。そして、また黒い光線を放ってきた3つ同時である。


 「ははっ!あんたにもエレメントが分かるのかい。ようやく本気を出してきたようだねぇ。だがこうなると、あたしも手加減は出来ないよっ!!」


 ミスティは黒い光線に対して、右手を前に構える。四色のエレメントが収束していく。


 「〚テンペストドライブ〛っ!」


 四色のエレメントから激しい渦の奔流が発生し、3つ黒い光線を飲み込んでいく。そのまま勢いを落とさずに大きいナニカに迫っていく。

 咄嗟に回避を始める大きいナニカだったが、完全には躱すことが出来ずに右部分が消失した。

 

 「ギャァァァッーーーー!!」


 「なるほどねぇ。あんたはエレメントが弱点って訳かい。魔法は効いたとしても、超速再生していたみたいだけど、エレメントの攻撃なら再生出来ないんだねぇ。」


 先程まで、ミスティの魔法は全く効いてない事は無かった。何故、魔法で倒せなかったのか。それは、最上位魔法なら損失になるダメージを受けてもナニカは直ぐに再生してしまっていたからだ。

 しかし、エレメントによる攻撃ならダメージさえ通れば、再生出来ない事が発覚した。


 (なるほどねぇ。魔法や闘技は、ある程度は吸収出来るが、その吸収量を超えるとダメージとして喰らうって訳かい。

 そして弱いエレメントも吸収出来るみたいだけど、あたしクラスのエレメントでは完全に吸収出来ない。しかも、エレメントによるダメージは魔法と闘技とは違って再生出来ないって事だねぇ。)


 大きいナニカの様子を観察しながらミスティは分析を始める。

 1番の難点はナニカの攻撃吸収能力と再生能力だった。しかし、両方の対策が出来て少し余裕が出てきた。


 (…………。って事は、カイン達が危ないねぇ。あの子達なら吸収量を超えてダメージをを与える事が出来るかもしれない。だけど、エレメントが使えないあの子達では再生能力の方はどうしようもないか…。

  あたしが、なるべく早く向かわないとねぇっ!!)


 ミスティは大きいナニカへ最後の攻撃を放つ。


 「あたしにも用事が出来た。あんたはもう用済みだよっ!!撃滅成る滅びを〚ラストテンペスト〛っ!!」


 四色のエレメントが、ナニカに向かって収束していく。ナニカの周り数百mの範囲で次々に嵐、竜巻が発生して行く。まるで天変地異だ…。

 

 …しばらく続いていた嵐は止み、大きいナニカのいた地点には何も残されていなかった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ミスティとはかなり離れた場所でカインは小さいナニカ4体を相手に戦っていた。


 「無手の型[猛虎双連撃破]っ!!」


 カインの両手から無色の虎が2頭出現し、周りに強い衝撃波を発生させながら小さいナニカに迫る。


 ブォンッッッ!!ブォンッッッ!!


 2つの轟音とともに、2体のナニカの身体が弾け飛ぶ。

 しかし、殆ど弾け飛んでいたナニカの身体が直ぐに再生を始める…。

 そして、攻撃を受けていない小さいナニカの方から黒い光線が発生し、カイン迫る。


 「くっ!!!」


 咄嗟に超スピードで回避するカイン。そして、そのままナニカ達と距離を取る。


 (やっぱりダメか…。この”力”で底上げされた闘技を放ってダメージを与えられるようになった。でも、どんなにダメージを与えても直ぐに再生するから全く意味がない…。

  ……………どうしようか。このままでは俺の”力”を維持出来なくなってしまう。さっきからずっと垂れ流しで調節も出来ない。

  時間が無い。奴らは破壊した部分から再生している。……。もしかすると身体全体を同時に一瞬で消滅させることが出来れば行ける…か?

  くそっ!とりあえずやるしかないっ!!)


 カインは、次の攻撃に全ての力を使って放つ事に決めた。

 近付いて来る4体を、上手く牽制していたカインは行動を開始する。


 カインは、4体いる小さいナニカに向けて一体ずつに、衝撃波を放つ。ダメージを与えられ無い攻撃でも、吹き飛ばせる事は出来る。その事が分かっていたカインは、全力の一撃を放つ時間を作る為にナニカと大きく距離を取る。

 そして強く地面を蹴り、上空へ跳んだ。


 (これで決まらなければ、今の状態は維持出来なくなってしまう。絶対に失敗は出来ないか…。だが、エルを守る為にも必ず成功させるっ!!)


 「うおぉぉぉぉーーっ!!!!!!」


 下にいる小さいナニカに両手を向ける。そして、最大の攻撃を放つ為に叫びながら全ての力を手に込める。

 身体からどんどん無くなっていく感覚を感じながら、それでも収束させていくカイン。

 そして…。


 「消え失せろぉぉーっ!!!![天衝滅波]っ!!!!!」


 ブォォォォンッッッッッッッッ!!


 相手を破滅へと導く圧倒的な衝撃波が小さいナニカへと迫る。

 4体全てを巻き込みながら、地面もドンドン削れていく。


 纏っていた”力”が消えて、落下していくカイン。


 (……げ、限界か…。身体の感覚が全く無い。身体に力が入らない…。)


 ドォォンッッ!

 そのまま地面に叩き付けられるカイン。

 足が変な方向に曲がり、完全に骨が折れているようだ。

 意識がもうろうとしながら、小さいナニカ達がいた方向を見るカイン。

 煙が立ち込めて全く様子が分からない。


 (くっ!!!どうなったんだっ!!!)


 煙が晴れてきて、だんだんと視界が良くなって行く。

 そして、小さいナニカ達がいた地点には何もいない。


  …………ドクッ!!


