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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第三章・やる事が一杯で目が回るかも?

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第85話 三度目は要らない。

 Side:実菜(ミナ)


 ありのままに起こった事を記そうと思う。

 フウコを真冬の海へと落とした者達に神罰を落とそうと準備した私達。

 神社の外へと出る前に学校で過ごす際の容姿に変装し、


「その格好で大きいおっぱいとか違和感しかないね?」

「うるさいわね。休日くらい普段通りの大きさに戻してもいいでしょ?」

「それは深愛(ミア)の自由だけどさ、これから男子達に会うのに大丈夫なの?」

「大丈夫よ。裁いたら私達の記憶を全て消せばいいから」

「ああ。元々そのつもりで着痩せのおっぱいを晒したのね」

「当たり前でしょ? そもそも、こちらの方が楽だし」

「窮屈ではない代わりに肩凝りとのトレードオフだけどね」

「うっさいな。そんな事は分かっているわよ」

「どうだか」


 島内の男子達が集まっている繁華街へと足を運んだのだった。

 繁華街といってもコンビニと港と新しく出来た運動公園があるだけなんだけどね。

 一般的に高校生の遊びと言えば家でテレビゲームだったりするが、島の男子達はクソガキの延長なのか、運動公園で遊ぶ者達が多かった。


「部活が無いからって寒空でサッカーに興じなくても。課題はいいのかしら?」

「奴らの頭の中は小学生から変わっていないんでしょ」

「小学生ね。小学校がどういった場所なのか知らないけど」

「高校と似通っているよ。自由度と授業の難しさで言えば高校の方が上だけど」

「そうなのね」


 深愛(ミア)達は様々な理由により、義務教育を受けていない。

 赤子の肉体を経ず十六才の肉体で誕生して、世界各地を渡り歩き、十六年前に父さんの世界へ移って転生した。転生というより、その世界で赤子から経験していたか。


「私としては小さい深愛(ミア)とか見てみたかったけどね」

「何もいい事なんて無いわよ。我が儘姫として育っただけだし」

「そうね。最後はお股を……」

「それは言わないで!」


 開通させて⦅だから!⦆私が回収して今がある。


「話が脱線したけど、問題の男子達は何処に居るかな」

「自分で脱線させておいて」

「はいはい」


 小さい深愛(ミア)とか興味あるし。

 一度、赤子の肉体に宿ってみ⦅無いわよ!⦆無いか。


「ま、宿っても宿らなくても可愛らしい下半身なんだけどね」

「洗浄していた時の事を思い出さないでよ。恥ずかしいわね」


 それはともかく、公園内をぶらついていると私達の正面にある遊具へと、


「で、言ってやったのよ」

「「何を?」」

「その胸は飾りですかって。そうしたら……」


 駄弁っている問題児達を発見した。

 寒空の中、着膨れしたコート姿で缶コーヒー片手に喋っている。

 そんなに暇なら本土に渡って遊んでくればいいのにね。

 それか課題を済ませたらって言いたくなるよ。

 私達と問題児達との距離はおよそ百メートル。

 私は問題児達から見えない位置、木陰へと隠れて深愛(ミア)と様子見しながら話し合う。


「というか、あの人達……三年の先輩よね? 大学受験とかいいのかしら?」

「就職組だろうね。受験生は年明けの共通テストに向けて追い込み中だから」

「なるほど、就職組ね。ここに居るって事は?」

「既に内定を得たんだろうね」


 内定を得ていて先の事案か。

 私は問題児達へと過去視を実施したところ……全員が黒でした。


芽依(メイ)吹有(フウ)は情状酌量を求めていたけど、これは無い」

「どういう事?」

「ワザとだよ。どうも、生徒会長が気に食わないとか普段から思ってて、海に近い場所に居たから困らせてやれって海へと押したみたい。真ん中のクズ、それが主犯ね」

「何よそれ! なら、他の二人は?」

「やれ! やれ! って(けしか)けただけね。押す事に同意したクズだよ」

「はぁ? 何それ? 酷い話ね? それで人が簡単に死ぬとは想定していないの?」

「想定はしているでしょ。それに、簡単に死ねと言える人間性だから、お察しだよ」


 本当にここまでのクズ達は見た事が無い。

 それこそ親の教育が間違っていると思うよ。

 で、親の方も調べたら、真っ黒。


「子が子なら親も親か。毒親だしぃ」

「どういう事?」

「保護者会で周囲の親に威張り散らす元ヤンのママ。残りはママの取り巻きね。全員が母子家庭だけど……これは無いな」


 それこそ何か問題が起きると直ぐに騒ぐ事が予測出来た。

 島民が増えるのはいいけど、こういう問題も出るよね。


(というか面倒な輩が何故、この島に?)


 そう思って母親達の過去を洗うと芽依(メイ)達が居た。


「うわぁ……芽依(メイ)達を逆恨みしている碌でなしだったよ」

「は?」

「本土の高校で、恐喝と万引きの常習犯だった母親達だけど、一度だけ警察のご厄介になっているの。その原因を作ったのが当時、生徒会長だった芽依(メイ)なの」

「そ、それなら吹有(フウ)さんは?」

芽依(メイ)に協力して警察を呼んだだけ。あとは驚くくらいスムーズに捕まって少年院送りになったみたい。出所しても悪事に手を染めた経験が忘れられなくて」


 見えない形で犯罪行為に手を染め続けていたようだ。

 殺しまでは行っていないが……警察仕事しろと言いたくなる事案が多数だった。

 そんな中、芽依(メイ)達が地元で商社を経営している事を知り、出身地である神月(カヅキ)島に揃って居を移した……嫌がらせを行うためだけにね?

