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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第三章・やる事が一杯で目が回るかも?

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第87話 想定の斜め上。

 Side:結依(ユイ)


 姉さんとが深愛(ミア)が母さんの世界から居なくなった。

 焦った私は各管理世界に向かい、姉さん達を探し回った。


(ここにも居ない? 何処に行ったのぉ!)


 焦り過ぎて普段着のまま世界を渡ったから周囲から奇異の目で見られたけれど。

 その時の私は周囲の目など、本当にどうでもよかった。


(次は魔族領に行って……あっ。変装しないと)


 それでも、身を護る行動だけは冷静に対処出来た⦅結依(ユイ)ちゃん焦り過ぎ⦆焦りもするよ! 姉さんが居なくなったなんて私⦅シスコン!⦆うっさいわ!


(シスコンだって自覚はあるよ! 全く、実依(マイ)ってば)


 魔族領に転移して探索すれど見つからず、地底に移って同じように探し回った。

 最後に浮遊大陸まで転移して、侵攻中のゴミ共を大陸の端っこから眺めた。


(姉さんもそうだけど、深愛(ミア)も居ないんだっけ?)


 深愛(ミア)まで消えたのに由良(ユラ)は我関せず⦅忙しいだけです!⦆一人で迎撃だもんね。いつもなら隣に居るはずのうるさい姉が居ないから。


「ま、これだけ鬱陶しいゴミが大量だもんな。忙しくもなるか……」


 私の元にも炎弾が飛んできたけど、そっくりそのまま術者に返した。

 姉さん捜しで苛立った魔神相手に攻撃魔法。そんなに死にたいのね?


「攻撃中の転生者全員から魔法行使の権限を全て剥奪する!」


 その一言で攻撃魔法が撃てなくなり、浮いたまま途方に暮れるゴミ共だった。


「旧第零の直上には浮遊無効結界があるのに、どうやって登ってきているの?」


 改めて鑑定すると⦅そっちかぁ!⦆科学の力を使った浮遊だった。

 石油を採油してジェット燃料を作ったのね。火薬に次いで今度はそっちか。


「それなら乱気流結界を張って、燃焼停止結界を追加かな……」


 新しく魔法を創って由良(ユラ)に譲渡した⦅助かりますぅ!⦆頑張って!


「とりあえず、これで少しは落ち着くかな?」


 するとその直後、私のスマホに一通のメールが届く。


「一体誰よ。こんな時に? ゴミ掃除中なんだから後にして……え?」


 差出人を見ると母さんだった。

 メールの本文を読むと……はぁ?


「何それ? 明覚華(アザカ)叔母さんに呼び出された? 勇者召喚? マ?」


 姉さん……通算三度目の勇者召喚に遭う。


「流石に勇者召喚に愛され過ぎでは?」


 更に本文を読み進めると驚きの結果を示された。


「邪神ってば、あちらの世界にも居るのか。で、姉さんと深愛(ミア)が邪神の眷属である魔王と魔族を皆殺しにした? 本職女神が勇者っぽい事してるしぃ!」


 なお、一緒に召喚されたであろう問題児達は母さん曰く召喚対象者だった。

 何でも岸壁滑落刑で罰する直前、ティルの……私達の従妹だけど……未確認召喚に遭い、巻き込まれたそうだ。あの子ってば⦅ガチのポンコツ女神だよぉ⦆ほんそれ。

 そしていつもの白い空間で転移陣へ干渉、ティルに注意して王都近郊に転移した。

 ティルは誰が訪れたのか戻って検証。始末書ものの状態と知り、理不尽と嘆いた。


「理不尽って言いたくなる気持ちは分かる。私も経験あるし。始末書は無いけども」


 それは自身の従姉達が界渡り的な召喚被害に遭ったからなんだよね。

 私の場合は過去にティルを召喚してしまったことがあった⦅ポンコツ⦆はいはい。

 状況から察するに、分割体のミアが夏音(カノン)姉さんを連れ去った時と同じかもね。姉さん達の場合は、明覚華(アザカ)叔母さんが事前に許可を出していたからそうなったらしいけど。最新版の神器に更新させるため……呼び寄せたと。


