表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第三章・やる事が一杯で目が回るかも?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/108

第88話 異なる世界の余暇。

 Side:実菜(ミナ)


 私は深愛(ミア)と共に叔母さんの世界を粛々と巡った。

 私達の主観時間では召喚されてきて既に三ヶ月が過ぎ去っていた。

 現在の私達はどの世界にも必ずあるとされる冒険者ギルド等に一切登録せず、


「この肉、美味っ!」

「ええ。つい先ほど狩ったばかりなのに、熟成されているわね?」

「血抜きして直ぐ焼いた肉だよ? ここまで美味い肉なんてあるの?」

「おそらく、この世界特有なのかもしれないわね?」

「それこそ実依(マイ)へのお土産で持ち帰ろうか?」

仁菜(ニナ)も欲するかもしれないから、必要数だけ確保しましょうか」


 身分証明書も無いまま世界を巡り各種情報を集めていった。

 当然、身分証明書が無いので辺境以外の街にも入れず、宿にも泊まれずの生活なので、寝泊まりは野営のみ。手頃な魔物を狩っては都度調理して食事する日々だった。

 流石にお風呂は恋しいけど、この世界の人族は川で水浴びが基本であり、お風呂に入る文化があるのは王侯貴族だけだった。湯を沸かして入ろうものなら鬱陶しい事になるので、清浄魔法を使わない時は私も深愛(ミア)も裸になって水浴びである。

