プロローグ
タイトルを「エレメント〜始祖の血脈〜」から
『無自覚だけど世界最高の男』に変更しました。
※プロローグの主人公と1話目の主人公は=ではありません。
俺の周りには数10人の死体が転がっている。
目の前にいる男が殺した者たちだ。
「…下衆が…。」
一体いつからだろう…。
俺が俺で、なくなったのは…。
「はははっ!死ねよっ!」
俺に攻撃してくる男。あれをまともに喰らえば、かなり痛そうだ。
俺はゆっくりと剣を”鞘に収めたまま”構える。
「バカがっ!!そんな剣でっ!![ブラックペネトレイト]」
俺に向かって、漆黒に渦巻く男の槍が迫ってくる。
だが…あの程度なら問題無い…。
「…[ジャッジメント《夜叉》]」
俺の鞘に収めたままの剣から白と黒の何かが溢れ出てくる。
そのまま相手に向かって放ち、男の槍と接触していくが…。
バァァンッ!!!
触れた瞬間、男の槍を纏っていた漆黒の渦と、槍そのものが弾け飛んだ!
「ば、馬鹿なっ!!何だその闘技はっ!!!」
答えてやる義理もない。
お前は、どうせここで死ぬんだから…。
白と黒の一筋の光は男を飲み込んでいく…。
「そ、そうかっ!!!お前は…お前がっ!!!!」
男は、そのまま姿が消え失せる。肉体の1片も残さないまま…。
……。
ここが何処であるか?
そんなのどうでもいい。
俺には帰る場所も無い。
仲間もいない。
守るべきものも無い。
これからどうする?
なんだっていい。
やりたい事もない。
する必要もない。
いや、無くなった。
何故こうなった?
必死に頑張ればいいと思っていた。
頑張れば報われると思っていた。
ただ身近の人を守りたかった。
ずっと、このままであると思いたかった。
帰る場所は、ずっとここであるんだと、そう言いたかった。
努力を怠った事はない。
寝る時間も殆ど無いくらい、小さい頃からずっと頑張っていた。
それが間違いであるとは思わなかった、信じていた。
だが…。
「…行くか…。」
夜空を見上げながら、青年と”近くにいたそれ”は先に進む。
…今の俺には何も無い。力(権力)や”仲間”さえも。
夜空を見ていると、若い頃の自分を思い出す……。
(あの頃の俺は、楽しかったな…。)
次回から主人公の回想へ入ります………。
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