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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第二章・今度は別の世界を管理するの?

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第47話 下半身が元気か。

 Side:実菜(ミナ)


「「間に合ったぁ!?」」


 始業式があった日と休日を管理世界で過ごしていた私と実依(マイ)

 時計を見れば元世界の午前八時になっていて大慌てで実家に戻り、生のパンを咥えて学校へと急いだ。遅刻は免れたが教室の不可思議な空気にたじろいだ私達だった。


「「うっ!」」


 実依(マイ)の教室は結依(ユイ)のクラスを挟んだ遠方にある。

 ここから見ても実依(マイ)の頬が引き攣っている事がありありと分かった。

 私達が入った途端にギョッとする視線と狂信者の視線が入り交じっていたからね。

 同じ視線はクラスメイトである亜衣(アイ)達にまで注がれている。

 亜衣(アイ)は机に突っ伏し仁菜(ニナ)は窓の外を眺めて沈黙していた。


(分かっていた事だけど、これはなんというか)


 ちなみに、この分校に通う生徒は眷属のような不死者だけではない。

 校長のように島に魅せられた移住者達の子供も通っている。


(転校生なのに遅刻かよって思っている男子が数名居るからいいかぁ。他は意中の女子にラブレターを書くかどうか思案中が三人と……)


 本土に比べると開拓の進んでいない田舎の島。

 だが、自然が豊かで子供の情操教育に良いとして移り住む者が後を絶たないのだ。

 それでも卒業したら島の外に出て行く者が多いとは思うけどね。

 この島が発展していく未来なんて誰もが想像出来るものではないから。

 私はこそこそと教室へ入り最後尾にある自分の席に座る。

 クラスメイト達の視線は痛いが気にしたら負けだ。

 私は亜衣(アイ)の背中のホックを突き、


「ひゃん!」

「感じた?」

「姉さん!」


 振り向かせる事に成功した。

 ホックを外しても良かったけど隠している巨乳が顔を出すからね。

 それだけはどうあっても出来なかった。


「着痩せ気味の亜衣(アイ)に質問いい?」

「き、着痩せって……質問?」


 着痩せで男子の耳がピクピクした?

 私は男子を一瞥しつつ視線を亜衣(アイ)に戻す。


「初日と違って揉みくちゃにされた?」

「も、揉みくちゃ?」

「別名、質問攻め」

「あ、ああ」


 これは当たりかな?

 真っ赤になったし。

 おそらく色々と聞かれたのかもしれない。

 どっと質問されてアタフタした事が読めた。

 それは一般生徒の質問も含まれるだろう。

 俗に言う、恋愛事情的な質問だ。

 誰の何処が良いとか好きな素振りはとか。

 私や結依(ユイ)達のように経験があるなら返しようがあるが亜衣(アイ)達は完全なる乙女なので返せなかったようだ。

 それだけではなく、


「まさか、告白された?」

「うっ」


 学生によくある、お呼び出しからの告白。

 したのは上級生かな? それも一般生徒。

 見目麗しい転入生が現れた。しかも七人。

 私や結依(ユイ)達は⦅ポンコツの雰囲気⦆て、おい。

 それがあるから寄って来ないが亜衣(アイ)達は別だった。

 女神の割に純粋過ぎる所為か反応が見ていて可愛らしいのだ。

 男共の庇護欲をそそる容姿と反応だね。


「で、断ったの?」

「それはもちろん」


 断らないと本業が疎かになるもの。

 しかしまぁ女神様はどれだけ姿を変えても誰彼構わず魅了するのね?

