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無自覚だけど世界最高の男  作者: かめごろう
第1章 覚醒と覚悟
14/65

13話 自分より誰かの為に

2000PV超えました。皆様ありがとうございます┏○ペコッ


今回は少し長目です。

 常闇より現れたこの世界のものではないモノ。

 人型のようだが、翼や角が生えているようにも見える。

 そう見えるだけで何なのか全く分からない。何故なら、真っ黒な色で顔にも身体にも全く凹凸がない。だから、影がそのまま実体化している様にしか見ることが出来ないのだ。

 しかも全長は10m以上はある。

 

 そのナニカは圧倒的な死のオーラを放ちつつ、カイン達に少しずつ向かって来る。なんとかしようと、必死に動こうとするカイン。しかし思考とは違い身体は動かない…。


 (くっ!動けっ!!動け動けっ!!!)


 焦るカイン、エルミナ達も動けなかった…が。


 「な、な、な、何なんだアレぇーーっ!!!

  めちゃくちゃ気持ち悪ぅぅうっっーーー!!!」


 ヒロが途端に叫びだした。圧倒的な死のオーラを受けても全く動じてなく、黒いナニカを気持ち悪がっている。


 「……っ!!あんた達っ!!あのオーラに飲み込まれるなっ!!!しっかりしないかっ!!!」


 ヒロの叫びで我に帰ったミスティが皆に喝を入れる。

 そして…。


 「聖点よ結び守護の祈り[ヒールサンクチュアリ]っ!」


 ミスティは詠唱短縮をして、治療魔法の最上位魔法を発動させた。

 カイン達の周り全体が白と青い光で溢れていく。

 その光を受けて、どうにか恐慌状態から回復したようだ。


 「ミ、ミスティさん、ありがとう…。あれだけ濃い、死のオーラは初めてだ。」


 「確かに、あたしも初めてのレベルだねぇ。感覚より、身体のほうがいうことを聞かない。本能的な意味でヤバイものだよ。

  しかし、よくヒロは叫び声を出せたねぇ。」


 ミスティは初めてヒロに対して感心している。


 「へっ?なんか、確かに死ぬとか濃いイメージだけど…。さっきのスズの刺殺の恐怖の方が上だった。」


 「「「…………………………………………。」」」


 「お前…。さっきので恐怖に打ち勝つとか、どんだけスズが怖かったんだよっ!!!」


 「あのなぁっ!!!俺は、マジで死ぬかと思ったんだからなぁっ!!!!」


 「バカ兄貴っ!!!私が、あんなキモいナニカより怖いってなによっ!!!!刺し殺すわよっ!!!」


 「ひ、ひぃっ!!!こ、殺されるぅぅっ!!!」


 スズはヒロに刀を向けて詰め寄る。


 「はぁ…。あんた達はこんな時に何をしてんだか…。

  まぁ嫌な雰囲気を吹き飛ばしてくれてありがとうよ。でも、気持ちを切り替えて行くよっ!!」


 「「「「はい(りょうかい)っ!」」」」


 なんだかんだで、戦闘態勢に入る事が出来た。

 ゆっくりと黒いナニカは近づいて来ている。


 「正直、あれがナニカなんて分からないが、死を呼ぶって言うのはわかる。とりあえず、何が効くか分からないからねぇ。一発撃ってみるとしようかねぇ。」


 ミスティは、黒いナニカに向けて詠唱を開始する。ミスティの元に多数の魔力が集まっていく。


 「蒼炎に爆ぜる業を舞え[ダウンバースト《蒼炎》]。」


 黒いナニカの元に蒼い炎が発生し渦を巻く。そして、蒼い炎は上昇していき竜巻を発生させる。

 直系30mある蒼炎の竜巻により周囲は灼熱の地獄とかす。


 (あ、あれがミスティさんの複合魔法か…。合成魔法とは違い、完全に同化しないで二つの色は残ったままか。やっぱ凄いなぁ…。)


