No.2:空のない街 (中編)
この街には、空が存在しない。そのあるべき部分には、不気味に黒い煙が立ちのぼるだけである。
カイルが言った。
「なぁ、こんなとこで何やろうってんだ?」
一同が黙りこんだまま、車は走る。
やがて、運転手が呼び掛ける。
「さあ、着いたよ」
決して上機嫌ではなくなった3人に、静かに、冷静に言った。おそらく、これから何があるのか大方知っていたのだろう。
「じゃあ、説明を始める。今日の依頼は殺しだ。 .....正直言ってやりたくはないが仕方が無い。しかも依頼主は民間人だ。そして目的はこの街の市長である、
フレッドソン・ローレンスという人物だ。」
瞬間、カイルが目を逸らしてびくっとしたのが誰の目にも分かった。
「.....!」
そして運転手は淡々と説明を続けた。
「フレッドソン氏は現在、そこの角を左に曲がり30m程のところに停車しており、近くにはスナイピングポイントもかなりあるようだ。いずれにせよ早く行かねば見失ってしまう。急ごう」
「ちょっと待ってくれ」
「何だ?」
「いや、やっぱりいい.....行こう。」
彼らは目的地へと向かった。
「そこだ.....よく狙え。」
「カイルは?」
「ターゲットと話している。まさか、知り合いなのか?」
「.....おそらく親戚だな」
「それを殺せと? 正気か?」
「仕方があるまい、仕事だ」
やがてカイルが離れ、間もなく銃声が響いた。とはいえ、サプレッサーを装着しているのだから、ほとんど無音に近い。
「終わったか」
「ああ。」
一同はJEEPに飛び乗り、その場を去ろうとした。「運転手は無用だったな」「今回はうまくいったよ、サンキュー。」
その時。