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閑話 参
十歳になった頃、父様が僕の胸に黒い石を埋めた。
我が家に代々伝わる秘術で痛みはないって。
あの子がお嫁さんになってくれて、
僕が新しい竜神様になるんだって。
そうすれば、あの子もきっと、隣にいてくれる。
握りしめた拳に力が沸いてくる。
用意された木の的人形を殴りつけた。
人形が爆ぜた。
後ろで父様が叫んでる。
うるさいなぁ…。
これであの子を迎えに行ける。
僕を選んでくれるかな。
あいつより、ずっとずっと、強くなった。
そうだよ。あの子は僕の側にいてくれなくちゃ。
ああ、早く会いたいなぁ。
振り返って、唾を飛ばしてわめく父様の醜い顔面に、拳を撃ち込んだ。
やっと静かになった。