 だが、相手にされず、保護者会で「「どちらさん?」」と返されたそうな。


「何それ? 滑稽過ぎるのだけど?」

「自分勝手の権化とも言うけどね……。犯罪自慢するところは親の子だけど」

「ああ、ね」


 母親達の過去を話し合っていると、


「しかし、滑稽だったな。あぷあぷって、溺れて」

「落ちた場所からは見えなかったから、埠頭に移動して正解だったわ」

「だが、これで年始から俺等の天下だな。オカン達の言うあの姉妹も」

「「だな」」


 碌でなしの犯罪自慢の後、何やら計画しているようだった。

 その計画とは私達を島の裏側に誘き寄せて犯すとか言っている。

 だが、深愛(ミア)の相手でそれは愚策だよ。


「私の相手って。愚策には同意だけど」

「こういった事については潔癖だもの。開いた経験はあってもね?」

「それを言わないで!」


 私達は木陰から移動して問題児から見える位置に移動した。


「「お?」」

「噂をすれば」


 深愛(ミア)が胸をブルンブルンと揺らしながら私の前を歩く。


「「!?」」

「あ、あいつ、着痩せってレベル、超えているぞ!」


 私は苦笑しつつも問題児達が背後から付いてきているか把握した。


「どう? 付いてきてる?」

「問題無い。誘き寄せるとはこういう事を言うのだよ。おバカさん達」

「まさか、この胸の動きに吸い寄せられるとはね?」

「男なんて単純だよ。だけどさ? あとで痛みが出るから癒やしなよ」

「分かっているわよ! 既に痛いし」

「本当に無理しないでよ?」

「はーい!」


 公園から出て人気の少ない西側の海岸を目指す。

 東側は漁協があるから人が多いんだよね。漁に励む猫さんも居るし。

 対して西側は未開拓部分が多く、断崖絶壁が晒されている。

 まるで一時期の芽依(メイ)のおっぱいのようだ。


「そんな事を考えると読み取られて怒られるわよ?」

「今は質問攻めで疲弊してるから、それどころではないと思うよ」

「ああ、まさに主の子よね。私も人の事は言えないけど」


 人影の少ない岸壁へと出て、


「さて、時間だ……」

「どうやって罰するの?」

「岸壁からの滑落、かな。勝手に落ちた的な」

「なるほどね。事故死とすると」


 笑顔になりつつ振り返る。

 そこで下品な笑みを浮かべた問題児達と対面した。


「ほぉ。自分達から犯されるために連れ出したか」

「「……」」

「男三人に女二人。美味しく召し上がってやんよ」

「「……」」


 少しずつ近づき、私が岸壁の延長に張った幻惑結界上まで到達した。

 だが、私達は既に問題児達の背後に移動していた。


「残像相手によくやるわね?」

「その程度の頭なんだよ」


 問題児達の視界に捉えられぬ見えぬ速さでね?

 残像と言いつつ幻惑魔術も併用したけども。


「「「!?」」」


 私達の声を聞き、驚きながら振り返る問題児達。

 ここで最後の結界消失を実行しようとした途端、


「「は?」」

「「「!?」」」


 白金色の不可解な魔法陣が足下に展開した。

 ちょ、ちょっと! これ、聞いてないし!


「「な、なんで!?」」

「「「!?!?」」」


 眩しすぎる輝きに瞳を閉じた私と深愛(ミア)


⦅し、神聖力だよね? これ?⦆

⦅ええ。でも波長が違うような⦆


 瞼を開くと見覚えのある空間と聞き覚えのある声音が響いてきた。


『勇者様方、ようこそお越し下さいました』

「「「勇者様!?」」」


 私、通算三度目の勇者召喚なんですが?

 それと今回の召喚は埒外の存在が絡んでいたよ。


「今回に限っては母さんも絡んでいないか」

「絡んでいない? どうして分かるの?」

「それよりも声の主が姿を現すよ。それを見たら分かるから」

「主? あっ」


 目前に胸のうすーい……女神が現れた。

 女神の名は〈ティル〉という。


「あの偽乳……あの顔、そういう事か」

「文化祭休みの会議で会って以来だね」


 もうね。私達の良く知る人物だったのよ。

 母さんの付き添いで、御対面した……ね。


「今度は同類に呼び出された件について」

「私からはドンマイとだけ言っておくわ」


 ティルは言う『私の世界の魔王を討伐して欲しい』と。

 勇者達と呼ばれた問題児達は胸の薄さにシラケた視線を向ける。

 笑顔から頬が引き攣り、勇者達に怒りを向ける女神ティル。

 女神の矜持からか、引き攣ったままの笑顔から表情を崩さなかった。

 だが、


「あらら。貧乳はお呼びでないか」

『!?』


 深愛(ミア)の言葉で驚きを示し、私の言葉で目を見開く。 


「残念ながら、その女神様、隠れ巨乳だよ」

「「「隠れ巨乳!」」」

『なっ!』


 何故知っているって顔されたし。

 私達の考えを読もうにも読めなくて頭上にハテナが浮いてる……器用だな。

 崩れた表情は一度きり、直ぐに笑顔へ戻り、説明を開始した。


「これさ? 私達は聞く必要ある?」

「無いね。自前のステータスでも事足りるし」

「というか、こちらでも同じなのね」

「同じだけど、追加分は無効みたい」

「うわぁ。便利だったのに」


 私達からすればいい迷惑だった。


「神罰から一転、面倒なのに絡まれたわ」

「はぁ〜。このままティルの世界に転移か」

「倒さないと帰れないの?」

「多分」




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