 深愛(ミア)深愛(ミア)を見る時は眼を細めて⦅何処を見てるのよ⦆。


「今日の不寝の番は私かな?」

「ええ。といっても積層結界で周囲を覆えば襲われる心配は無いけどね?」

「見えない壁で先に進めないってやつね。でも、魔力を温存したいから程々に」

「ここで魔力の温存って。普通に変換すればいいじゃないの」

「いやいや、人族の風貌で無限の魔力とか危険視されるでしょ。この森の主にさ」

「ああ。そういう意味ね」


 野営時の警戒は交代で行い、焚き火を消さないよう注意して過ごしている。

 この世界の種族は人族を除くと他種族への警戒を示し、簡単に近寄って来ない。

 現在の目的である森の主ことエルフ族との遭遇を考慮すると、私が言ったように無限の魔力は警戒される原因だ。問題の魔族と同列視する者が居るかもしれないから。


「魔王も魔族も私達が完全討伐したけど、世界中に周知されるまで結構かかるしね」

「魔族が残存していると思っている者が多いと。討伐逃れも居るから、仕方ないか」

「幸い、魔族の勢力圏が魔族領と近場の辺境だけだったから、助かったけどね」

「司祭の汚染ね。近場の神殿はほぼそれだったけど。毎度、浄めて感謝されて」


 危うく女神と気づかれそうになった事も多々あった。

 この世界の女神は主祭神たる叔母さんとティルだけだ。

 私達が二人に成り代わってしまったら大事だよ、色々と。

 なので気づかれそうになったら速攻離脱するのだけど。


「国家の中枢に邪神の眷属が居ないのなら、私達が気にする必要は無いのだけど」

「三カ国だけは居たものね。他にも居るのかしら? エルフ族も含めて」

「どうだろう? この世直し旅もとい、更新に必要な情報集めが終わるまでに何度出くわすか……今は想像すら出来ないかな」

「面倒ね?」

「ほんそれ」


 なお、商人達に遭遇しようものなら〈隠形〉で姿を隠してやり過ごしたりした。

 この世界での黒髪黒瞳の容姿は大変珍しく、下手すると奴隷商に捕まってしまう。

 あの問題児達でさえプリンが多かったがティルの付与により髪色が変化したしね。


「邪神の眷属との遭遇に加え、奴隷商か……そんなに珍しいの? この髪色って」

「極東に行けば少数民族が居るらしいけど。大半が本来の容姿に近い煌びやかな髪色が多いね。平民に金髪碧瞳は居ないから、素で出歩くだけで面倒を呼び寄せるよ」

「王侯貴族に多い髪色か。ところで、この世界での属性ってどうなっているの?」

「聖属性は神からの賜り物として神官職のみに。他は各種属性精霊に依るかな」

「各種属性精霊……てことは、この森に居るのは?」

「植物精霊と風、水も居るかな? 鬱陶しいけども」

「やっぱりぃ。火を使うと火精霊がうじゃうじゃ集まるのは、それだったのね?」

「滲み出る神力に寄ってきているんだろうね。精霊達のおやつみたいなものだし」

「おやつって。それなら徹底して制御しないと」


 ちなみに、世界での情報収集は私が行い深愛(ミア)はその整理に付き合ってくれている。私の権能は自動蒐集だから、歩き回るだけである程度は集まるんだよね。

 情報整理が滅茶苦茶面倒だけど。言語も違うから都度照らし合わせて解読してね。

 不寝の番では得られた情報の整理と位置情報の把握に努めている私であった。

 すると深愛(ミア)が神力の放出を極限まで抑えつつ質問してきた。


「ところで、今は何割くらい集まっているの?」


 私はこの世界専用に創った魔導書を取り出してペラペラと捲った。


「えっと、三ヶ月と少しで……半分だね。まだ全てとは言い難いよ」

「まだそんなにあるのね。お風呂が恋しい」

「分かる」


 湯に浸かって深愛(ミア)の裸を徹底して眺めたいよ。


「裸って。水浴びの度に見てるでしょ? ここも」

「そうなんだけどね。やっぱり違和感が仕事してるから」

「あー。そういう意味ね」


 深愛(ミア)がスカートを捲ってチラッと見せてくれた白いパンツ。

 汚れは⦅洗っているわよ!⦆そこまで無いが、生地がボロボロだった。


「そろそろ上着も変えないとね。浄めても生地の傷みだけはどうにもならないし」

「補修魔法とか無いの?」

「あるけど、目立つから使えないよ」

「目立つって?」

「周囲が無駄に輝く」

「それはダメね」


 創造空間内で行う事も出来るけど、着ている物を脱がないといけない。

 新しく創ってもいいのだけど、人目の付く場所では使いたくないんだよね。


「使えばいいじゃないの? 丁度、森の中だし」

「いやいや、こんなだよ?」

「ひぃ!? だ、断面図!」

「美味しそうな肉。血は滴り落ちていないけど真っ赤な肉が見える。その時点で魔物や野獣が寄ってくるよ。これを使うなら遮蔽物のある場所で創りたいかな」

「そ、それが創造空間なの?」

「これが創造空間だよ。一応〈空間収納〉内で創ることも出来るけど、採寸が必要な物はこうやって創るしかなくてさ。動かす度に……お尻をこうやって入れるだけで」


 ズボッと深愛(ミア)に見える位置に創造空間を開けてお尻だけ収めてみた。

 空間に入れたとしても私には害は無い。見た側が顔面蒼白となるだけだから。


「イヤー! 見えてはならない臓物が見えてるぅ!? 溜まってはいないけど」

「溜まるわけないでしょ! こんな感じで外では使えないわけよ」

「あ、実菜(ミナ)のお尻が一瞬だけ見えた」

「そうそう。表面が見えるのはほんの一瞬ね……ズボッと」

「な、何度も、見せなくて、いいから!」


 ホント。この創造空間という代物は使い勝手が悪いんだよね。

 なお、結凪(ユナ)はこの特性を利用して芽依(メイ)達の腹を収めさせて成長具合を調べていたけども⦅医師パネェ⦆利用出来る物を利用していたともいう。

 空間特性で輪切りに見えるだけなので無害な検査方法ではあるかな。

 深愛(ミア)を揶揄った後、


「疲れたからもう休むわ」

「それがいいよ。パンツは脱がすけど」

「ぬ、脱がすって? あー、好きにして」

「言質、取った!」

「余計な事はしないでよ?」

「善処します」

「そこはしないって言って!」


 お疲れ気味の深愛(ミア)が眠ったので情報の整理と共に深愛(ミア)のパンツを脱がせて補修と複製を実行しておいた〈空間収納〉内で。脱がせず創ろうものなら採寸が必要だけど、脱がして元になるパンツがあるなら、これがベストだった。

 私も自分のパンツを脱いでは定期的に創っていたしね。


「しばらくの間はスースーするけど仕方ないよね」


 深愛(ミア)が寝返りを打つ度に見えているけども。

 私は情報を整理しつつ深愛(ミア)の横顔と白い素肌に意識を割いた。

 こうやって見ると美少女なんだよね。普段はそれ相応に騒がしいけど。

 この世界へ訪れて三ヶ月。私の元に集まった情報は半分のみ。

 それも必要な情報だけを選び、不要分を削除して残った量が半分だ。


「不要分は誰が王妃になるとか誰が勇者とか。魔王討伐完了の情報は無し。これは公開しない決定でもしたかな? 神に願って呼んだ手前、無下には出来ないから……」


 この世界にある国家は全部で六カ国。

 内、三カ国は巡っており、残り半分の三カ国を巡ればどうにか集まりそうだった。

 勇者召喚を行った国では早々に情報を集めて終えて、不要分は消し去ったけどね。


「残り三カ国ではどのような情報が得られるのやら。この世界のエルフ族は未知の部分が多い種族だから、特に念入りに調べないとね……〈遠視〉する限り」


 薄い胸のエルフより、エロフと思える胸部装甲の無駄に目立つ種族だったけど。

 男性は筋骨隆々で脳筋と思える筋トレに励んでいた。名付けるなら脳筋エロフか。


「ここに居るだけで情報が得られるからいいけど、この感じは私達の捕縛に動くか」


 長老の元に集まって森で過ごしている人族をどうするか話し合っていた。

 脳筋だけに捕まえて殺せとする者、脳筋だけど争いを好まず追い出せとする者。

 女ならば欲しいとする腰を振る猿エロフも居た。明日辺りにでも離脱するか。

 今、この時も私達の周囲で複数のエロフが監視しているしね。

 会議の結果次第で監視達が動くことが予測出来た。


「レベル30程度で1000以上の私達に勝てる訳が無いじゃん。脳筋だけにアホ」


 魔王すらも半殺しにした私と四天王を瞬殺した深愛(ミア)

 私も瞬殺しようと思えば出来たけど、技量が気になったので半殺しで抑えた。

 抑えたけど意味が無かった。レベル100で天狗になっている魔王じゃね?

 私の息子こと魔王君の方がより魔王だった気がするよ。

 玉座で胡座を掻かず、力に溺れず、日々鍛錬に励んだ。

 私の魔王君に比べると、雲泥の差と思わざるを得ない。


「ん? パンツの複製が完了したかな?」


 魔導書を片付けた私は〈空間収納〉より真新しいパンツを取り出して深愛(ミア)にゴソゴソと穿かせた。股をデデーンと開いて寝ていたから閉じつつね。


「相変わらず、寝相が悪いな」


 一緒に防炎毛布も創っておいたので、上から着せてあげた私であった。


「お腹空いたから、焼きマシュマロでも食べようかな……火精霊も要る?」

「「「コクコク」」」


 創造中は神力が無駄に溢れるから精霊達が寄ってきたよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