表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第三章・やる事が一杯で目が回るかも?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/108

第86話 後は好きにして。

 一度目の召喚はされた側、深愛(ミア)はした側⦅不本意だけど!⦆。

 二度目の召喚もされた側、それは拡張枠を利用された結果だけど。

 で、三度目は埒外の、同類様からのお呼び出しだった件。


「やっぱり転移か。拒否とか出来ない?」

「いや、無理っぽい。肉体が縛られたよ」

「誓約か……またも誓約に縛られるなんて、ついてない」

深愛(ミア)の幸運値、いい加減……上げないとね」

「幸いなのは私だけではなく実菜(ミナ)が居た事か」

「一人だとアレに犯されていただろうね。以前みたいに」

「言い返せない。それは言い返せない」


 諦観の面持ちでティルから『行ってらっしゃい』をされる私達。

 問題児達は人外な力が得られたとして大喜びだったけどね。バカバカしい。

 ティルが去り、白い空間だけとなり、転移が始まった途端に本性が現れた。


「よっしゃー! これで女を犯し放題だ!」

「はっ。魔王を倒すだ? 知るか! そんな事!」

「そうそう。俺達は俺達の生きたいように生きるだけだ!」


 母さんの世界に帰る気が無いだけ救いではあるかな?

 帰る気で居るなら妨害しようと思ったけど不要だった。

 私は問題児達との間に空間を隔てる隔離結界を張り、


「それで条件はどうなっているの?」


 深愛(ミア)の言う誓約の条件を解析した。


「魔王討伐だけど……帰れないパターンだよ」

「そ、それって、帰りの経路が無いって事?」

「うん。こちらも邪神が暴れているんだろうね」

「ああ、それで封じていると。困ったわね?」


 世界の管理があるのに面倒な事になったよ。


「今頃、結依(ユイ)が心配しているかもな」

由良(ユラ)は気にしてなさそうだけど……」

由良(ユラ)が心配しないって日頃の行い?」

「さぁ? そんな気がしただけ」


 だが、転移が始まった割に、術陣が動かなかった。

 否、半分は動いて私達の部分だけ止まっていたのだ。


「あっ……」

「どうかした?」

「隔離結界が、転移陣に干渉してた」

「それでか! どちらも空間系だから?」

「盲点だったね。結局、時間切れで止まったよ」


 問題児達は早々に転移したが私達は白い空間に取り残された。

 空間に取り残されても肉体への問題がまだ残っている。


「誓約は肉体だけに干渉しているから、肉体から出よっか?」

「やっぱりそれしかないか。でも、どうやって帰るの?」

「とりあえず出て、消して……新しく作って宿るかな」

「それから?」

「この世界を楽しんで、適当なところで本拠地経由で帰ろうか?」

「ところでさ、実菜(ミナ)? ティルの世界に興味、湧いてない?」

「うっ」

「やっぱり。帰るという選択肢が宿る前に無かったから、そんな事だろうと思った」


 いや、気になるよね?

 普通、他神の世界へ訪れる事とか出来ないからね?

 私達は母さんの世界に縛られているから安易な移動は出来ないのだ。

 その分、スキル無効等の制限がちらほらとあるのだけど。


「というか本拠地の複製神核との距離があるから大丈夫なの?」

『十全には発揮出来ないけど、魔王くらいなら一捻りでしょ?』

『結局、倒すんだ。魔王』

『誓約諸共肉体消去』

『ちょっと聞いてる?』

『聞いてる聞いてる。宿るよ』

『もう!』

「ま、困っているみたいだからね。勇者ではないけど役立たずみたいだから」

「ああ。バカばっかりだものね」


 さっさと倒して帰るって手もあるよね。

 魔王を倒して世界を満喫して、学ぶべきところは学ぶ的な。

 なんて馬鹿げた話を行いながら新しく作った神魔体へと宿った直後、


『あら? まだ居たの?』


 管理室で私達の声音が響いたのかティルがひょっこりと顔を出した。

 薄い胸を解放してボヨンと巨乳を晒してね。

 垂れ目の目元以外は私達に良く似ているが。


『て、転移陣に干渉してる……』


 止めて解析して弱点を突いて転移先を神殿ではなく王都郊外に変更した。


『しかも、転移先が変更されてる? どうして? 貴女達、何者なの?』


 何者と問われて答えると思う?

 今の私達から言える事は一つだけだった。


「「叔母さん宛の始末書、頑張って書いてね?」」

『始末書!?』


 そう言いつつ転移陣を動かして王都郊外へと転移した私達だった。


『人族なのに神の転移陣を動かせる? 始末書、叔母さん。まさか!?』


 気づいた時にはもう遅い。

 召喚は対象を先に確認してから送り込もうね?

 先輩からの助言だよ。



 ◇ ◇ ◇



 転移した王都は極寒と思えるほど寒かった。

 古い肉体から服を移しておいて良かったよ。


「こちらも真冬か」

「真冬というより魔王の所為だろうね?」

「魔王?」

「気候変動に特化しているみたい。解析すると魔法陣で氷点下まで落としてる」

「うわぁ。面倒な」


 余りにも寒いから積層結界を追加した。

 ここが叔母さんの世界だけあって、母さんの世界と似通っていて助かったよ。

 似通っていなかったら魔術で代用していたね。


「ティルも従姉を呼び寄せるとは思ってもいないでしょうね」

「思っていないでしょ。今回は完全なる召喚事故だもの」

「普通、神族って界渡り的な召喚って出来るの?」

「出来ないよ。世界神が何らかの意図でもって許している場合は除くけど」

「ああ。夏音(カノン)姉さんと幹菜(マキナ)ちゃんの事か」

「私達の場合は神器の不具合だろうね。叔母さんの世界は父さんのアレと同じだから」

「それでか」


 管理神器にもバージョンがあるからね。

 最新型は私が用意した神器なんだけど……ん?