 それは女子も含むが。


(ここでポンコツが垣間見えたら話は変わる? いや、余計に庇護欲を掻き立てられるか……)


 護ってあげたいとする男子の欲望が膨らむだけだった。

 でもね、この子達は人間を半殺しに出来るくらいの力は持っているからね。

 日常的に力をセーブする術を持ち得ているが有事の際は超常的な力が発揮される。

 なお、亜衣(アイ)達からの愚痴は念話で続けられている。

 ここで口にすると周囲の反応が面倒だからそうしているだけでね。


「面倒くさいね」

「本当にそう思う」


 チラッと私達の方を向いた仁菜(ニナ)もうんうんと頷いていた。

 仁菜(ニナ)も告白されたらしい。

 興味無しで断ったそうな。

 同じ告白は、


⦅あの先輩、何? しつこいから股間を蹴り上げて体育館の屋根に突き刺したわ⦆

⦅それで、助けたの?⦆

⦅助ける? 何で?⦆

⦅その先輩、一般生徒じゃん⦆

⦅俺が胸を揉んで育ててあげるとか言ったクズにそんな配慮は不要でしょ?⦆

⦅そっか。ところでどうやって助けるの?⦆

⦅消防の職員がするんじゃない? 知らんけど⦆


 他のクラスに居る深愛(ミア)にまで及んでいた。

 今の深愛(ミア)は貧乳だもんね。

 由良(ユラ)も貧乳だがこちらは筋肉だ。

 中身はどちらも亜衣(アイ)達と同じく大きいおっぱいだ。

 別人の親戚同士と思わせるための措置だから仕方ないよね。


「私が遅刻寸前の間にアオハルしてるね」

「アオハル? これが?」

「これが」

「そうなのね」


 今のうちしか出来ない事だし出来る限り経験したらいいよ。

 私達姉妹はいつぞやの高校で通った道だけどね。

 そのお陰で結依(ユイ)達はカースト上位に祭り上げられた、けれど。

 その後の授業は淡々と進んだ。

 昼休憩に入る頃には長蛇の列が亜衣(アイ)達姉妹の居る場所に出来上がった。

 学食に長蛇の列って誰得? 迷惑過ぎるでしょ。


「あれ、お昼食べられるの?」

「多分、無理だと思うよ」

「なんか可哀想だね。全員が一般生徒だし」

「この学校の民度、低過ぎない?」

「単純に物珍しさで寄っている気がする」

「客寄せパンダ状態かぁ」


 私達姉妹と若結(モユ)達は何故かスルーされているけどね。

 美少女には変わりないのだけど滲み出るポンコツ臭が寄せ付けない的な。

 若結(モユ)達が発している妙な空気の所為なのでどうしようもないけれど。

 すると結依(ユイ)はスキルを限定解除して私達の居る中庭から学食を覗いた。


「一応、列の間に結界を張っているようだし、受け答えしながら食べているみたい」

結依(ユイ)ちゃん。使わなくても」

「この際、仕方ないよ。限定解除だけど」

「普通は使えないからね。三人共」

「「「分かってるって」」」


 普通は使えない。

 この学校で普通に使えるのは保健医と姪っ子くらいだ。

 他の眷属達は夏音(カノン)姉さんの力によってスキルが完全封印されているからね。

 強すぎる力は争いを呼ぶってことで。

 平穏な生活には不要なスキルなのだ。


「でもま、これもアオハルではあるのかな?」

「それを言われるとそうかも。民度は兎も角」

「田舎特有の下半身が元気ってことでしょ」

実依(マイ)の言葉は身も蓋もないね」

「だって、本当の事だし」

「ところで、あの子達を孕ませる事の出来る男子って居るの?」

「それ、気になる!」

「もし居るなら見てみたいかも?」

「どうだろう? 今は居ないかな」

「今は、普通に居ないね」

「居ないね。それは三人もだけど」

「「「え?」」」


 そこできょとんとか。

 ああ、居るって言ったのと同じだからか。


「今はどうあっても居ないよ。相手の格が違い過ぎるから」

「ああ、格か。そういう意味だったのね」

「あの容姿に合う男子は田舎には居ないよね」

「俺様格好いいと思ってる内は井の中の蛙と」


 そうではないのだけど。

