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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第二章・今度は別の世界を管理するの?

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第39話 交差した不可解な関係。

 Side:実菜(ミナ)


 遂に夏季休暇が明けた。


「これから私達も学生なのね」

「私も未だに信じられないわ」


 私達は早朝から色々と準備して転入したばかりの分校に向かっていた。

 それは新たに編入する事になった亜衣(アイ)達も同様だね。


「こんな未来くるとは想定出来た?」

「全然ね。というか制服、似合うわね?」

深愛(ミア)の胸はパツパツだけど」

「今朝方からパッドを入れて盛ってました」

「これは元々よ!」


 表向き、亜衣(アイ)達は私達姉妹の遠縁の従姉妹扱いになっている。

 両親が海外勤務となり子供だけで過ごせないとして伯母である母さんが預かった体裁を採った。本当は娘だけど顔立ちが少し違うからね。


「私は元々この大きさですよ」

仁菜(ニナ)はそうよね」

「少し窮屈ですが我慢ですね」

美加(ミカ)は仕方ない」

「それで私は?」

「「深愛(ミア)はどんまい」」

「何でよ!?」


 朝から賑やかだよね、ホント。

 これが統合直後の騒ぎで疲弊していた妹達とは思えない。

 あの騒ぎも一先ず小康状態にまで落ち着いた。

 以降は次が来るのではとヒヤヒヤしたまま数日が過ぎた。

 来なかったけど。


「あれも夏季休暇明けだから落ち着くかな?」

「もしかして夏季休暇の暇人が攻めてきたの」

「そんな感じだね。実は先日の騒ぎの時さ、スマホでゲームを見たら大規模イベントをやっていたんだよ」

「「大規模イベント?」」

「課金勢向けの新シナリオね」

「もしかして読みふけった奴等が?」

「あちらに訪れたと?」

「そんな感じ。お陰でゲームを消すに消せなくなったよ。消したらあちらの状態が分からなくなるからね。ゲームの容量が無駄に大きいから困りものだけど」

「ああ、それは消せないね」

「うん、それは消せないよ」


 お陰でゲーム画面とにらめっこしないといけないから通信料が酷い事になったね。

 毎朝の超絶重たいダウンロードとログボがストレスになって確認が憂鬱になった。

 しかもサ終を願えど何十万ダウンロード突破で終わるに終わらない未来も読めた。


「クソゲーなのにユーザーは減るどころか増えるしさ。どのような手法で自殺志願者を大量に集めているのか不可解でしかないよ」

「もしかするとCMに暗示が加わっているんじゃないかな? サブリミナル広告みたいに」

「そうなると。広告代理店も仲間なのかも」

「というかそんな人物に憑依してるんじゃ?」

「その可能性が高いかな?」


 正直言って夏音(カノン)姉さんへ戻って来い的な気分に陥るよね。

 終わってないよ、姉さんの美味しい、お・し・ご・と!

 まだまだ大量に美味しい餌が転がっているよと直接教えてあげたいよ。

 出来ないけれど。

 そんな文句を垂れる私の前に……、


「でさ? あのお菓子がとっても美味しいの」


 妙な既視感を持ってしまう女性が現れた。


「あれ? あの人、姉さんに似てない?」

「うん。少し老けた感じだけど」

「似てるね。目元が特に」


 いかにもドSって風貌に既視感があった。


「少し鑑定してみる?」

「弾かれそうな気がするけど」

「そこは限定解除で」

「それなら大丈夫かな?」


 なので試しに鑑定すると驚く結果を得た。


「おぅ。姪っ子」

「化けてるね」

「母さんがそう設定したのかな?」

「おそらくそうかもね」


 レベルは今の私達より200も下だったから気づかれる事はなかった。

 これが制限中なら危なかったけど。


「これは追い抜かされる可能性もあるよね」

「叔母の立場としては上で居たいもんね」

「それなら、地底でも冒険者する?」

「それがいいかも。片付けもしないとだし」

「あれの片付けは私達でやらないとだもんね」

「監視しつつも掃討しないとね」


 世界は小康状態まで落ち着いたが問題児達はあちらの世界に残っている。

 一人一人片付けては世界の糧としないと、いつ何時穴を穿つか分からないからね。

 ゲーム上でもそういったイベントを何度も目にしたし。

 誰が一番に攻略するかって煽り文句付きで……攻略はさせないよ!

 現に攻略されると世界の崩壊が引き起こされるからね。

 邪神共はそれが狙いであれこれやってくるから面倒でしかないよね、マジで。

 私は指先に神力糸を少しだけ伸ばす。


「何より……あの子達はこれで一発でしょ?」


 あの子達はこれで経験値ががっぽりなのだ。

 私達も本来ならば不要なのだけど管理者権限で制限される。

 経験値を得ないと詰む。それは冒険者を続けるうえでは必須だった。


「私達では出来ない吸引法だし」

「眷属になる……訳にはいかないしね」

「私達は不死ではあっても純然たる……だし」


 女神だから姉の下に付く事は出来ない。

 権能もあるからそこらの亜神より上だし。

 というかそこらの亜神はクラスメイトだ。

 それを知ったのは教室に着いてだね。


「本日より転入してきました、神月(カヅキ)実菜(ミナ)です。よろしく!」


 何故か学校名を出すと全員から驚かれた。

 それは先日会ったはずの担任も含む。


(いや、アンタは書類を見ているでしょうに)