 圧倒的な魔法の前にカインは感心していた。火と風の最上級魔法の[蒼炎]と[ダウンバースト]を複合魔法として発動させる事によって、エレメント並の魔法となるのだ。


 どんな物でも燃やし尽くしてしまう魔法。

 それが普通のものなら…。


 「グォォォォォっ!!!」


 黒いナニカは何事も無かったかの様に存在している。そして、無いはずの口で叫びながら、更に濃い死のオーラを周囲に撒き散らす。


 「なっ!!!全くの無傷だなんてっ!!!いや、そもそも傷が付いたのかも分からないか…。」


 カインは思わず叫び出す。  

 エレメント並の魔法で無傷なので当たり前だが。だが、元々凹凸も無いので、どうなっているかは全く判別出来ない。


 (エレメント並の魔法が防がれるって事は、相手もエレメントを纏っているか…。それとも全く別のナニカか…。)

 

 そしてゲートから、黒いナニカよりも小さいナニカが無数に出現していく。

 そして、小さい方のナニカはカイン達とは別の方向に向かっていく。


 「っ!!!これはヤバイねぇ…。カインっ!!始めに出現した大きいのは、あたしがやるから小さい方を頼むよっ!!小さいのが街に行ったら大変なことになるっ!!」

 

 「わ、わかったよ。俺達は小さいを追い掛けるっ!」


 「あぁ。小さい方もどの程度か分からないからねぇ。あんた達も十分に気を付けて行くんだよっ!!」


 「「「「はい(りょうかい)っ!」」」」


 カイン達はミスティと離れて、小さいナニカを追いかけて行った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 小さいナニカを追いかけるカイン達…。

 

 「エルっ!!奴らには、一定の距離を保って、絶対に近づかれないようにするんだっ!!

  ヒロとスズは、常に闘気を纏って攻撃しろっ!!でかい方はエレメント並の魔法でも効かなかった。小さい方はどうか分からないが、多分闘気じゃないと効かないっ!!」


 「おうっ!!だが、相手は6体いるがどうする?」


 「……。ヒロとスズは、2人で連携して近くの2体を相手にしてくれ!!俺が先行して、1番遠い奴に回り込んで攻撃を仕掛ける。それで、後から来たエルと一緒にやるかな。」


 「カイ兄っ!!そっちは任せたからねっ!!」


 「りょうかいっ!…エル、先に行くよっ!!」


 「うん、すぐ追い付くから待っててね。」


 「……カイっ!!死ぬなよっ!!!」


 「当たり前だっ!!お前らを残して死ねないからなっ!!!」


 カインはスピードを上げて更に加速していく…。風の闘気を足に纏って強制的に速度を上げたのだ。

 そして、小さいナニカへと向かっていった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ミスティは大きいナニカと対峙している。


 「くっ!!!」

 

  (これもダメかい…。なるほど魔法では全く効かないってわけだねぇ。)


 ミスティは、あらゆる系統の魔法を大きいナニカに使用したのだが、どれも全く効果がみられない。

 逆に、大きいナニカは先程から黒い光線を放って来ている。

 ミスティは結界魔法で防いでいるが、直ぐに貫かれてしまう。


 (ふぅ…。黒いだけなのに中級エレメント並の威力はあるねぇ。でもエレメントって感じではないし…。

  まぁ、それがエレメントじゃなくても関係ないか…。魔法が効かないなら、あたしもそれなりの手段を取らせてもらうよ。)


 ミスティは決意したように大きいナニカの前に佇む。


 「あたしに、喧嘩売ったことを後悔してもらおうかいっ!!」


 突如、ミスティの身体から光が発生していく。圧倒的な力のオーラを纏いて身体が輝いていく。

 纏っていく光の色が1つ2つと増えていく。…3つ………4つ!!


