表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/14

登場人物・地名など

完結したのでおまけ程度に設定を載せてみました。面倒臭かったら読み飛ばしていただいて構いません。前半はネタバレ無し、後半はネタバレ有りの設定です。

【メイン登場人物】※ネタバレ無し


ユージン

21歳。カラクリ街で有名なエリベに住む機械工の青年。幼少期から機械だらけの場所で育ち、ずっと広い空に憧れを持っていた。行動力はあるが、言動はやや控えめで大人しい性格。飛行機で空を滑空中にうっかり積乱雲へ突っ込んで墜落した。


トリクシー

10歳くらい。セントホルネ時計台の隠し部屋に住んでいた少女。生まれた時から幽閉されていたわけではなく、微かに外界での記憶があり、父と母の存在を何となくだが覚えている。心優しく純粋だが、負けず嫌い。人懐っこく明るい性格。


ペネロペ

18歳。セントホルネ時計台整備士見習いのお転婆娘。師に現役時計台管理人のワルターを持つ。明るく前向きな女性で、面倒見がいい。普段から広い時計台内部を駆け回っている為、運動神経が良い。ジークガットの国境付近にあるテレシカという港街の出身。


エリオット

19歳。セントホルネ町長であるバルタザールの息子。自然工学を専門にする学者を目指しており、現在勉強中の身。普段は物腰の柔らかい優しい青年だが、実は神経質だったり理屈っぽかったりもする。


ワルター

58歳。セントホルネ時計台の管理人で、整備士としても確かな腕を持つ中老の男。ペネロペに時計台の整備を教えている。町長とは古くからの良き仲。今でこそ落ち着いたが昔は放浪癖があり国中を旅してまわっていた。


バルタザール

54歳。セントホルネ町長の男性で、エリオットの父。正義感に溢れ、誰にでも公正であるため、多くの民に支持されている。しかし、旧アディニーナ村で起きた魔人弾圧に最後まで同意しなかった為、一部の魔人弾圧派からは今も非難を浴びている。


アイビー

26歳。プロの飛行機技師。高身長で、とてもスタイルが良い。エリオットの知人。セントホルネの隣町コンチェッタに自分の工房を持っている。ペネロペ以上に男勝りでタフな性格だが、何かと空気の読める大人の女性。勝手に家を飛び出したという兄を嫌っている。


ダンカン

50歳。魔人弾圧派の男性で、セントホルネ町議員の一人。頭が固く頑固であるが、反面しっかりとした意思を持ち、発言するため、町民からの人気は比較的高い。バルタザールを何かとライバル視している。


エイベル

20代半ばくらい。細身で端正な顔立ちをした若者。華奢な見た目にそぐわず、ダンカンの用心棒をしている。無口で多くを語らず、あまり表情も変えない。現在はセントホルネに住んでいるが、生まれ故郷は別の場所のようである。


オーエン

33歳。知る人ぞ知る有名な冒険飛行家。非常に楽天家でがさつな男で、人間関係に色々と疎い。旅先で出会ったオズワルドと手を組み、現在行動を共にしているようだ。それなりに凄い人物だが、自らを驕ることは少ない。


オズワルド

31歳。アルティリークで建築職人をしている男。周囲から非常に信頼されており、心優しい人柄。魔人弾圧のフィナーレとなった大魔人の処刑を実際に見ており、当時から色々な思いがある様子。


ディアン

27歳で死亡。旧アディニーナの住人で魔人弾圧の対象となった男。アディニーナ周辺をたった一人で一掃してしまうような膨大な魔力を持つ。7年前、民衆の前で晒し上げにされ、処刑されている。死ぬ間際に時間崩壊の予言を残した。




【国名】


ジークガット

民主主義をとる産業の国。西の一部が海に面している。一部の魔力を持つ者たちを恐れる習慣があり、7年前に国内の魔人を処刑する弾圧が完了している。 肌は白く髪色は黒~茶色。瞳の色も大方髪色と同じだが、北東にあるエリベという場所では古くからの青い瞳が僅かに残っている。気候は温帯。


カルタンテ

名前のみ。ジークガットと比べるとやや発展の遅れが見られる。温帯~亜熱帯気候で温かい国。髪色は茶~金、海沿いの一部に赤毛が見られる。瞳は茶か緑、肌はやや褐色が多い。10年ほど前に感染病が流行った。