「それならそれって最初から教えてよぉ! 私の無駄足は何だったのぉ?!」


 浮遊大陸の端っこで私が一人で嘆いていると追記のメールが届いた。


「ティルをしばらく預かる? 何で? 世界管理を学ばせる? ポカミスだもんな」


 始末書からの神研修か。

 一から学び直してこいと命じられたのね。

 明覚華(アザカ)叔母さんって、立ち位置的にはドMな至音(シオン)姉さんと同じ双子妹だけど、超が付くほどドS⦅研修に行ってきま⦆至音(シオン)姉さん来なくていいとか言われてるよ⦅マ?⦆そんな母だからティルも大変そうだよね。

 父さん曰く『母さんのドSが可愛く見える』らしい。私もそう思うよ。


(つか、至音(シオン)姉さん。復活してから更に個性的になったね……)


 それはともかく、姉さん達の戻りは遅くとも年末くらいになるそうだ。

 世界を見てまわって、こちらとの違いを理解して更新するからだそうな。


(そうなると由良(ユラ)はしばらく一人か……ティルを連れていけばどうにか?)


 どうにかなりそうな気がした⦅ポンコツ女神は要りません!⦆需要が無かった。

 邪魔されるオチしか見えないよね……。ティルも属性的には姉さん達と同じだ。

 つまり姉さん達の同類である知識神なので邪魔しかしない。質問攻めでね。


「知識神、増えすぎでしょ?」


 なお、ティル以外の女神は居ないそうだ。

 各世界の運営方針は世界神毎に異なるから仕方ないけども。


「で? 私に戻って来いと。ティルの迎えに本拠地へ上がれ、か」


 母さんからの命令なら聞くしかない。

 ゴミの侵攻も新結界が展開されたお陰か落ち着き始めた。


「飛んできたら乱気流。エンジン停止が加わるから、見事に墜落だね」


 異世界人の無駄知識が今後も加わるから二手三手先まで想定して用意しないと。

 そのためには姉さんと深愛(ミア)の無駄知識が必要になる。


「さっさと片付けて帰って来いと発破をかけないとね」


 一応、姉さん達の交代要員でティルが訪れるが知識量では二人に負ける。

 中世ヨーロッパ的な世界から一切変化しないから仕方ない話なのだけど。



 ◇ ◇ ◇



 浮遊大陸から擬似精霊界を経由して管理室に戻った。


結依(ユイ)ちゃん、お疲れ〜」

「あれ? 実依(マイ)は迷宮から実家に帰ったんじゃなかったの?」

「一度、帰ったよ。今日は本日当番の結凪(ユナ)の変わりだよん」


 私は実依(マイ)に応じつつ神魔体から出て〈空間収納〉へと片付けた。


『あー、退陣する事になっても、まだやる事があるのね?』

「退陣は未来の出来事だから。まだ訴訟対策しているそうだよ」

『そっか。本日発覚して、これからだもんね。あの人形の罪が露見するのは』

芽依(メイ)が未来視した限りでは、無事に回避出来るみたい。毒親達は意気消沈だけど因果応報って事で」

『自動預払機としか思っていないからね』


 素っ裸で応じつつ神装を羽織った。


「久しぶりの結依(ユイ)ちゃんだぁ!」

『こちらの姿になるの本当に久しぶりだよ』

「最近は宿っている時間の方が多いからね」

『だね。さて、迎えに行ってくるよ』

「いってら〜」


 管理室から転移して母さんの世界の神界に上がった。

 そこから別の扉を抜けて、より一層……神気の濃い世界へと降り立った。


「久しぶりの本拠地……着っと」


 姉さんと深愛(ミア)は、こちらで年に一回行われる神会議に母さんの付き添いで行っているから久しぶりではないのだけど、私は本当に久しぶりだった。

