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さようなら、勇者様。  作者: 四つ角
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スポットハウスのルル

よろしくお願いします。


今日は、とっても暖かな日です。洗濯物がよく乾きます。

とは言っても、ここはいつもこんな天気です。


毎日が今日のように雲一つない青空というわけではありませんが、雨や曇りは滅多にありません。


辺りは草原に囲まれていて、立っているのは中くらいの牛舎と小さな鶏小屋と、『カフェ・スポットハウス』くらいです。あ、その横に風車もありました。


住んでいる人はいません。私は住んでおりますが。


それでも、ここには最低毎日一人はやってきます。その一人は決まって勇者様。ここ、『スポットハウス』はまだ、何も知らない勇者様が、それぞれの世界を行く前に訪れる、最初で最後の休憩地なのです。ここから、勇者様方はそれぞれの世界に旅立ちます。そして、行った先々で活躍をするのです。きっと。


『スポットハウス』は木造でできています。その横に風車が立っていて、下には小さな川が流れています。夜になると、静かになって、川の音が辺りを包みます。


『スポットハウス』の中に入ると、カウンター席が3席ほど、テーブル席が2席ほどあります。時々、店内を歩くと床が軋みます。少し楽しいです。


ここでは、勇者様が来ると、お飲み物とお望みならば軽食を作って、おもてなしをします。軽食は、近くで飼っている鶏さんたちから卵をいただいたりしますが、それだけでは作れませんので、従業員室にある〈黒電話〉で天界の方々に欲しいものを伝えます。そうすると、ハトさんたちが届けてくれるのです。


ちなみに、スポットハウスには5つの部屋があります。1つは今言った従業員室。もう1つは私の部屋。もう2つは勇者様が一夜を過ごされる部屋。けれど、2人のお客様が一緒に泊まったことはこれまで一度もありません。最後の1つの部屋は、お手洗いやお風呂場になります。


だんだん日が暮れてきました。今日はまだ一人もいらっしゃていません。きっとそろそろ来るころでしょうが、今日は泊まることになるでしょう。


お風呂を入れましょう。夕食はどうしましょう。でも、勇者様に何がお好きか聞いてから作ることにします。とりあえず、お風呂を入れましょう。きっとお疲れです。川に水を汲みに行きます。


外に出ると、オレンジ色のした夕陽の光が辺りに降り注いで、草原がまるで焼け野原になったみたいです。


あら、向こうから人影が見えます。きっと、勇者様でしょう。せっかくなので、お向いにいきましょう。


今日の勇者様はまだ何も装備されてないみたいです。行った先の世界で少し苦労なさるかもしれませんね。服装は、黒いズボンに白いワイシャツ、その上に黒いブレザーを着ています。赤いネクタイが少し曲がっていておかしいです。


「お待ちしておりました」


「ここは、ど、どこ?」


勇者様は少し、緊張されてるようです。顔が青くなっています。


「ここは、カフェ・スポットライトです!」


「え、と、君は」


「申し遅れました! わたくし、スポットライトのオーナー兼従業員のルルと申します!」



ありがとうございました。

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