【街・村名】


セントホルネの街

ジークガット国北東寄りの活気ある大きな商業の街。ペネロペのように町外から来る人間も多い。町の中心にある大きな時計台はセントホルネの象徴。魔人弾圧運動には否定的で、最後まで協力しなかった。


エリベの街

ジークガット東の街。機械産業が発達しており、国内有数のカラクリ街として知られる。魔人弾圧運動に大きく貢献した街あり、弾圧で使われた銃火器を一手に製造していた。環境悪化により喘息が流行ったことがある。


コンチェッタの街

セントホルネの西隣、旅人が多く訪れる宿場街。自然が多く残る。魔人弾圧運動には、若干反対派であったがアルティリークの説得により弾圧に参加している。アイビーが自分の工房を建て働いている場所。


アルティリークの街

エリベとセントホルネに挟まれた町。魔人弾圧により旧アディニーナと合併している。合併のせいもあって面積が広い。建築業の街として知られる。魔人弾圧運動を一番推進していた町で、最後まで反対派であったセントホルネとは今も仲が良くない状態。


テレシカの街

名前のみ。ペネロペの故郷でジークガット南西、国境付近の港町。とても自然が多く、果実酒製造などが盛ん。隣国の文化の混じった独特の雰囲気を持つ。 アディニーナ村からはかなり離れた位置にあるので魔人弾圧についての意識は低い。一部赤毛がいる(ジークガットでは赤毛は差別対象である)。


旧アディニーナ村

廃村。先祖から体内に魔力を宿す者たちの小さな集落。魔人の力を恐れた周辺の街に潰されてしまった。現在その土地は隣町のアルティリークと合併している。


フォンベルの街・モルガゴーシュの街・ヴィクセルグの街・カルヴァラの街

名前のみ登場



【魔人関連】


魔人

魔力と呼ばれる特殊な力を持つ人々。作中呼ばれることは無いが一部からは奇人とも。代々受け継がれてきた魔法陣を用いて術を発動させる。古くから天災をもたらす危険な人種とされ迫害され続け、今ではどこにも存在しないとされる。あまり知られていないが、魔人の力は人間が思っているよりも弱く脆いもので、どんなに力があるものでも世界を揺るがすようなことは出来ない。魔人の存在が最後に確認されたのは7年前のアディニーナ村であり、それ以降は全く見つかっていない。見た目はあまり人間と変わりないが、傾向として髪色は暗い者が多く、瞳は鮮やかな金色である。近年の魔人たちは人間に顔を覚えられないようにするため、老若男女問わず髪を伸ばす者が多かった。


魔人弾圧運動

危険な力を持つ魔人たちを排除しようとする思想のもと始まった運動。全世界で見られる運動だが、ジークガット国内にこの思想を持ち込んだのは当時のアルティリーク町長であったヴィクトリア・バラクロフという女性。この運動は瞬く間にアディニーナ周囲に広がっていき、7年前にはついに世界最後の魔人集落の弾圧に成功。当時は過激派の存在も見られたが現在ではある程度沈静化している。


時間崩壊の予言

7年前に起きた魔人弾圧の際に遺された、大魔人ディアンの予言。内容は「いつかアディニーナ周囲の街の時間を壊す」と言う趣旨のもの。人々は気が狂った魔人の戯言だと言うが、その真意は不明である。






以下、ネタバレ有りの登場人物紹介












【登場人物の設定詳細】※ネタバレ・裏設定有り


ユージン・オールポート

ジークガット国内で希少な青い瞳を持っている。丁度産まれたころに街で公害が起こり、幼くして気管支喘息を発症。両親がエリベに工房を構えていたためそう簡単に移住も出来ず、旅行も出来ず、幼少期は毎日咳き込みながら家に閉じこもっていた。公害が落ち着いた頃、元国家航空隊員だった父が気晴らしにと飛行機の存在を教えると、見る見るうちに機械に夢中になる。父の手ほどきを受けながら勉強と仕事との合間に飛行機づくりをするようになり、18歳頃にはもう自分で滑空できるようになった。父の工房を継ぐために家業であるモータづくりの勉強もする。外に出るようになってから後ろ向きだった性格も少しずつ改善され、大人になるにつれ喘息も軽くなっていった(ただ本編では時計台から降りて来た時とトリクシーを探して走り回った時に二回軽い発作を起こしている)。10歳頃、魔人弾圧思想がエリベに入ってきたときは、両親が武器製造に駆り出されるのを不思議に思いながら見ていた。ユージン自体はあまり武器製造には関わらなかったが、周囲の大人たちに魔人の存在を許してはならないだなんだと色々吹き込まれた。弾圧直後の騒ぎも見ていたので、本編中盤くらいまでは彼も弾圧思想の持ち主であった。本編中では反応が薄かったがオーエンの存在は元から知っていた(有名な飛行機乗りのため)。


