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172話 姫咲さんと10円玉
「お、駄菓子屋前の自販機だ、普ーなんか飲む?」
「奢っていただけるのですか? 姫咲さん。ありがとうございます。温かいお茶がいいです」
「お茶ねお茶。ありゃ、足りないや。普、10円だけ出してくれる?」
「10円ですね、はいどうぞ姫咲さん」
「ありがと。この10円玉を……投げるッ!」
「え? ちょ、何やっているのですか姫咲さん!?」
「ほら、今当てたヤツ、アイツ万引き犯だ、私の目は誤魔化せんぞ!」
「まさか投げ銭とは……で、なんで僕の10円使ったのです?」
「私財布空っぽだったからさ」
「店の人にお駄賃貰うのが目的でしたか」