もし仮に、あなたが政治家だったとしたなら
その社会にはAという分類に属する人達とBという分類に属する人達がいました。そして選挙権が与えられているのはAの人々だけです。
さて。
もし仮に、あなたが政治家だったとしたなら、Aの為の政策を実行しますか? それともBの為の政策を実行しますか?
まぁ、選挙権を持っているのはAの人々なんですから、当然Aの為の政策を実行するでしょうね。そうしないと、次の選挙であなたは負けてしまいます。
もちろん、Aに当たる人々は現実では特権階級に属する人々で、Bに当たる人々はそれ以外の不遇な境遇を強いられている人達です。過去、日本もこのような制度になっていました。特権階級の人達は、それ以外の人々を犠牲にして、豊かで恵まれた生活を送っていたのですね。だから不平等で、人々の不満が溜まり易い世の中でした。そしてだからこそ、とても不安定だったんです。
このような状況を打開する為に、多くの人達が努力した結果、この不平等な状態は改善されました。まず、全ての20歳以上の男性に選挙権が、その後で全ての20歳以上の女性に選挙権が与えられるようになります。
もちろん、選挙権を与えられた人達は喜びました。これで不当な酷い扱いを受けなくても済むようになるかもしれないからです。政治家達は、選挙で勝つ為に特権階級を優遇する必要はなくなるんですから、ちゃんと平等に政治を行ってくれる可能性が高くなるんですね。
また、AとBの例え話をします。
ですが、今度の例え話は先とはちょっとだけ設定が違います。AにもBにも選挙権が与えられていますが、何故かBには選挙投票に行く気があまりないのです。
さて。
もし仮に、あなたが政治家だったとしたなら、Aの為の政策を実行しますか? それともBの為の政策を実行しますか?
まぁ、結果は先と大体同じですよね。Aの為の政策を実行します。だって、そうしないと選挙で勝てないから。
つまり、選挙権を与えられていても、それを使わなかったら同じだって話です。
え? 実際に、そんな選挙権を放棄するような人達がいるのかって?
これが、いるんです。しかも、現代の日本社会に。
高齢者世代は投票率が非常に高いのに対し、若年世代の投票率はとても低い。つまり、若年世代の多くの人達が、選挙権を実質放棄してしまっているのですね。そして、実際に政治家達は高齢者を優遇する政策を執っているんです。もちろん、既に世の中は高齢社会に突入していて、人口割合でも高齢者の方が多いですが、それだけが原因ではないでしょう。
参議院選挙前に、国は低所得者へ3万円の給付金を配りました(年金生活者等支援臨時福祉給付金)が、この制度の対象は高齢者のみです。若年世代は年金が貰えるかどうかすら危ういですが、今の高齢者達は年収が1千万円以上ある人でも貰っています。そして、現役世代の貧困問題が顕著になってきている現状であるにもかかわらず、出産育児支援はほとんど増えていません。いえ、それどころか、減らそうとする動きすらもある(そして、国は若い世代を見捨てて、“移民政策”を執ろうとしているような気配すらある)。
これでは、日本社会はやがて衰退していってしまうでしょう。
「どうせ無駄だから、諦めろ」と主張している人がいました。ですが、貧困問題で死に追いやられている子供達すらいる現状を目の前にして、何も努力しないで諦めるというのは、いくら何でも非人道的だと思うのです。それに、充分にこういった事態を好転させられる可能性はあります。実際、この問題を改善する事に成功している先進国だってあります。
その根拠。まず、一点目。
政治家達の中にも、将来世代への投資が必要だと認識している人達がいること。
二点目。
“数の暴力”の問題は民主主義に付きもので高齢者優遇(シルバー民主主義)以外にもありますが、この日本でだってそれをある程度は克服できています。
三点目。
将来世代の為の政策を実行して欲しいと願っている高齢者達が少なくないこと。
これだけの条件が揃っているなら、後少しでも何か切っ掛けがあれば、「将来世代の為に政策を実行しなくてはいけない」という雰囲気を社会全体に醸成し、実際にそれを実行していく事は不可能ではないと思うのです。そして、若年世代の投票率が上がる事が、或いはその切っ掛けになるかもしれないんです。
だから、「どうせ、無駄だから」なんて思わずに、どうか選挙投票に行ってください。ただ行くだけでも価値があるんです!
前に「選挙に行こう」って趣旨で書いた「保育園不足を解消して欲しかったなら、選挙投票に行きましょう」ってエッセイが、思った以上の低アクセスだったので、
「これじゃあかん!」
って思って、急遽書いたのですが、似たような趣旨で書いて高アクセスの作品を投稿している人が他にもいたので、あまり意味がなかったという……
ただ、無効票はあまりよろしくありません。
無効票だと、組織票を持っている政党が有利になるので、公平性が保てませんし、選挙に貢献した組織の力が強くなってしまいます。
少しでも良いから、マシだと思える政党に票を入れましょう。