 「〚天嵐〛顕現せよっ!!」


 ミスティは四色のエレメントを顕現させた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 カインは、小さいナニカに追い付き回り込んだ。

 そのまま右手でミスリルソードを抜き、紅い闘気を纏って斬りかかる。


 「[ヒートブレイク]っ!!」


 カインの剣は燃えながら相手を斬りつけるが、全く手応えがない。


 (っ!!!そもそも相手に刃が通っていない…。中級闘技じゃ話にならないか。)


 そのままバックステップで、小さいナニカから距離を取るカイン。

 しかし、斬りつけた小さいナニカじゃない奴がカインに飛び掛って来る。

 咄嗟に避けようとするが、更に反対方向からも3体目のナニカが飛び掛かる。


 (あ、当たるっ!!)


 完全に避けきれないと判断したカインは左手で結界魔法を発動させる。


 「[シールドバリア]っ!!」


 カインのまえに透明の3mはある盾が出現する。

 その盾は、小さいナニカ2体を受け止めるが…。


 パリンッッッ!!


 ほとんど抵抗も無いまま盾を割ってしまう。

 

 「なっ!!!!」


 そのまま、小さいナニカ2体はカインへとぶつかる。


 フッ!!ほとんど音もないままぶつかったカインだったが、静音とは裏腹に、カインは勢い良く吹き飛ばされる。


 「ぐわぁぁぁっ!!!」


 一直線に吹き飛ばされたカイン。

 吹き飛ばされながら、ぶつかった左肩と脇腹に異変を感じる。


 (い、痛いっ!!!左肩と脇腹の骨が完全に砕けてる。

  少し触れただけでこの威力か…。)


 痛みに耐えながら何とか体制を立て直すカイン。

 30m位吹き飛ばされ、ようやく地面に足を付ける。


 (思ったより、奴らの攻撃力と防御力が高い。

  このままでは他の皆も危ないだろな…。奴らは常に、エレメント並の力を顕現させている状態って事か?

  このままで殺されるなぁ…。)


 予想より、遥かに強いナニカ共に対抗する手段を考えるカイン。

 だが何をしても絶望的である…。


 「カイくんっ!!!」

 

 エルミナが追い付いて来た。いや、追い付いて来てしまったと言うべきか…。


 「エルっ!!!来ちゃダメだっ!!!奴らは常に、中級以上のエレメント並の力を顕現させている。エルでは直ぐに殺されてしまうぞっ!!!」


 必死になって、エルミナが逃げてくれるように祈るカインだったが。


 「わ、私も戦うよっ!!」

 

 「ダメだっ!!エルじゃ、敵わないっ!!」


 「サ、サポートも出来るし回復も出来るよっ!!」


 「…エルは、足手まといになるから邪魔だっ!!」


 「そ、それでも一緒に戦うっ!!」


 「ダメだっ!!!………正直に言うっ!!俺が囮になるからミスティさんの所まで逃げるんだっ!!俺でも奴らには敵わないっ!!」


 「い、いやぁぁっ!!!カ、カイくんを置いて逃げるなんて私には出来ないよぉーーっ!!!」


 エルミナは、泣き叫びながら必死に抵抗してくる。

 このまま逃げる事は出来ないと…。


 (………エルは優しい。

  それは俺が1番知ってる。今までずっと一緒に暮らしていたんだから。

  孤児院に来た時から、俺もエルも0歳で、何もわからない頃からずっと一緒だった。

  彼女が笑うと俺も嬉しかった。

  彼女が泣くと俺も悲しかった。

  彼女が楽しそうにしていると俺も楽しかった。

  彼女とずっと一緒にいるのが当たり前だった。

  ………。

  いつからだろう、守りたいと思うようになったのは。

  いつからだろう、守る為に努力し始めたのは。

  いつからだろう、何に変えても、どんな事をしてでも幸せにするって決めたのは。

  ………………。

  そうだっ!俺は彼女が幸せならそれで良いっ!

  敵わないなんて知るかっ!

  エレメントなんて知るかっ!!

  エレメントなんて無いものより、今あるすべてを使って彼女を守るっ!!!)

  

 カインは魔力と闘気の両方を開放した。 

カインは今出来る全てを使い挑みます。


読んで下さりありがとうございました。

ブクマ登録、感想評価などもよろしくお願いします(○´∀`)b


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