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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第二章・今度は別の世界を管理するの?

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第42話 人様には見せられない。

 Side:結依(ユイ)


 ドMの姉さんが現れた。

 否、至音(シオン)姉さんが私達の前に現れたのだ。

 いつもは深愛(ミア)達の世界に引き篭もっている至音(シオン)姉さん。

 今回は姉さんの行う兼用変換に引っ張り出されて来たらしい。

 私達は街から人気ない森へと入り、


「では寝転んでくださいね」

「ね、寝転ぶ? な、何をするの?」


 湖畔の四阿へと入った。


「これからとっても気持ちの良いことを行います」

「き、気持ちの良いこと? ちょ、何処に手を?」

「下腹に触れているだけですが、何か?」

「い、いやいやいや。みょ、妙な糸が伸びてるから!」

「気のせいでは?」

「気のせいなわけ……あっ!」


 姉さんは右指から神力糸を伸ばし至音(シオン)姉さんの下腹へと浸透させる。

 直で触れると危険だから神力糸経由で触れているみたいね。


「これって私達の魔力糸の応用?」

「兄さん直伝の神力糸ね。封印や解除も出来ると聞いて教えてもらったの」

「あの子から教わったのね」

「な、なんてこと、おほっ!?」

「兄さん?」

「マキナの叔父よ」

「へぇ〜。もしかして、あの人かな?」

「あの人?」

「顎髭をはやした、格好いい男性!」


 そういえば姪っ子も兄さんから直接封印されていたと聞いたね。

 自分の話題が姉の口から出たら解除される条件で与えたようだ。

 時空神だからか未来視して与えてそうだよ。


「どういうこと?」

「忘れ物を取りに戻った時の話じゃない? 兄さんは本土で潜伏中だったから」

「その時に出会っていたのね」

「あふっ。これ、ダメ。耐えられ、ない!」


 至音(シオン)姉さんは既にピンク色だった。


「はぅ! ひぃ! おほっ! うふ!」

「こ、これはこれで、恥ずかしいわね」

「一番のお勧めは新規で乗り換える事ね」

「それが無難なのね」

「姉さんの身体は私が用意したから調整込みで直ぐにでも用意するよ。どうする?」

「そうね。この手の刺激だけは慣れていないから、お願い出来る?」


 姉さんは会話の片手間で兼用変換を行う。

 そして姉さんの隣へと夏音(カノン)姉さんの裸体が出現した。


「今から用意するよ」


 同時進行が可能なのは姉さんと私くらいだよね。

 疑似魂魄も出現させた段階で与えているし。

 右手で弄って左手で微調整。

 魔術陣を多重展開して異物の混入すら防いでいるし。

 高濃度の聖属性魔力だから入り込む事は出来ないが。


「そういえば、ここらの空気が神界みたいね」

「私の魔力特性だよ。邪悪な異物を精神物理に至るまで消し飛ばす効果があるから」

「神聖力が途轍もなく強いと」

「そうそう。今は無制限放出中だよ」

「そんなことまで出来るのね。魔術陣も」

「多重展開は基礎中の基礎だからね。結依(ユイ)なんて数百個もの陣を同時展開出来るしね。怒り狂ったら最後、手に負えないよ?」


 私は魔神だから出来て当たり前だよ。

 怒り狂う事についてはノーコメントで。


「怒らせると不味いのは四女だったかぁ」

「それが正解。私は脳筋、結依(ユイ)は頭脳派、実依(マイ)は感覚派ね」


 は? 姉さんって脳筋の自覚があったの?


(姉さんって脳筋の自覚があったんだ)


 空気と化していた実依(マイ)も私と同じ事を思ったようだ。


「ところでこれ、私も受けるの?」

「マキナは不要みたいよ」

「そうなんだ。安心した」

「なっ。わ、わ、私、だけ?」


 ドMだから先に行っただけだと思う。

 宿ったままの兼用変換は被験者が刺激塗れになるからね。


結凪(ユナ)謹製の身体だから身長の変化も年齢変化も自由自在だしね。医術神だから身体の仕組みに熟知している結果だろうね」

「む、無視!?」

「私の今の身体ってそんなだったんだ!」

「それは羨ましいわね」

「私の場合は知識として持っているけどね」

「どちらが凄いのか分かり辛いわね」

「ふふっ。言えてる」


 しばらくして至音(シオン)姉さんの兼用変換が終わった。


「はふっ。これ以上の刺激は得られないかも」

「過去最高ってことで。さて」


 そこから姉さんの本格的な調整が始まる。

 夏音(カノン)姉さんを宿させて微調整を繰り返す。

 調整後、夏音(カノン)姉さんは違和感を感じ取った表情に変わった。


「あら? 本体の中身が消えた?」

「消えたのは母さんの指示ね。複製神核の中に移動させたの。これからは肉体が滅んでも即座に再生が可能になるよ。地表には魔人殺しが大量だから、警戒しての事ね」

「それで」


 魔人殺し。別名、聖騎士ね。

 神は殺せないが魔人ならば捻るように殺す面倒な輩だ。

 私達姉妹を崇める狂信者でもあるが。


「も、もしかして、私も?」

「異常な性感は部位から取っ払っている時に発生した強刺激だもの」

「そ、そうだったのね」

幹菜(マキナ)ちゃんは宿った時に母さんが移しているから安心していいよ」

「そうだったのぉ!」


 但し、亜神である眷属達は除く。

 すると姉さんは複数の球体が浮かんだ置物を幹菜(マキナ)ちゃんに手渡した。

 数は二つ。大きい物と小さい物。


「こ、これは?」

「眷属核の管理神器だよ。普段は実家の個室にでも置いておけば問題無いよ」


 神器の見た目は透明油に満たされたスノードームだった。


(眷属達の魂魄を既存の本体から核に移すと)


 これで私達姉妹や姉さん達と同じく復活が容易くなるのね。

 でもそれだけのために姉さんが用意したとは思えない。


「「「ふぁ?」」」

「鳩が豆鉄砲を食ったような顔しなくても」

「いや、いやいやいや。何で?」

「何故、眷属達の核まで用意しているのよ?」

「本体の保全。状態確認のためだけど?」

「「「え?」」」


 状態確認、か。

 母さんが時々行っているあれだね?