トリクシー・トレイラー

父はアディニーナの次期村長であった大魔人ディアン・トレイラー、母はアルティリークの娘のセルマ・クレイン(ジークガットとカルカンテとのハーフ人)である。生まれは旧アディニーナ村(現在併合されアルティリークの街)。四歳以降は母の性格をかたどった魔導人形が教育。弾圧が始まる兆候が見え始めた頃に、村全体で彼女を後世に残すことが決定され、セントホルネ時計台上部に作った隠し部屋に幽閉される。10歳になるまでの7年間をずっと室内で過ごし続けた。根っからの明るい性格なので落ち込んだり泣いたりすることは少ないのだが、エピローグで両親の死を知った時にはぼろぼろ泣いた。優しい母と会話すること、背の高い父に肩車してもらうことが大好きだった。長らく人形しか話し相手がいなかったので舌足らずで、話し方は年齢以上に子供っぽい。一人称は私であるが、二人称に関して周りに影響されやすい。エンディング後は、バルタザールと話を付けたユージンの両親が彼女を養子として迎えている。腰下まであった金髪をバッサリ肩ほどまで切り、エリベで新しい人生を歩み始めようとしている。


ペネロペ・キアッピーニ

ジークガット南西国境のテレシカという港町で生まれた。大家族で暮らしており、移住してくる直前は祖父母、両親、少し歳の離れた兄、兄の嫁、姪っ子、自分の八人で暮らしていた。幼少期から都会に憧れており自分の街を出たいと思っていたペネロペは、実家の跡取りを兄に頼み、16歳(弾圧完了が12才頃)で伯父の知人の技師ワルターを訪ねてセントホルネに移住する。移住してからしばらくは生活費を稼ぐため時計台以外にパン屋でも働いていた。現在は少し生活が安定し、時計台技師の修業のみに絞っている。テレシカが田舎だったこともあり、今迄あまり勉学をしていなかったが、セントホルネに来てからは自分で少しずつ努力している様子。それでも、やはりきちんと学校を出ているエリオットなどには敵わないようで、その辺には少しだけコンプレックスを持っている。自分の移住を反対した両親に「必ず技術を持ち帰る」と説得してきてしまった手前、後がなく焦っている。本編ではそんな中、ユージンと出会い、親近感を持って接するうちに自分を見つめ直せるようになっていく。やがて彼に淡い恋心を持つようになり、本編中盤からは少し積極的になった。


エリオット・ハート

エリオットは短縮形のため、正しい名前はエリアス・ハートである。セントホルネ町議員のバルタザールと令嬢ヴァイオレットの間に生まれたお坊ちゃん。ちなみに母のヴァイオレットには姉と兄がおり、兄が現在の企業社長で、姉は裕福な男性の元へ嫁いだ。ヴァイオレットとバルタザールの結婚は周囲の反対を押し切ってしたものなのでエリオットは母方の祖父母から嫌われている。更にその中途半端な生まれの良さが仇となり、仲間からもいじめられていた。父が町長になったのは八歳頃である。その頃から周りも静かになった。現在はセントホルネ内の研究所で主に自然工学を勉強している。学生時代から大人しく控えめな性格であったが、学者になるという夢を持ち、地道に努力してきた。この頃、彼の夢を応援し励ましてくれたのがアイビーである。今でこそ辞めてしまったが、ちゃっかりピアノと護身術(本編でダンカンを返り討ちにしてる)を心得ている。眼鏡になったのは割と最近。一応自動車を運転出来るのだが慣れていないのか腕はいまいち。実家暮らしだが、研究所に泊まり込んだり、夜遅くまで資料を纏めていたり、生活は不規則気味である。上がり症ではないが、少々恥ずかしがり屋である。


