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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第二章・今度は別の世界を管理するの?

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第59話 何処にでも湧くね。

 Side:実菜(ミナ)


 先ずは依頼通り、二人の女子を回収した。

 私は双子弟のヘソに綿棒を押し付け状況を注視した。

 するとメグリの様子を見ていた実依(マイ)が疑問気に質問してきた。


「ところでこの子達の身体って両対応?」


 ここで言うところの両対応は兼用の事かな?

 彼女達はコロニーと地上、浮遊大陸への出前要員だしね。

 元々がその予定なので兼用なのは確かである。

 私は双子弟の様子を眺めつつ実依(マイ)に応じる。


「そうだよ」


 本当に一言だけね。

 今は余計な事に意識を割けないだけなんだけど。


「そっか。だよね、うん」

「何か気になる事があったの?」

「通常の憑依体とは違うから。いつもならそちらなのにどうしてかなって?」


 ああ、それが気になった理由なのね。

 私は悪びれもなく本当の理由を語る。


「単純に新しい種族を創りたかっただけだよ」

「「ふぁ?」」

「従来の憑依体だと邪神と眷属共に解析されている可能性があるからね。そこが穴となると後日、酷い目に遭うと思ったの」

「「あっ!」」

「その点、このホムンクルスの肉体。便宜上はホムンクルスと名付けたけど魔物と亜人族との両方を備えた生物って今まで居なかったから試験的に用意してみたの」

「「!!?」」


 驚いてる驚いてる⦅マジで⦆全員驚いてる。


「胸骨の魔石も肉体生成後は普通の骨になっているよ。従来の魔力源も細胞レベルで肩代わりするから、魔素の有る無しに関わらず安易に死ぬ事なんて無いんだよ。体内に流れる血液にも対邪神向けの抗体を持っているしね」


 そう、捲し立てながら語った私だった。本当は胸骨の裏に魔力タンクの魔石が残っているけど、言わずとも⦅ほほう⦆どうせ解析されたらバレてしまうもの。

 これ自体は邪神の宿れない肉体なので解析も破壊も叶わないが。


「ということは、この子達は最初の?」

「し、新人類って、事になるの?」

「人類の範疇ではないかな。魔人と呼んだ方がいいね。実際に地表では魔人だし」

「「ああ」」

「地表?」


 あくまで地表では魔人だ。

 地底では亜人でしかないが、既存の生物と比べると不老不死であり内なる魔力も神に匹敵する。それと表沙汰にはしていないが、遠視の魔眼も標準で備えている。

 それこそ魔族よりも魔族っぽい魔人となった彼女達である。


「種族特性も女と絡んで女しか産まないよ」

「なるほど。サキュバスのような魔人と?」

「うん」

「子を成すには女子だけが居ればいいと?」

「まさにそれね」


 最低レベルは夏音(カノン)姉さんの眷属の上位⦅なんですって⦆驚き過ぎでは? 神使なんだし、当然じゃん⦅あっ⦆


「肝心の親は百合百合しい結依(ユイ)ちゃんです!」

「何で!?」

「なるほどね」

「百合じゃないし! ノンケだし!」

「なら、若結(モユ)とコレとどっちがいい?」


 私はコレと小物を指さして結依(ユイ)に問うた。


「そんなの若結(モユ)に決まってるじゃん!」


 それを聞いた私は実依(マイ)と目配せして笑顔で結依(ユイ)を揶揄った。


「「いい加減、認めなよ?」」

「ぐぬぬぬぬ」


 結依(ユイ)弄りも程々に双子の弟君も白だった。

 この先輩は魂的に女子寄りかもね。


⦅ナギサ説、再び!⦆


 そういえば眷属にもTSした人が居たね。

 彼も元々が一卵性だから魂魄が分裂してしまったのかも⦅私達みたい⦆ん?


