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閑話 弐
父様が、毎日僕を殴る。
僕が、少しも力を扱えないから。
蹴られる腹には、大小さまざまな痣が浮かんでいる。
もう、痛みも感じなくなってきた。
あの子に会えなくなって、どのくらい経っただろう。
あたたかくて大きな庭でいつも笑っていたのに。
折檻部屋にやって来た父様が、僕を睨みつける。
『何故、東家の倅などに先を越された。本家の巫女を手に入れろと、命じたはずだ』
底冷えするような声で、僕の心を縛りつける。
だって、あの子に泣いてほしくない。
僕よりも、あいつのほうがずっとずっと、あの子を守れる。
だけど、そんな事言わない。
言えば、今度はどこを殴られるかわからない。いや、蹴られるかも。
ああ、でも、あの子が僕を選んでくれたらなぁ…。
あいつじゃなくて、僕を選んで、ずっと側にいてくれないかなぁ……。
そうだよね。父様だって、そう言ってるんだ。
僕が、あの子を、手に入れなきゃ………。