 ま、いいか。


⦅姉さん、勘違いしてるけど?⦆

⦅仕方ないよ。母親達だって居なかったから、この子達を一人で孕んだわけだしさ⦆

⦅ああ、私達のように上手くいかないと⦆

⦅経験者は果菜(カナ)も含むけどね⦆


 果菜(カナ)の存在を忘れていたよ。

 完全なる座敷童だから仕方ないけども。


⦅あれも偶然が偶然を生んだ結果だしね⦆

⦅最初から格を持って生まれる時点で母さんが関与していそうだけど?⦆

⦅⦅た、確かに⦆⦆


 私の言う格は神と契りを結べる相手の事だ。

 私達が興味本位で結んだ相手、後悔した相手は格こそ有ったが人格破綻者だった。


⦅脳筋な魔族の将⦆

⦅王家の穀潰し王太子⦆

⦅女遊びのクズ皇太子⦆

⦅簡単に忘れられるものではないね⦆

⦅⦅ほんそれ⦆⦆


 唯一果菜(カナ)だけは円満な家庭を築いたけれど。

 農家の娘として農地を発展させた。

 そんな大騒動の昼休憩は終わりを告げ、


「午後は合同体育だね」

「食後は眠くなるから程々がいいけど」

「仕方ないよ。そういうカリキュラムだし」

「体育、休んでいい? あの日って事で」

「無理じゃない。今朝、走ってきたし」

「あっ、そうだった!」

「わぁ! おっぱい、大きい!」

「誰のおっぱいの事を言っているのかな?」

「知らないよ」

実依(マイ)では無い事だけは分かるね」

「姉さんもね」


 女子更衣室で体操着に着替える私達だった。

 合同授業はA組とC組で行われるようだ。

 結依(ユイ)のB組と風結(フユ)達のD組の午後は普通の授業らしい。

 ちなみにA組には私と亜衣(アイ)仁菜(ニナ)

 B組には結依(ユイ)優羽(ユウ)玲奈(レナ)が在籍している。

 C組には実依(マイ)美加(ミカ)若結(モユ)が在籍しているのだ。

 残りのD組は深愛(ミア)由良(ユラ)風結(フユ)知結(チユ)の二人が同じクラスで勉学に勤しんでいる。

 私達は更衣室を出てグラウンドへと向かう。

 ちらほらと男子達のエロい視線もあるが、気にしたら負けだよね。

 私は神力膜を表示して制限値を弄っていく。


「力を極限までセーブしてっと」


 実依(マイ)若結(モユ)も同じく開いてポチポチと弄っていた。

 プリセットみたいに事前設定しておいた方がいいかもね、これ?


「スカウトの目に留まらないよう注意だね」

「普通の女子高生って何処までの体力かな」

「長距離で息切れしてへばる程度とか?」

風結(フユ)が居れば分かりそうだけど」


 ここに陸上競技部に所属していた風結(フユ)が居れば教えてくれるだろう。

 すると私達の元に亜衣(アイ)達姉妹が寄ってきた。

 表情を見るに怯えが見えるけど。


「クラスの女子が爛々とした目で見てる」

「大きかったのは亜衣(アイ)の胸ね」

「ブラで隠して制服でも隠しているのに」

「隠しきれない巨乳が女子の目に入ったと」

「仕方ないよ。隠しきれないGカップだし」

「グレイトのGだね」

「それは違うけど。まぁいいか」

「そういえば実菜(ミナ)達はEだよね?」

「「ノーコメント」」


 男子達の耳がピクピクしているのに答えられる訳が無いじゃん。

 困った姪っ子だよ、ホント。


「おい、Eだってよ」

「そうは見えないが」

「それだけ着痩せしているってことか」

「だが、ハーフパンツの尻はデカいな」

「ああ、そそるぜ」

「あの尻でご飯三杯はいける」


 キモっ。何処に視線を向けているのよ。

 直後、実依(マイ)が閃光魔術を行使した。


「「「ぎゃー! 目が! 目がぁ!」」」

「どうした? 崩壊呪文でも喰らったのか?」


 魔術を使ったことすら気づかせぬ早技だね。


「今、何があったの?」

「網膜だけ焼いた」

「網膜って、どうやったの」

「ノーコメント」




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