 同じ反応は他のクラスに転入した結依(ユイ)深愛(ミア)達も同様だったらしい。姉妹だからと同じ教室で過ごさせると思ったがそれは出来なかった。

 私のクラスメイトになったのは亜衣(アイ)仁菜(ニナ)だったよ。


「お、おい。あの子ら、そういう?」

「いや、俺に言われても」

「だが、底が見えねぇぞ」

「確実に言えるのは」


 こらこら。女の子を勝手に鑑定しない。

 スリーサイズまでなら許せるけどさ。


「何か不躾な視線がありますね」

「必要なら教育してあげてもいいでしょ」

「教育……ですか?」

「それこそ格の違いを教えるとか、ね?」

「「「「ひぃ!?」」」」

「殺気込みで睨みましたね」

「殺戮経験なら姉妹の中で私が一番だもの」


 過去に何度となく消滅させてきたし。

 今更人族を殺すことなど恐くないよ。

 すると私の殺気に反応したのか、


「物騒な気配が貴女方からしたのですが?」


 私達の姪っ子が教師として登場した。

 私は亜衣(アイ)達と目配せして誤魔化した。


「「「気のせいでーす」」」

「気のせい? ん? んんん?」


 あ、制限解除したままだった。

 鑑定されているのは分かった。

 だが私がレジストしたから青ざめている。

 私より上という思考も読めた。


「姉さん?」

「今の今まで忘れていたよ」

「早く制限してくださいよ」

「てへぺろ」


 私は急ぎ〈任意制限〉を自身にかけた。

 これで一時的に500に収まっただろう。


「え? 下がった……」


 これはこれでまずったっぽい。

 すると姪っ子は何処ぞに念話を始めた。

 やばっ。私の素性がバレてしまう。


「あ。そういう」


 どうも相手は母さんのようだ。

 彼女にとっての祖母が言い訳したかな?

 すると彼女は居住まいを正して宣言する。


「貴方達。お世話になった相手に不躾な視線を送るのは止めなさいね? こちらの女子生徒達は私達にとっての恩人ですからね!」


 言うだけ言って教室から出ていった。

 これはどう反応していいの?


「神名で呼ばれないだけマシかな?」

「そうですね。そうだと思います」

「ここで呼ばれたら困りますしね」


 神名。私達にはそれぞれの神の名がある。

 知っている者は知っているし知らない者は知らない。

 この生徒達は知っている側だろう。

 その証拠に……、


「おぉ。ここに居られたのですね」

「「ひぃ」」


 担任教師がうやうやしく頭を垂れた。

 私ではなく……亜衣(アイ)達にね。

 私は直接関わっていないが亜衣(アイ)達は別だもんね。

 それでも分割体の方だけど。


「また機会があればお呼び下さい」

「((呼んでない呼んでない))」

「こ、濃すぎるキャラよね。あれ?」


 すると私達の教室に休憩中の深愛(ミア)由良(ユラ)姉妹が顔を出した。


「ああ。深愛(ミア)も喰らったの?」

「うん。由良(ユラ)と共に抱かれた」

「「それはまた」」

「ナギサ臭……あれだけは慣れないですね」

「間接的に関わっているから私は無事だったけど四人はガチだもんね」

「不本意ながら」

「途中で優羽(ユウ)玲奈(レナ)の様子も見に行ったけど同じだったわ」

「「「おぅ」」」

「というか美加(ミカ)は?」

「未来視の後に〈隠形〉したみたい」

「こういう時は羨ましいわね」

「自衛のために使えるもんね」


 実は数日前まで芽依(メイ)美加(ミカ)も自身の権能に振り回されていたが、ようやく統合後の権能が定着したのか、最近は任意で未来視が出来るようになってきたのだ。


「というか姉さんも使えるよね?」

「あー、うん。使えるね。それは結依(ユイ)実依(マイ)もだけど」

「もしかして三姉妹だけ特別?」

「単なる器用貧乏なだけだよ」


 使おうと思わないと使えないしね。

 結依(ユイ)の場合は試験前に使う。

 それは大まかな範囲を絞る際に。

 実依(マイ)の場合は新商品の発売前。

 どんな味か知るためだけにね。

 私の場合は危機感を感じる時だけだ。

 直感めいたものが半月前に見える。

 そういう意味では多様に見える芽依(メイ)達よりは劣るだろう。


「それでも羨ましいかも」

「「「うんうん」」」

「私は兄さんの次に生まれたからね。系統が似通っていても不思議ではないよ」


 すると深愛(ミア)が急に話題を変えた。


「ところで先の術陣……いつ頃知ったの?」

「ここだけの話、私の権能って自動蒐集なんだよね。誰かが発したり思ったりするだけで情報が得られるんだよ。但し、取捨選択は私に委ねられるから、残すか破棄するかしないとだけど」

「そ、それって?」

深愛(ミア)よりも上?」

「上位ではあるね。深愛(ミア)の場合は授ける方に傾倒しているから拾うだけの私とは違うと思うよ」

「ああ。そういえば、そうかも」


 夏音(カノン)姉さんに〈魔導書(アーカイヴス)〉を授けているからね。

 あれも元は私の蒐集した知識から取捨選択して表示するスキルなのだ。

 なので当然ながら、


「はい!? ど、どうしたの、お母様?」


 夏音(カノン)姉さんに絶望を与えてしまう事も簡単だ。

 ドSだから打たれ弱い。


「え? 今の声?」

「多分、例の術陣の件じゃないかな?」

「あー。あれかぁ」

「あとは拠点の背後に管理室があることも?」

「それも出てるね。ガチで」

「そ、それは災難ね」

「あとでお詫びの品を届けますか?」

「いや、いいよ。深愛(ミア)が生み出された事を思えばね?」

「「「あー」」」

「あれかぁ」


 マッサージチェアで酷い目に遭ったもの。




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