表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の待つ都  作者: 紫月 京
第二章 たどり着いた北の村

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/58

第二十五話


少年の真っ直ぐな問いかけに、五十鈴は咄嗟には答えられなかった。

言葉に詰まる五十鈴に何を思ったのか、玄カガチは首を横に振った。

「いや、やっぱり、いいや。水の君たちがあんたの事をとても大事にしてるみたいだから、聞いてみたくなっただけなんだ。

 始まりの巫女様は白銀の髪をしてたっていうから、そうなのかな、って…」

何と答えるべきか、五十鈴は迷う。正直に素性を明かすべきか、隠し通すべきか。

陽向たちと自分とでは、この少年との時間に三日の隔たりがある。

気を許しても大丈夫な相手なのか、判断がつかなかった。

葛藤する五十鈴を助けるように、陽向が口を開く。

「白の君、俺たちは明日の朝には仙北山に登る。クロにもついて来てもらおうと思ってる。その道中で、クロと交流してみて、決めればいい」

陽向が山頂への道に同行させようと決めているのなら、信じてみてもいいのかもしれない。

そして陽向は駿河に目を向けた。

「それで、さっきの続きなんだが…」

「ああ、登山口の戦闘の跡な。防具の破片や衣の切れ端なんかが散乱してたんだ。クロが言うには、村長をはじめとする村の大人たちの装備に見えるって事なんだが」

駿河の確認に、玄カガチも首を縦に振った。懐に手を入れ、土汚れのついた布の切れ端を取り出して五十鈴に見せる。

「そう。これ、村長が着てた装束の色に似てるんだ。ここに、わかりにくいけど刺繍も見える。村長の家を表す紋だ」

少年が差し出した布には、うっすらと血の跡が見えた。

「多分だけど、都から来たあの役人と戦ったんじゃないかと思うんだ。どこかで、あいつが竜神様の御力を奪おうとしてる事に気づいたのかも」

「ただ、遺体はなかった。戦闘があったとすると、その後村の大人たちはどうなったのかがわからない」

続けた駿河の言葉に、背筋が寒くなる。

村の大人たちを連れ去った役人とは、何者なのか。

村長たちは無事なのか。今どこにいるのだろうか。

考え込む五十鈴の横から、陽向が手を伸ばしてきた。

そっと、五十鈴の握りしめた拳の上に温かい手が重ねられる。

「…っ」

「三日の間に、俺たちは共に戦い、会話し、この旅の間だけでも共闘しようと決めた。けど、白の君はまだ、不安だな?もっと交流する時間を持たせてやりたいが、その暇がない」

「……」

「俺が…俺たちが必ず守る。だから、旅の目的は見失わないでくれ。

 白の君は、何の為に、ここまで来た?」

静かに問われ、五十鈴は仙北山へと目を向ける。

「…竜神様のご無事を確かめて、都に水を取り戻す」

「そうだな。なら、その事だけを考えろ」

頼もしい陽向の言葉に、五十鈴は素直に頷いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