ワルター・ホリングワース

セントホルネの生まれであるが、セントホルネよりも他の街で過ごしていた時期の方が長い。丁度青年期頃に産業が周囲で急速に発達し始め、その波に乗るようにして機械や時計などの修理をするようになり、やがてはそれを生業として色々な街を転々と歩いた。20代後半頃、エリベで製鉄業に携わる。その頃に現在の妻であるナタリアと出会い、結婚した。特定の仕事を長期間やると言うよりは、とっかえひっかえモノ作り系の色々なことをしていたのだが、結婚後はセントホルネに戻り、きちんと住居を買った。そこでナタリアとの間に一人娘、ステラが生まれ、そろそろひとつの職に就こうと決意。そんな中、以前友人であったバルタザール・ハートと再会し、彼の計らいで小さな時計屋で働き始める。後にバルタザール直命で3代目のセントホルネ時計台管理人になった。先代の管理人の元で少しだけ研修はしたが、既に技術をある程度持っていたので期間は短かった。その後、以前テレシカに滞在した時の友人、シストから弟子になりたがっている姪を派遣したいとの意向を受け承諾。その姪がペネロペだった。技術をほとんど持っていないペネロペに一から指導するのは大変であったが、それでももう一人の娘のように接している。ナタリアと結婚する前まで、何度か女関係で痛い目にあっており、彼の恋愛観は非常に神経質である。自分の考えには頑固であるものの、本当は周囲に思われている以上に寛大で粋な男である。


バルタザール・ハート

エリオットの父。センホルネで生まれ、セントホルネで育った。同じく地元で育ったワルターとは幼馴染である。医者の家庭に生まれ勉強も出来たが、当時からあまり手先が器用ではなく、何かと技術面でワルターに負けていて、悔しい思いをしていた。産業の波がセントホルネに訪れると、ワルターを含む友人たちはこぞって都会へと姿を消してしまった。自分も何かしなければと焦り始め20歳頃から本格的に政治の勉強を始め、町の活性化を図るべく26歳から町議員になる。町議員になるまでは家庭教師をしていた。町議員として選ばれてすぐに、「急激な産業の発展は公害に結びつく」と主張し始めたが、産業化を反対していると取られ、周囲から白い眼で見られるように。その時、新人として新たに町議員に加わったダンカンが味方に付く。やがて半年後実際にエリベ付近で公害が起こり始め、それに対処するとバルタザールもダンカンも一気に支持率を伸ばした。その後、大企業の令嬢ヴァイオレットと恋仲になるが彼女の両親から大反対を食らう。それでもくい下がらずに必死に説得、しぶしぶ了承を得て結婚。彼が35歳の時にエリオットが誕生する。町長になってから魔人弾圧の話が出始め、何もそこまでと反対意見を出すが通らず。昔は味方であったダンカンは弾圧賛成派になり、その場で決裂。セントホルネのみ参加しない意向で弾圧が開始してしまった。


アイビー・キニアス

コンチェッタの宿舎を経営する家庭に生まれた。知人にたまたま男が多かったので、その影響を受け、力も精神も強いタフな女性となった。現在の一人称は「私」であるが、以前は「俺」であったくらい。飛行機技師になりたいと思ったのは10歳頃からである。兄のオーエンが飛行機技師の勉強をしていて、大きな影響を受けたからである。近所の少年たちと傷だらけで駆け回るのを止め、勉強を始めた。オーエンが技術を学ぶと家を出て数年、アイビーが17才になった頃、彼は突然自宅に帰ってきて、冒険家になりたいと言い出した。これにアイビーは両親と共に大反対し、引き留めようとする。しかし、オーエンの意思は変わらず、結局兄妹で喧嘩に。兄のように技師になりたいと憧れていたのを裏切られたため、涙を流すほどショックを受けた。以降、兄の事が嫌いである。兄と同じにはならないと決意したため、都会に出て勉強すると言う事はなく、自宅から通える近場のセントホルネで色々学んだ。その頃(大体20才くらい)からエリオットと仲良くなったようだ。兄に似て楽天家な節もあるが、思いきり笑うことは少ない。情熱的と言うよりはクールで年齢に見合う冷静さを持つ。近寄りがたい雰囲気を纏うものの、彼女自体は結構フレンドリーで、友人関係は良好である。