「双子の弟君も同じでいいか」

「「いいんだ」」

「男である事を捨てたいと思ってそうだし」

「「なるほど」」


 身体は姉に似せて用意したから仕事の傍らイチャラブする姉妹が生まれたようなものだね。次は間男もとい残りの野郎共を調べていく。


「若ハゲ兄弟は同時でいいか」

「姉さんがおざなりに対応を始めたけど」

「単純に面倒になったんじゃない?」


 流石はシスコンの結依(ユイ)ちゃん。

 私の事をよく分かっているね!


「シスコンは余計です!」

「ごめんごめん」


 するとおかしな反応が出た。


「「あっ!」」


 神聖力を送り込んだ途端、目を開いてガクガクと震えだしたのだ。

 内側から浄められる激痛に脂汗を流しているようにも見える。


結依(ユイ)ちゃん」

「準備出来てる!」

実依(マイ)も」

「問題無いよ!」


 そこからは空間隔離ののち、魂魄隔離を行ってコロニーへと待機しているであろう至音(シオン)姉さんの元に送り込んだ⦅私の餌が来たわ!⦆餌認定か。

 魂魄を失った石像はただの石像に成り果てた。

 但し、元が異世界人の肉体だけに世界の穴になりそうだったので、型だけ抜いて魔力還元で消し去った。


「抜いた型で新しい石像を用意して」

「新しい身体に宿っても羞恥プレイは続くと?」

「これは一応、魔王に献上されたオブジェだよ。勝手に片付けるのはダメでしょ?」

「「確かに」」


 本人達がどれだけ壊して欲しいと願っても壊せない代物もあるんだよね。

 しばらくすると半裸の闇エルフが目覚めた。


「ん」

「あれ? ここは」

「え? 身体が動く」

「目覚めたぁ!」

「おっぱいがちいさいね?」

「そういうことを言わない」

「はーい」


 私は目覚めた三人に詳細と素性を明かした。


「「「女神ぃ!? あと後輩って?」」」

「一年の三つ子で有名だったけど?」

「! あ、あの、学年トップの?」

「それは私ね」

「お膝元のパティスリーを完全制覇したのは」

「それは私!」

「妹に負けている二位?」

「そういう事もあったなぁ」


 私達もあの高校ではそれなりに有名だった。

 割と忘れている人が多いけど⦅そういえば⦆

 当然、教えたのはメグリの素性も、だね。


「「「調(しらべ)!?」」」

「それは前の名前だから!」

「今はメグリね。ここ重要」

「アンタ、そんな性格だったの?」

「嫌々やらされていたなんて」

「なんて酷い奴だ、アイツは!」

「てか、(じん)が女の子になってる?」

「は? マジで?」

「「マジで」」

「よっしゃー!」


 何故か喜ばれた。

 変身願望でもあったかな?


「頻繁に女装していた子が」

「遂に本物に転生したのね」

「二人は知っていたんだ?」

「「幼馴染だし!」」

「なるほど、それで」


 四人の髪型はメグリがショートウルフ。

 広田(ひろた)先輩がロングだった。

 普段はツインテールにしているのだとか。

 四十万(しじま)姉がショートボブ。

 四十万(しじま)妹がセミロングだった。


(そういえば在学中から長かった気がする)


 女装癖があったからナヨナヨだったと。

 その後、各自の名前を改めた。

 広田(ひろた)先輩はテル。

 四十万(しじま)姉はリン。

 四十万(しじま)妹はルン。

 それは元々コスプレで名乗っていた名前らしい。

 そういえばレイヤーが他にも居たような?


