始まり
はるか昔、世界に魔法が満ちていた頃。
海の真ん中に小さな島が浮かんでいました。島の名を、ルカ・リズベント島といいました。ルカ島は精霊に守られた聖域だと信じられ、誰も行こうとしませんでした。
そのルカ島に、ソルシディアンという人々が暮らしていました。
精霊たちと心を通わせ、魔法を操る彼らは決してほかの国とかかわりを持たず、誰にも知られないように静かに生活していました。
・・・しかし、ある日。
世界を支えていた魔法のバランスが大きく崩れ、後に「魔法の災禍」と呼ばれる大事件が起こりました。
生き物の姿は消え、空は毒の空気でおおわれてしまいました。
人々は恐れおののき、地面に穴を掘って地下に住むようになりました。
「魔法の災禍」の中心地だったルカ島にいたソルシディアンたちはたくさん死んでしまいました。生き残った人もどこかへ姿を消してしまいました。
20年後。
空をおおっていた毒は消え、大地に緑が戻って行きました。人々はまた地上で暮らし始めましたが、誰もソルシディアンの行方をしりませんでした。
これから始まるのは、災禍から20年後の世界に起きた一人の少女と一人の「王」の話。
決して結ばれることのない二人と、魔法と未来のストーリー・・・
うまく表現出来たかわからないけど、魔法で満ちた世界の一角で起きた小さくて歪な恋のお話です。どうぞ楽しんだください