ダンカン・パッテン

セントホルネ生まれのセントホルネ育ち。親は幼い頃に離婚、再婚している。親権は母にあったので、10歳頃から新しい父親と生活している。歳の離れた父親違いの妹がいるが、妹の事は良く思っておらず、現在全く連絡は取り合っていない。幼い頃から勉強嫌いの不良少年であった。元々政治や人々の生活に無関心であったが、突如訪れた産業化の波を嫌がり、古くからの街を大切したいと思うようになる。この街は俺が変えると決意してからは珍しく勉強を続け、学校にも行った。町議員になるまでの間は土木作業などをして資金を稼ぎ、22歳で町議員となる。町議会の人間は皆産業化に賛成である一方、一人だけ産業化を嫌がっている町議員、バルタザールを発見し、仲間になる。いつか来るであろう公害の波に備えバルタザールと共に文献を読み漁り、さまざまな対策をたてる。やがてエリベで予測通り喘息が出始め、計画通りの対処をする。数年後、アディニーナの魔人弾圧の話をアルティリークから持ち帰るがそこで初めてバルタザールと意見が割れる。弾圧終了後の焼野原へ野次馬にいったところディアンの術の衝撃に巻き込まれた盗賊団を発見。かろうじて生きていたエイベルを保護する。セントホルネ内で仲間が欲しかったダンカンはエイベルをボディーガードとして雇い、自らの計画の実行を手伝わせようと思ったのだった。


エイベル

本編で書き切れなかった設定が多い。本名はフラヴィアーノ・ルッカ。親しい人からはラヴィと呼ばれていた。故郷はカルタンテ。両親と二歳下の双子の弟たちと住んでいた。弟の名は兄がノルベルト、弟がライモンドである。幼少期は家族と幸せに生活を送っていたが、15歳頃、祖父母が住む隣町で港病と呼ばれる熱病が流行(セルマの姉であるキャロルもこれに巻き込まれた)。周囲の街を巻き込み家族も親戚も全員死んでしまう。エイベルは泣きながら近所の家から金品と食べ物を盗んで町を出る。だが、街を3つ越えたところで自身も病にかかり倒れる。そして近く通りかかった盗賊に襲われそうになるが、必死に抵抗、団長に気に入られ、命を助けられた。帰るところも無かったのでそのまま盗賊団に籍を置くことを決意し、偽名を貰い団員になった。数年後、ジークガット内のアルティリークに訪れると、そこでは偶然にも暴動が起きようとしており、タイミングを狙って火事場泥棒でもしようかということになる。だが、ディアンの起こした衝撃に巻き込まれ盗賊団は壊滅。再び死にかけたところを、ダンカンに救われ、またもやエイベルだけが助かってしまう。エイベルはもう自分は死んだものなのだと自由に生きることを諦め、ダンカンに忠実になっていった。無口なポーカーフェイスであるが、感情が薄いわけではなく、ただ表情に乏しいだけである。今まで不幸だったとは思っていないが、楽しそうにしている若者を見るとやはり羨ましく感じてしまうようである。顔と腕にある傷は弾圧の際についたもの、それと別に体中に流行病の痣が残っている。ペネロペと同じ赤毛であるが、彼の方が赤みが強い。肌はやや褐色である。


オーエン・キニアス

アイビーの兄。実家の宿屋で何人もの旅人と話していくうち、空の魅力にとりつかれ、14歳頃から飛行機技師の勉強を始めた。だが、アイビーが自分と同じく飛行機技師の勉強を始めた時、彼は自分の夢は飛行機を作ることではないと気づき、2年ほど技師の勉強をした後、目指す先を技師から操縦士に切り替えた。両親はパイロットになることについて反対であったが、それでもこっそりと努力を重ねた。「技師になる」と嘘をつき都会へ出ると、同じくパイロットを目指す友人たちと勉強を重ねる。師の元で本格的に技術を学びつつ、両親に本当のことを言えないまま時間だけが過ぎてしまった。冒険家になると告白したのは24歳のころで、勿論大反対されたが、自分の人生は自分で決めたいと言って半ば決別する形で家を出る。作中で登場するセルマのペンダントは、この頃(家を出てすぐ)に購入したものである。現在は写真を撮影したり、著書を執筆したりしながら異国の秘境などで探索を続けている。2年前に史上3人目である飛行機を使った世界一周に成功、冒険家の中では結構な有名人である。楽天家で熱血馬鹿だが、それでも、家族を裏切ってしまったと言う罪悪感を抱えており、いまいちその辺りは煮え切っていない。今でも兄らしく妹を心配したりもするが、思ってる以上にアイビーから嫌われていたことに気づき、本人も困っている様子。人と接することは得意だが子守は少々苦手。