⦅居るわよ。でも素性は隠しておくわ⦆


 それが良いと思う。色々と面倒だしね。

 そんな三人を拾ったあとは残り野郎共の回収に向かう私達だった。



 ◇ ◇ ◇



 人手は増えたが移動手段は変化無しだった。

 それは基本の徒歩である。

 転移でもいいけど奴隷達の居る鉱山に向かうには徒歩が無難なんだよね。

 鉱山の場所は魔族国家の北方だった。


「転生して直ぐに登山とは」

「愚痴らない、愚痴らない」

「身体能力だけならそこらの魔族より高いよ」

「「「え? そうなの?」」」

「そうらしいよ」


 新しく合流した三人にもメイド服を着せて私達の背後から付いてきてもらった。

 鉱山地帯で黒メイド服というのはシュールだけどね。

 なお、メグは相変わらず実依(マイ)が背負っている。

 幼女特権って感じかな、これは?


「なんかくさーい」

「これは硫化水素ね」

「りゅ?」

「少し難しいかな?」


 この辺は温泉が出るのか、あちこちから間欠泉が噴き出していた。


「こんなところに鉱山ってあるのかな?」

「さぁ? 温泉の採掘とかしてそうだけど」

「温泉の採掘? それを聞くと浸かりたいね」

「そうだねぇ。浸かりたいね」

結依(ユイ)のお尻を枕に」

実依(マイ)のお尻を枕に」

「姉さんのお尻を……湯に浸かってる状態で尻肉だけ抜かれるのは辛いよ?」

「「確かに」」


 こういう冗談を言えるのが私達姉妹だが、


「なんか猟奇的な会話が聞こえてきたような」

「うん。女神様って意外とS?」

「それを聞くと……濡れるかも」

「姉さん。落ち着こう?」

「そ、そうね。うん」


 聞き方によっては少々不味い会話だった。


「私達にとってはいつものじゃれ合いでも」

「あれが普通の認識だったね。油断したよ」

「もう、ガーベラ刑だけでいいかな?」

「いや、ダメでしょ?」

「姉さんは仕方ない。やらかしの常習犯だし」

「うっ。それを言われたら、言い返せない」

「今回のあの子達の肉体に関してもね?」

「新種を用意するとか想定外だよ」

「まぁ、早々増える種族ではないしね」

「「そうだね」」

「ちょ! 聞いてる?」

「「聞いてる聞いてる」」


 なんか増えるとか思われてそうだな。

 単細胞生物ではないから増えないよ。

 繁殖能力も普通の魔人と大差ないし。


「あえて名付けるなら神魔族だけど」

「「姉さん?」」

「何よ?」

「「種族名が確定したよ?」」

「あっ」


 ま、いいか。どうせ付ける予定だったし。

 闇エルフ改め神魔族ってことで。

 その特徴は闇エルフには無い金瞳ね。

 見た目は優羽(ユウ)の特徴と被るけど。


⦅私と一緒だぁ!?⦆

⦅なら、顕現時は憑依体よりこちらを使う?⦆

⦅そうします⦆

⦅いいなぁ。優羽(ユウ)だけズルい!⦆


 あらら。深愛(ミア)が拗ねちゃった。


⦅それなら肌と瞳と髪を変えたらいいじゃん。そしたら全員が使えるでしょ?⦆

⦅⦅⦅⦅⦅⦅それだ!⦆⦆⦆⦆⦆⦆


 本当に現金な妹達である。


「より女神に近しい種族になったね?」

「そうかもね。私達はどうする?」

「「揃えたいかも。顕現時だけは」」

「なら、私達もそうしようか」


 今は顕現時では無いけれど。

 問題の奴隷達が居るであろう鉱山地帯に到着すると倒れている野郎共が居た。


「「あらら」」

「瀕死? いや、死亡してる?」

「死因は火山ガスを吸ったかな」


 しかも当事者だけでなく他の作業者や責任者も揃って亡くなっていた。


「一応、調査だけはしておこうかな」

「今回は神力糸で調べると」

「遺体に触れたくないからね……擬死? 一応、宿っていると?」


 今回は火山ガスに扮し強引に宿ったようだ。

 だが、私達には効かないので意味が無い。

 それは積層結界で護っているメグも含む。




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