公務員6年目、部署移動したらくそ地獄だった!の巻
アラサー男が、公務員をやめてグループ所属のVtuber(バ美肉)として生きていく話。
身バレ防止のため多少のフェイクがありますが、ほぼ実話です。
(ダメだ、無理だ、限界だ!もう俺には耐えられない……!)
前後左右で鳴り響く電話の音と、デスクに積みあがった書類の山。遠くから聞こえる、怒鳴り散らかす市民のおっさんの声……。
叫びだしそうな脳みそをぬるくなったカフェオレの甘さで押さえつけて、俺は渋々受話器を取った。
地方公務員歴6年目の俺は、この4月から新たな部署に配属された。
俺の働く役所内でも「超絶激務」と名高い、悪魔の部署だ。
おい、お前ら。知ってるか?公務員って、数年ごとに部署異動があって仕事内容がガラっと変わるんだぜ?
5年前…俺がピチピチの新人時代に配属された部署は、所謂「窓際」的な閑散とした部署だった。
本庁舎から離れた出先の部署というのもあって、市民の監視の目も少なく、仕事量も多いわけじゃない、残業もほとんど必要ない。いろんな意味でゆるい部署だったわけだ。
なんなら、仕事よりも気難しい先輩職員の機嫌取りの方がキツかったくらいのもんだ。
それが、今じゃどうだ。
20時まで残業は当たり前。予算に会議に、なんなら公務員に営業なんて仕事はない癖に 業者への挨拶で外回りもしなくちゃならない。
ゲームで例えるなら、全方位のステータスが満遍なく高い……そんなマルチプレイヤーが求められる部署だな。
正直詐欺だろ。俺は、「残業の義務がない」と聞いて公務員になったんだが?
ゴールデンウイークも過ぎ、新しい部署での仕事も本格的に俺に割り振られるようになってきた。
激務と称されるこの部署では、毎日毎日これでもかと言うほど、あれやこれやと新しい仕事が降ってくる。
確かに残業の義務はないかもしれない。
だが、俺が投げた仕事は他の職員がこなすことになる。そして、俺よりも早く帰る職員は、この部署にはいない。
そんな状態で仕事を放り投げて帰れるほど、俺の心は腐っちゃいねえ。つまり、残業は必須ってわけだ。
画面光度を落としまくってもはや暗すぎるPCの画面に映っているのは、表計算ソフト。
先方からは、何度も何度も何度も何度も修正された数字が送られてきやがる。その都度修正に修正を重ねて、いまだに確定して出力できないクソみてえな表……。
「やってらんねぇ……」
電話を切って小さく呟いた俺の声は、別の電話の音にかき消された。
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