オズワルド・フレッカー

アルティリークの大工の家庭で生まれ、幼い頃から土木関係に就職しようと考えていた。父子家庭で育ち、15歳の頃にその父も亡くしている。旅行にくる人が多いアルティリークで、色々な土地の人と触れ合いながら育った。隣村であるアディニーナには近づくなと教育され、魔人を恐れて暮らしていた。18歳で建築士になろうと知人の元で修業しはじめ、その時、セルマ、キャロルと知り合う。そんなある日、自宅の影でずっとセルマを見ていたディアンを見つけ、彼の恋を応援するようになる。以降、二人が友人・恋人と発展するのをずっと見守っていた。元々は魔人弾圧派であったが、ヴィクトリアの考えに次第に疑問を持つようになり、ディアンが魔人であることを知ってからは魔人批判の考えを完全に改めた。やがて魔人弾圧が始まり、アディニーナでトリクシーを守ることが決まると、彼はディアンから幽閉場所の設計と魔導人形の管理を任される。弾圧終了後、その目でディアンの死を見届けると、アルティリークで個人経営を始めた。それから7年間、たった一人でトリクシーの生活を管理、時が満ちるのを待ち続けていた。喜怒哀楽は割としっかりしている方であるが、ディアンの処刑では唇を噛む程度で涙を流したりはしなかった。


ディアン・トレイラー

純粋なアディニーナの民で、体内に魔力を宿す。広々した村で育ち、子供のころは今と違ってやんちゃであった。幼い頃からアディニーナ村長であるテレンスの元で術を教わり、その才を見込まれていた。医療・治癒系が得意分野であったが、ほぼ全ての術において秀でた能力を発揮し、過去に存在した大魔人の先祖返りとまで言われた。買い出しのために正体を隠してアルティリークへ赴くことが何度かあったのだが、その際に偶然見かけたセルマに一目惚れ。同じくアルティリークに住んでいたオズワルド・フレッカーと友人になり、彼の協力を受けながら必死にセルマへとアプローチをする。結婚後はセルマ、トリクシーと共に故郷のアディニーナで暮らした。アルティリーク周辺で魔人弾圧の声が大きくなり始めると、娘を守るために文献を読み漁り、使えそうな高度魔法をかたっぱしから習得。幽閉部屋や魔導人形の制作を開始する。そして娘の未来をオズワルドに託し、村人たちと自決した。ただし、他の村人と違って最後まで息があったため、日を改めてアルティリークで処刑された。自決すると決めていても、復讐心があったディアンは最後の最後で時間崩壊の予言を残し、町々に呪いをかけていった。ただし、ディアンの言う時間崩壊とは、正確には磁場を崩壊させて機器類を壊す術である。弱点として術式の書かれている時計台から半径10キロ程度の範囲内でかつ地面に触れているもののみにしか効果を与えられない。



シャーロット・ケイシー

30代前半。セントホルネ町長助役。部下に厳しいキャリアウーマン。


ナタリア・エマーソン

ワルターの奥さんで通称ナタリー。エリベ出身の女性。


ヴァイオレット・リトルトン

バルタザールの妻で、エリオットの母。大企業の令嬢。


ステラ・ホリングワース

名前のみ。ワルターの娘でセントホルネで絵描きをしている。


セルマ・クレイン

アルティリークに住む娘。姉と共にアクセサリー店で働いていた。トリクシーの母であり、魔導人形のモデルとなった人物。


キャロル・クレイン

アルティリークに住むセルマの姉。アクセサリー店、ノスタルジアの店主。故郷のカルタンテに帰省中、流行病で死亡。


テレンス・オードニー

アディニーナ村長。厳格ある強面の男。ディアンが生まれる前までは村で一番の魔力を持つとされていた。


スーザン・ティンダル

アディニーナの住人。魔導人形の術に特化しておりアディニーナでも指折りの魔女とされる。


セドリック・ゲーチス

アディニーナの住人。ディアンは兄弟子に当たる。


ヴィクトリア・バラクロフ

弾圧を掲げた先代のアルティリーク町長。弾圧終了後、病で死亡している。


スペンサー・リチャーズ

名前のみ。エリベ町長。就任後間もない頃に弾圧に協力。


シスト・キアッピーニ

名前のみ。ペネロペの父方の伯父。ガラス職人をしている。ワルターと仲が良い。


アビー

本編で明かされなかったペネロペが昔働いていたパン屋の店員の名前。愛想のいいおばさん。


サラ

本編で明かされなかったエリオットの先輩にあたる女性の名前。細身で華奢な研究員。


エドガー

本編で明かされなかった宿屋の店主の男の名前。ステラと面識があり、何度か店に飾る絵を描いてもらったことがある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