11話 七星天兵団
少しずつですがPV増えてきました。ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします!
「七星騎士団」→「七星天兵団」に変更しました。
俺達がアイアンリザードの異常種を倒してから1週間が経っていた。
現在はオボルへ帰っている途中だ。
俺は1日意識が無かった。そこで、俺の様子を見に来ていたスズに、アイアンリザードを倒した直後の話を聞いたんだが……。
「カイ兄は、アイアンリザードを倒した後に、そのまま全身から血が出てぶっ倒れるし。
アイアンリザードは硬くて解体できないし。(魔石は持ち帰った。)
エルミナちゃんは、ボロボロのカイ兄に必要以上に治療魔法を発動し続けるし。
ティアさんは、カインくんが死ぬって言って物凄い泣くし。
そして、…特にっ!!!!アイアンリザードに突っ込んで行って、そのまま簡単に玉砕されて。結局、あれだけの戦いをして目覚めないカイ兄はともかく、自爆したバカ兄貴まで担いで雪山の中を歩いたのよっ!!!
村についた途端、何事も無かったかのように話し掛けるのを見て、思わずもう一度寝てもらったわっ(ヒロ2度目のK.O.)!!」
うん、あの時のスズはかなり荒れていたなぁ…。ちょっと怖かったし…。俺がヒロに突っ込めと指示したなんて言えない…。
とてもじゃないが、それ以上聞く気にはなれなかった。
結局、あのアイアンリザード異常種はAランクモンスターとして診断されたようだ。
まぁ、エレメントまで使ったんだから当たり前なんだけどね。
とりあえず、[迅雷ノ夜叉]は暫く封印する事にした。治療魔法によって傷は回復したけど、肉体断裂による後遺症で3日はまともに動けなかった。
小烏丸も刃こぼれを起こしているし、正直Aランクのこの刀が無かったら勝てなかったはずだ。耐久力と闘気との親和性が高く無ければ、無理矢理発動した最後の技は放てなかっただろう…。
エレメントがまだ覚醒してない今、まだまだ俺の力が足りない。
いざと言う時に、皆を守り切れるようにもっと鍛錬を積んでいこうっ!
「………。」
カインは、新たな決意を胸に心に刻むのであった。遠くから見つめていた存在に気が付くことも無いまま…。
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ようやくオボルに帰って来ることが出来て、門で手続きをしていたカイン達だったが…。
「ク、クレハ様ぁぁぁぁーーーっ!!!!」
カイン達の方に向かって、赤の短髪の若い男が叫びながら走って来る。
装備がとても整っており、かなりの速度で近づいてくる…。
(黒を基調とした制服に金色のライン、それに、胸にある金の七つの星の徽章…。七星天兵団の者か。)
【七星天兵団】は、この世界の全てを秩序を守る組織である。様々な事件や討伐も、冒険者や各町の警備隊では対処出来無い案件を対応をしている。各圏内における国の戦争などにも介入出来るほど力を持っている。
天族は全部で七つ家がある。その天族当主が、それぞれ七星天兵団のトップとなっており、師団と管轄もそれぞれの天族が統治している圏内で異なる。
七つある師団のうち、ここオニキス家の圏内は第四師団の管轄で、制服の背中にはオニキス家の紋章であるグリフォンが刻まれている。
エレメントは遺伝されるものが多い。そして、自分の持つランクによって地位(貴族、王族など)が決まるので、七星天兵団には貴族、王族のものが大半である。
エレメントは純粋に力の差となるので、そのまま権力と同義になってしまう事が多い。
「なぁ、明らかにこっちに向かってやって来ているんだが。…ヒロ、一体何をしたんだ?」
そんな七星天兵団の男が向かってくる理由がわからないので、カインは疑問に思った。
「待て、待て待て待てっ!!何でそこで俺が出てくるだっ!!しかも、やったの確定かよっ!!!」
「「「お前以外に悪いことする奴はここにはいない(よ)。」」」
「うぉぉーーーいっ!!!完全に言い切ったなっ!!!!……でも完全には否定出来無い自分が居る…。ね、ねぇ?ティアは俺の味方だよね?」
「………。」
「?…ティアちゃんどうかしたの?」
ティアは向かってくる七星天兵団の男を見たまま固まっている。
そのまま、男はティアの前へといった。
「クレハ様、予定より遅い帰還だったので心配しました。何か起きたのではないかと今にも飛び出しそうでしたっ!」
「…っ!!!ちょ、ちょっとあっちで話そうね。」
我に返ったティアは、慌てた様子で男を引き連れて行ってしまった。
唖然とする残された4人…。
「ティ、ティアちゃん行っちゃったね…。」
「ティアさんの知り合いの方かなぁ?それに、クレハ様がなんとか…。」
「クレハ様…。俺はどこかで聞いたような…。」
エルミナ達は消えたティアの方向を見たまま呟いている。
そこで、カインが思った事は…。
「へぇ、ティアに彼氏いたんだ。恥ずかしがらないで紹介してくれたらいいのに…。」
「「「えっ?」」」
3人の声がこだまする。
「ん?ティアは、彼氏が突然現れたから恥ずかしがったんだろ?」
カインは平然と応える。
「えーとね。カイくん…、話が飛びすぎかな?」