 スキルを加えたり⦅何よ?⦆眺めたり。


「今回の兼用変換は憑依体の保全ね。それは人数分、私がきっちり熟すよ。急遽行った核の保全は母さんからの指示だからね」

「あ。そういえば、そう言っていたわね?」


 母さんは姉さんだけに良く指示を出すよね。

 私達には滅多に⦅実菜(ミナ)が司令塔だからよ⦆それで。

 すると姉さんは居住まいを正し真面目な雰囲気を宿す。

 空気が静謐な物に変わり周囲から物音が消え去った。

 あ、時間が加速した?


「実はね。現状の亜空間は完全に安全とは言い切れなくなったんだ」

「「「はい?」」」


 これは先の事案が関係するかもね?

 中心核へと潜んでいた邪神の尻尾。

 中心核の中身もある意味で亜空間だから。

 吹有(フウ)が消し去ったが、いつ何時復活するか分からない。

 彼奴らは澱みが由来だしね。


「今は由良(ユラ)吹有(フウ)が調査中だから、結果が出てみないことには判断がつかないけど、以前のように亜空間での復活は危険と思えたんだよ。本人の知らぬ間に憑依されることもあるからね。復活中が一番無防備だし」

「「「……」」」


 邪神の眷属は時の止まった空間でさえ掌握するからね。

 穴を穿ち管理神器に干渉したり。

 姉さんは沈黙しているお三方に眷属核の検証方法を伝えていく。


「まず、周囲の透明油は一種の隔離結界ね」

「「「……」」」

「内部で個々の衝突は無いから安心していいよ。今は一体だけが隔離中だけど」

「あら……ナギサだけ?」

「昼間の内に引っこ抜いておいたの」

「まさか、あの後……?」

「私だけ無視されたからね」


 その時に一人だけ引っこ抜いたのね。


「見たら分かるけど銀色が正常、黒銀が憑依状態ね」

「つまりナギサ先生は正常と。大神官、恐るべし」

「そ、それで判別するのね」


 姉さんも兄さんの直伝を使い熟していると。


「それで、憑依から元に戻す方法は?」

「いつも通り吸引すればいいよ」

「「「は?」」」

「そうすれば濾過されて元に戻るから」

「お母様がフィルター代わりかぁ」

「何を言っているの? マキナちゃんもやるのよ」

「私もぉ!?」


 夏音(カノン)姉さんは眷属達を疑う事にもなるから表情は真剣そのものだ。

 それと同時に舌舐めずりしているから少々反応に困るけど。


(チョコレート風味とか聞こえた?)


 どういう意味なのだろう? これ。



 ◇ ◇ ◇



 一方、その間の私と実依(マイ)は、


結依(ユイ)ちゃん。鯉が居るよ鯉!」


 姉さんの様子見を行いつつ散策していた。

 時間加速の内側であっても私達と母さんだけは観測が出来るからね。

 この場所は一種の公園として整備しているようで夏音(カノン)姉さん達に興味が無い実依(マイ)は別の意味で楽しんでいた。


「はいはい。鯉の魔物と言いたいんでしょ?」

「そうともいう!」


 鯉の魔物。

 体長は四メートルを軽く超し、湖に近づいた者をパクりと捕食する。


「あの子、怯えているね」

「倒された魔物はここで静養するのかも」

「なるほど。育成だけではなかったのね」

「そうなると、柵とかも必要じゃない?」

「そうだね。何かの拍子に倒されても困るし」

「迷宮に配置する貴重な魔物だしね」


 どうも迷宮で倒されたあとは保管庫経由で公園に送り込まれるようだ。


「ところでドロップ品はどういう扱いなの?」

「ん? 体内から出てくるけど?」

「ということは解体される前提?」

「魔物は大体そうだね。守護者は別だけど」

「それって魔物達にとっては酷じゃない?」

「ふぇ?」


 解体される前提で送り込まれるから。


「今後は瀕死になったら素材交換が無難かもよ? 蘇生リソースも枯渇していたし」

「まさか、それが原因だったの?」


 魔物が迷宮の各所で死ぬ。

 解体されて魂魄だけ戻される。

 蘇生させる場所は魔物保管庫。


「一日の蘇生リソースは上限千体まで」

「それを超す規模で倒されているから保管庫の魔物が減少するのは当たり前だね」

「蘇生待ちの魂魄が彷徨く事も含めてね」

「アンデッドも浄化されたら扱いは同じだし」

「有限だから管理方法の見直しは必須だね」

「上に戻ったら仁菜(ニナ)と相談するよ」

「それがいいね」


 そうして私と実依(マイ)は柵を拵えた。

 安易な殺傷は禁ずと立て札を残した。


(by迷宮神の文字列はシュールだけど)


 私達は散策を終え、姉さん達の元に戻る。

 道中は魔物のことばかり話していたが。


「刺激しなければ襲われないけどね」

「魔物と分かると襲いかかりそうだね」

「あの眷属君達ならやりそうだね」

「そうなると、この地での討伐は罰でも与える?」

「何を食べても味覚が消しゴム味に変化する罰を半年間だけ与えようかな?」

「それはそれで酷な罰だね?」




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