 時々〈遠視〉を使って覗き見る程度で、直接訪れるのは百年振りかもしれない。

 それだけ……父さんの世界を含むと……地上に居る時間が長いともいう。


「確か……800番扉でティルが待っているんだっけ?」


 私の発した〇〇〇番扉とは各世界に繋がる出入口を指す。

 それは電車の〇番線ホームみたいな扱いだね。

 現在、私の居る母さんの世界は500番扉。

 私達の管理世界は777番扉。

 出るならそちらの方が早かったのだけど、


「遠い扉で待っているよね。迷子のポンコツ女神だから仕方ないけどさ」


 近隣は複数世界の扉が乱立していて日々混雑しているのだ。

 各世界の扉は数字が小さいほど古く、大きいほど新世界だ。

 古い世界の扉の大半は崩壊世界で全て永久封印されている。

 封印の奥は邪神が大量に詰まった危険地帯だ。


明覚華(アザカ)叔母さんの世界も邪神共に壊されて、新しく創りなおしていたっけ? 以前は一桁台にあったもんね。それは母さんの世界も同じだけど」


 ちなみに、父さんの世界はぶっ壊れているが復旧した関係で一桁台に残っている。

 完全崩壊したら扉は封印され二度と入れなくなるが。

 一人でそう、ブツブツと呟きながら人気の無い扉前から、無駄にごった返す扉前をも通過して、どうにか目的の800番扉まで辿り着いた。

 途中で何人かの男神やら女神に再会したのだけど……皆、忙しそうだった。


「こういう点は人も神も変わりないよね。各自の位階はともかく」


 神達は世界を管理するまでになると、中位神の位階に昇格する。

 年齢が九桁以上になると自然と上位神になってしまうけどね、母さんとか。

 私達も今では中位神にあたり、知り合いの神は全員下位神のままだった。

 それらはお手伝い要員で、ティルも含めて千才未満は新神、下位神に位置する。

 若結(モユ)達も位階では下位神⦅そうだったの!⦆新神研修で習ったでしょ?

 なお、父さんの位階は……一応、上位だっけ?⦅一応じゃない⦆そうだったっけ?

 話が脱線してしまったけど目的地付近をキョロキョロすれどティルが居なかった。


「あの隠れ巨乳……何処に行ったのよ?」


 他世界の入口を覗き込むも居なかった。

 流石に疲れたので近くのベンチに座ると、


「うぎゅぅ」


 プニッと柔らかい感触がお尻に響いた。

 何事と思い座面に意識を割くとティルが苦しそうに寝転んでいた。


「居ないと思ったらこんなところで寝ていたのね」


 私は大きく育った胸が目に入り、左手でギュッと揉んでみた。


「んんっ……」

「感じちゃったか」


 基本、神装の下は素肌だ。

 ピラッて裾を捲るとティルのティルが見えるから。


「濡れてはいないか」

「……」


 裾を戻して視線を胸に向ける。


「この際だから、もっと揉んどこう……」


 左手に胸の弾力を感じていると声がかかった。


結依(ユイ)ちゃん?」

「あら? 起きた?」

「流石に起きるよ!」


 神装越しでも直だしね?

 流石に感じるよね。


「おはよう。未確認召喚で始末書を書いたポンコツ女神様!」

「うぐぅ」


 これくらいの意趣返しはしてもいいと思う。

 姉さんの捜索であちこち飛んだのだから。

 ちなみに、ティルの外見は姉さん達と同じく白金髪碧瞳だ。

 髪型はショートヘア、目元は垂れ目という温厚そうな見た目だ。

 性格は父親似で比較的穏やか。ポンコツは天然が現れた結果だが。


「天然って」

「自覚して」




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