「カイ兄…。ティアさんは、ちゃんと他に好きな人いるよ。私も聞いているし、その勘違いはちょっとね…。」
「お前、あれだけ想われてて…。くぅ、なんでティアちゃんはこんな奴の事を。くそぉ…。」
「???」
エルミナとスズは、飛躍しすぎたカインの発想に呆れている。そしてティアにも同情した。
ヒロは、かなり項垂れているがカインは何がなんだが分かっていない…。
「はぁ、カイくんは…。この事をティアちゃんにも話してカイくんの誤解を解かないとね…。ティアちゃんも可哀想だし…。」
「あまり油断していると、明日は我が身だから私も気を付けよう…。」
女の子2人は、カインは相変わらずカインであると改めて理解したのであった…。
「ティアの彼氏は七星天兵団か、今度手合せを………、次に…………して、…、」
カインの勘違いは止まらない…。
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結局ティアは、こっちに戻って来なかった。どうやらそのままフォルティナに帰ったようだ。
カイン達は4人でギルドへと向かった。
「あ、おかえりなさい。色々と大変だったみたいだね。」
受付のナナエラさんである。かわいい猫耳はピクピクしている。
「ただ今帰りました。予想外の事もありましたが全員無事に帰れて良かったです。俺はかなりボロボロになりましたが。」
カインは少し苦笑気味に応える。
「Aランク相当のモンスターにボロボロでもかえってに来たんだ。少しは胸を張ってもいいんじゃないかい?」
金髪のエルフ『魔人』のミスティである。
「まぁ、そうだね。改めてエレメントの強さがわかったよ。俺も早く覚醒出来たら良いのになぁ…。」
(それに、俺は覚醒するのかなぁ…。)
カインは、今回で染み染みとエレメントの強さと怖さを思い知った。この力を自分が手に入れるかどうかで今後の自分も変わるのだ。
「あんたはまだ、もう少しで13歳になるかどうかだろ?確かに早いものなら10歳前くらいには覚醒するけど、一番遅いものでも15歳なんだ。慌てるものじゃ無いよ。」
エレメントの覚醒は人によって時期が変わる。何がいつ覚醒するかは誰にも分からない。
「うーん、皆を守るためにはもっと力が欲しいんだけどね。」
「カイくんはタダでさえ色々と無理してるんだから、これ以上無茶したらダメだよ…。」
ずっと側で見ていたエルミナには、カインの努力がどんなものか知っているから余計に心配になる。
「カイン、エルミナに心配かけるようじゃまだまださ。ゆっくりと大きくなれば良いんだよ。」
「…。わかったよ。いつも心配かけてごめんね、エル。」
「ううん、私達の為だってわかってるから。でも無理はしないでね。」
カインとエルミナは見つめ合っている。
「だぁぁぁぁっ!!!お前らだけの世界に入るなっ!!!う、羨まし、けしからんっ!!!」
ずっと様子を見ていたヒロの限界がくる。
「わ、私だって、カイ兄の事心配しているのに…。」
「………わが妹よ、カイは強敵だ。頑張れ。」
一応妹の事は気にかけるヒロであった…。
彼がナンパを続ける限り一生独り身であろう。しかし彼は己の道を突き進む、何故なら彼はキングオブナンパ、『ナンパマスター』なのだから。
「うぉおーいっ!!!!!ナンパマスター言うなっ!!!」
「…………。バカ兄貴、何1人で騒いでるの?」
「俺にもわからん…。」
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ギルド内にある食堂にて…。
「エレメントを調べるマジックアイテム?」
「あぁ、この間オルナティブで知り合いに会っていたんだが、人の持つエレメントを調べられるマジックアイテムが発明されたらしい。もう少しで実用化も可能だそうだ。」
「おぉ、それは凄いなっ!!俺等は親父と同じエレメントの筈だけど、なかなか教えてくれないんだよなぁ…。」
「まぁ、父さんはどうせ分かることだし、エレメントに頼るな、ってよく言ってるからね。」
ヒロとスズはまだ早いと言われて、親のエレメントを見たことが無い。
(ヒロとスズの親父ねぇ…。あの『月鬼流』か…。それなら…。)
ミスティはヒロ達の親の事は知っているので、エレメントにも心当たりがある。
「はぁ、俺なんて未知の領域だからね。両親が誰かも分からないし、そのマジックアイテムで早く調べられたら良いのになぁ。」
「まぁ、そんなに気になるなら。あたしが融通してみるよ。」
「やったぁ、ありがとうミスティさんっ!!」
カインはとても嬉しそうだ。久しぶりに見せる歳相応の態度を見て苦笑しながらミスティは…。
「その代わりと言っては何だけど、新魔法見せてくれるんじゃなかったかい?」
「あっ!すっかり忘れてた…。いいよ、食事が終わったら街外に行こう。」
「外かい?わざわざ街外にでなくても…。」
「まぁまぁ、それはお楽しみって事で。」
食事が終わり次第、街外にへと向かうカイン達であった…。
次回新展開が…。
お読み下さりありがとうございました。
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