指で作るスマホ
認められたい、認められたい。最初にもらった「いいね」がどれだけ嬉しかったか。
どんどんと大きくなる、「認められたい」。頭の中の誰かが私に囁く。それって、なんの意味があるの? でもやめられない。だって、私の「認められたい」を一瞬で癒してくれるから。
ある日、「認められたい」が飽和して弾けた。もう、高いカフェ代、払えない。
虚構で貼り付けた写真たちの中に、本当の私って、どこにいるの?
SNS、もうやめよう。
そう決意して1日。料理の写真撮ってたら、この写真をどうしてもSNSにあげたい。つい投稿してしまった。やめられない。そうだ。料理、もうやめよう。
そう決意して1日。カフェの写真を撮る。自慢したい。ここのカフェ本当に美味しかったし、みんなに共有しなきゃ。投稿ボタンを押す。まって、みんなって、誰だよ。やめられない。そうだ、写真、もうやめよう。
そうして私は写真を撮りたい時、自分の指で四角をつくって、「カシャ」というようにした。外から見たらだいぶ変人だろう。でも、こうしなきゃもうやめられなくなっていた。空の色が綺麗な時、カシャ。カフェの新しい新商品、カシャ。クリスマスのイルミネーション、カシャ。
あ、ツリーの下で手を繋いでる恋人。実際に撮ったらダメだろうけど、指で作ったスマホなら撮ってもいいかも。カシャ。
彼氏と目が合う。あ、やばい。ほんとすみません。そう思ったら、ピースしてくれた。あ、綺麗。私は徐々に四角を大きくしていく。ああ、クリスマスだなあ。素敵。私は近くに寄って話しかける。
「あの、どこにもあげないので写真撮っていいですか? お二人がとても綺麗なので」
あ、そっか。私、写真撮るの好きだったんだ。「認められたい」を捨てて、残ったもの、大切にしよう。
2人は笑顔で承諾してくれた。