 (い、今の感覚は……まさか…。)


 何も無かった地点から、黒い塊がどんどん集まっていく。

 そして、何事も無かったかの様に4体の小さいナニカがそこには居た。


 (なっ!!!!…………。ま、まだだっ!!)


 驚くカインは、まだ諦めず身体を動かそうとするが…。


 「動けっ!!動けっ!!俺まだ戦えるっ!!!動けぇぇぇぇぇっーーー!!!!」


 叫びながら身体を動かそうとするが全く動かない。

 そんなカインの元に、向かい始めるナニカ達。


 (彼女を守るって決めたのに……、く、くそぉ………エル…。)


 どんどんナニカ達は近づいて来るが何も出来ないカイン。

 自分の無力を悔みながら意識が消えていく…。


 「だ、だめぇぇぇぇーーーーーっ!!!!」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私は、彼がナニカと戦っているのをずっと見ていた。

 彼の新しい”力”を見て、また何も出来ずに守ってもらうのだと思っていた…。

 


 一人で彼が戦っているのを見てるのも、自分が守ってもらうのも今回だけじゃない。

 

 ずっと今までそうして来た。

 私と彼はずっと一緒だった。私が私として意識し始めた小さい頃からずっと一緒だった。

 気が付けばいつも彼がいた。

 いつも私を守ってくれていた…。

 

 3歳の頃から彼はずっと棒を振っていた。

 私が何してるの?と尋ねたら、私を守る為と言われてとても嬉しかった。

 

 彼はずっと棒を振っていた。孤児院のお手伝いと勉強する時以外はずっと振っていた。

 私はそれを近くでずっと見ていた。

 飽きもせずに何時間も何時間も振っていた。

 

 私が遊んで欲しいと言ったら、直ぐに中断して一緒に遊んでくれた。嫌な顔1つもしないで笑顔を私に向けていた。

 私はその笑顔が好きだった。

 

 私と彼がずっと一緒なのは、当たり前の事だと思っていた。

 1日以上彼と離れたことは無い。今までずっとだ。

 寝る時だって一緒に寝ている。大きくなってからは少し恥ずかしかったけど、少しでも彼と離れるのは嫌だった。

 一緒に寝ていると、毎日彼は布団から抜け出して何処へ行ってしまう。

 私はそれに気が付いていたけど、寝た振りをしていた。私が起きていると彼は抜け出して行かないからだ。

 彼が布団を抜け出してしていた事は分かっていた。彼は外でずっと棒を振っていた。大きくなってからは剣を振っていた。

 そして、辺りが明るくなり始めた頃にまた布団に戻って来る。なので、彼は毎日殆ど寝ていない。

 私も、それを遠くでずっと見ていた。そして彼が戻って来るのを確認してから先に布団に入り、また一緒に寝てた。


 彼が頑張っているのは私の為だと分かっていたから、私も頑張った。

 治療院のお手伝いをしながら、空いた時間に魔法を習った。その日から彼が素振りをしている間、私は魔法を練習する事に決めた。

 私も頑張って練習をして、守ってくれる彼の助けに少しでもなりたかった。

 私の方からも何かをしてあげたかった。


 初めて戦った時も彼は私を守ってくれた。私が危ない時は無茶をしてでも守ってくれた。

 私は、ずっと守ってもらってばかりだ。

 私が信じていれば、彼はどんな事でもやり遂げてくれる。

 …そう、一人で何でもやり遂げてしまう。一人で無茶をして、一人で解決していく。

 全く私の助けは全く必要無かった。

 その事がとても悔しかった。

 

 私が弱いから必要とされてないのかな。

 私が弱いから一人でボロボロになっていくのかな。

 私が弱いからいつも無茶をするのかな。

 私が弱いから私が弱いから私が弱いから……。

 

 ……私は彼が好きだ。

 弱い私をいつも守ってくれる彼はとてもカッコ良かった。

 いつも優しくしてくれる彼が本当に大好きだった。


 でも、こんな弱い私では彼に相応しくない。

 ただ守られるだけじゃなく、一緒に支えあって行けるようにならないとダメなんだ。


 いつかは私が彼を守る。

 彼に相応しい女になって、ずっと一緒に生きていく。 

 私と彼がこれからもずっと一緒に…

 ずっと同じ道を歩む為に………。

  

 

 

 彼が空から落ちてきた。凄い技を放って、また無茶をしている。

 受け止めたいけど間に合わない。


 っ!!!


 彼の足が変な方向に曲がっていた。

 あのナニカ達は彼の凄い技を喰らってもまだ生きていた。

 彼に迫っていくナニカ達を見て頭が真っ白になる。


 あれ?このままじゃ彼が死んでしまう。

 ………私は弱い…。

 ……でも、弱いからってなんだっ!!

 いつか強くなるじゃダメなんだっ!!!

 今、彼を守れる力が欲しいっ!!!

 大切な、…大好きな彼を今守りたいっ!!!!


 彼を守れる力を私に下さいっ!!!!


 「だ、だめぇぇぇぇーーーーーっ!!!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 (な、なんだ……。優しいオーラだ……。そうか、これが…、これがエルの…………。)


 カインは、辺り一帯に漂っていた死のオーラ消し去り、優しいオーラがかき消していくのを感じた。

 そこには………。

 

 「今までありがとう。今度は私がカイくんを守るね…。」


 優しい声でカインに話しかける、四色のエレメントを顕現させたエルミナがいた。 

これからも一緒に歩む為に、エルミナ覚醒…。


読んで頂きありがとうございます(○´∀`)b

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