表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反逆者達の舞踏会  作者: 久遠
3/3

学校にて

「昨日やってた魔術師の番組見た? 俺テレビの前で叫んじゃったよ。名前知らないけどあのオッサンスゲーな。ネットでは『テレビは今世紀の頭から酷くなった』っていうのが常識らしいけど、捨てたもんじゃないな」

 俺の友人の幸麻呂(ゆきまろ)が話しかけてきた。

「醍醐にテレビの話題振っても絶対答えないよ。醍醐のテレビ嫌いは有名だろ。まろやん」

 (とも)が俺の代わりに答えてくれた。

 俺は基本この二人と一緒にいる。こいつらとは中学からの仲で、奇妙だが五年間一度も違うクラスになったことがない。

「俺の代わりに答えてくれてありがと。トモさん。おかげで若干ながら手間が省けたよ。って訳で、俺は見てない」

 二人に言った。

「醍醐君って、不思議ですよね。いつも皆とは何処か違っていて、個性的というか」

 俺の隣の席にいる有里子(ありす)が言った。

 彼女は学校で一番美人らしい(これは同意できる)ので、彼女と話すことは男子生徒の間では夢のようなことらしい。

「あっ、有里子ちゃん。今日も良い天気だね」

「黙れ変態。ってかお前毎日しつこい」

「そう言って、実は僕と話せるのが嬉しいんでしょ?」

「いい加減にしないと訴えるぞオラ!」

「す、すみませんでした……」

 幸麻呂が土下座をしている。そっとしておこう。

「そんなにまろやんを虐めなくても……」

「あっ、ごめんなさい醍醐君」

「本当に醍醐に対しては優しいよね。有里子さんは」

「そんなことないよ智君。私は皆に対して優しいでしょ」

「おい、皆に優しいって言ってるのに何で俺には冷たいんだよ! 説明してくれよ。有里子さん」

「誰か私のこと呼んだ?」

「俺は呼んでないが」

「僕も呼んでいませんよ」

「おいお前ら! 友を裏切るのか?」

「あの、醍醐君と智君。今度三人で買い物行かない?」

「別にいいけど」

「僕でいいのですか?」

「うん。二人だからいいの」

「畜生! お前らばかり良い思いしやがって!」

「ではいつにしますか?」

「私は来週から用事がありまして忙しくなるので、なるべく今週の日曜日にしてもらいたいです」

「俺はいつでも暇だから」

「では、今度の日曜日で」

 俺の足元で幸麻呂は声を詰まらせていた。

「まろやんも一緒に連れてってやってもいいかな? 有里子さん」

「僕からもお願いです。まろやんが可哀そうだからさ」

「おっ、お前ら……最高だよ」

「無理!」

 一人の青年の想いは残念ながら通じなかった。

 

 今夜も奴はテレビに出ている。

ネット上では「イザナギ様ぁ」「今日もまた多くの人が救われる」「イザナギ様以外はテレビに出なくてもいい」等の意見から、「そんなにこいつは凄い奴なのか?」「いい加減もう飽きた」「またもゴリ押しか」等の意見も飛び交っていた。

……こいつは「イザナギ」と言うのか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