「ちょっと待って?」

「どうかしたの?」


 そこでふと、私は神会議での一幕を思い出す。


「母さんが叔母さんに自慢してなかった?」

「自慢? あっ……最新型の神器に更新したって言っていた気がする」

「もしかして私に更新させるために……呼び出されたとかじゃないよね?」

「その可能性は有りそう。だって更新するにはその世界の事を知らないとだし」

夏音(カノン)姉さん説、再び! そういった事は相談してよぉ!」


 という事は特定の人物だけに許可を与えていた⦅てへぺろ!⦆叔母さん!


「当たりだった件」

実菜(ミナ)、ドンマイ」

「ティルの始末書は確定だろうけど、今頃……理不尽って言ってそうだな」

「それは言っているでしょ。確認ミスでの召喚だし」


 今回に限っては親族間のやらかしに巻き込まれただけね。

 すると私達が降り立った王都郊外の丘から見える王都に、


「「あっ……」」


 新たな召喚が行われた光の柱が見えた。


「れ、連続で召喚?」

「あー、私達が抜けたから」

「それでか」


 召喚された者達を〈遠視〉で見ると、


「「あらら」」


 とってもケバいオバさんが三匹居た。

 そのどれもが見覚えのある外見だったよ。


「これ。母さん、嚙んでるね」

「嚙んでいるでしょうね。問題児達がオカンって言ったし」

「結局、あいつらは問題児として召喚対象者になっていたと」

「有害ではあるものね」


 それならそれで教えて欲しいよ、母さん!

 こちらの世界で嘆いても通じるものでなし。

 叔母さんの耳には入っているだろうから、近いうちに報告されるだろう。


「とりあえず、魔王を潰して」

「世界を見てまわりましょうか」


 私と深愛(ミア)は転移魔法で魔王の居城へと直接転移した。



 ◇ ◇ ◇



「な、何故だ……。世界最強の我が、一撃……」

「「「「……」」」」


 私達は転移して直ぐ、魔王と配下の誰何を無視してさっさと倒した。

 私が魔王を半殺しに。深愛(ミア)が四天王を瞬殺した。


「思ったよりも弱かったわね? こいつらも雑魚ばっか」

「よ、弱い、だと。雑魚、だと」

「この世界の最上位レベルは100だからだろうね。それで最強とか噴飯物だよ」

「そうね。詠唱は長いし、魔法行使は遅いし、隙だらけで倒した感が無いわ」

「ド派手な演出が大好きだったりするしね。人族達はレベル1が多いのかな」

「そうかもしれないわね? レベル1からすればレベル100は化物だから」


 私は突っ伏す魔王の頭に右足を載せ、


「さっさと倒されてね」

「こ、こ、こんな、小娘に、やられるなど、不覚」

「それが辞世の句って事ね。はい、斬首」

「ぐわぁ」


 火属性の刀で首を落とした。

 返り血対策をしていて助かったね。


「あらら。滲み出る血が緑だ」

「そういう生物として創ったのでしょうね」

「魔王討伐完了っと。これはどうするかな?」

「先ほどの王都に送っておけば? 討伐証明が欲しいだろうし」

「そうだね。四天王も含めて送っておこうか」


 だが、魔王と四天王を倒したとしても魔族から次期魔王が生まれるので、


「魔族も殲滅しておく?」

「それが良いわね。血液を解析したら魔族共は邪神の眷属だって」

「それでか。気色悪い魔力だったから、さっさと潰したけど」

「私達が相手だと意味が無いけどね。邪神にとっての毒だし」

「そういう意味では勇者かな?」

「勇者かもね。女神だけど!」


 魔王と四天王を王都へ転移させた後、浮遊魔法で浮かび魔族領全体へと現状で出せる最大神聖力により殲滅魔法を放った私達であった⦅やっぱり専門だわ⦆おいおい。


「私達を呼んだのは片付け要員か」

「人族の勇者なんて、最初からあてにしていないと」

「ティルが使いものになれば違ったのかな?」

「いやぁ。あの子はまだ無理でしょ? 産まれて千年にも満たないのよ?」

若結(モユ)達よりは年寄りだけどね」

「但し、新神は置いておくけど」


 魔族の殲滅後、浮遊した状態で天候が回復する様子を眺めた私達は近場の人族領へと転移して、神殿へと足を運んだ。


「「「「……」」」」

「物珍しい服装だから沈黙だね」

「召喚された異世界人なんて辺境には居ないもの」


 私は祭壇前に立つ司祭に声をかける。


「ところで私達が祈るのは構わない?」

「え、ええ。その代わり、寄進を……」


 うわぁ……神の御心は寄進によって変化するってか?

 それを聞いた瞬間、私と深愛(ミア)は嫌悪を滲ませる表情に変わった。


「「守銭奴神官かぁ」」

「何ですってぇ!?」


 本当の事を言われて怒るって。

 これだから神を利用する信仰は嫌なんだよ。


「主祭神、アザカの御心は寄進に非ず。誠のみだよ」

「し、し、痴れ者に言われる筋合いは無い!」

「痴れ者の言葉、そっくりそのまま返すよ」


 私はそう言って、神聖力最大で神殿内を浄めた。


「あら? 司祭が倒れた……司祭は邪神に染められし者だったか」

「ここまで汚染が進んでいるのね。辺境だけに」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