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ポンコツ女神達の多忙なる日常!〜勇者ではないので、お構いなく〜  作者: 白ゐ眠子
第四章・変化が無い事が一番楽だよね?

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第107話 更新前から疲労困憊。

 私が創った水着は後日、姉妹全員へと示す事となった。

 深愛(ミア)には特別に⦅あんな恥ずかしい水着、着ないから!⦆見せたら拒絶されたけど。深愛(ミア)は似合うと思ったのだけど、赤ストライプの全身水着。

 そして翌日、王宮貴賓室にて朝食を戴いた後、


「姉さん、頑張ってね!」

「姉さんも頑張って下さいね?」

「「うぃーす」」


 管理世界へと戻る実依(マイ)達を王宮貴賓室から見送った私と深愛(ミア)はルゥちゃん達が訪れるまでソファーの上で惰眠を貪った。マジで眠い……。

 しばらくすると、大変お疲れ気味なティルと思案気なルゥちゃんが顔を出した。


「おはよう。二人共……元気、無いわね。もしかして寝不足?」

「「うん。寝不足」」

「まさか寝ないで何か創っていたとかじゃ、ないわよね?」

「「違うよ」」


 流石の私も王宮内であれこれ創る気なんて起きないって。


「王宮へ訪れたティルも疲労困憊だったけど、大丈夫なの? 今日からの更新?」

「どうにかするよ。それはそうと、ティルはどうして?」

「御母様からの説教で寝られなかったの。全然、制御出来ていないじゃないって」

「「「おぅ」」」


 ティルもティルで大変だったのね。

 私達は私達で滅茶苦茶、大変だったけど。

 それは昨晩の水着話の後、実依(マイ)達の寝顔を眺めつつ段取りを深愛(ミア)と話し合っていると、真夜中に来客が訪れ、疲れる問答を繰り返してきたのだ。

 それは私ではなく深愛(ミア)に対しての面倒な問答だったが。

 その来客とは……、


「ルゥちゃんの御母様って夜の方が元気なんだね」

「お、御母様?」

「「うん」」


 我が変態父の姉であり王太子妃としてこの王宮に住まう女神。

 顔立ちは全然似ていないが興味がある事への探求心は姉弟だなって思った。

 変態父の興味は今も昔も母さんの身体だけだと思⦅違う!⦆そうかな?

 私達からすれば父方と母方の伯母にあたる面倒な王太子妃だけど。


「夜中に突然訪れて、深愛(ミア)への質問攻めが凄まじかったから」

「好みの男性とか、何が好きとか、色々と聞かれたけど、今は男性に意識を向けられないとだけ、返しておいたわ。王子殿下との婚姻なんて特に興味が無いし」

「それでも引き下がらなかったから私達の母様を呼びますよ? で、帰られたのよ」

「それも渋々とね」


 あの伯母は母さんを妙に忌避するからね。

 そんな苦手な母さんを持つ深愛(ミア)を欲するのは止めた方がいいと思うな。

 絶対に上手くいかないから。


「それは何て言うか、娘としてお詫びするわ」

「お詫びは受け取るけど、これからって時に自分勝手なのはどうにかならない?」

「お陰で寝る時間を徹底して削られたから、本日の予定が消化出来るか不安でさ」

「後ほど御父様に報告しておくわ。妃の手綱ぐらい握っておけって」

「妃だけではなく愚息の手綱も追加で」

「あれは地下牢送りが無難かしら?」


 伯母にとって愛する子息を思っての行動だったのだろうが、出来ないものは出来ない。あの子息は世界管理の経験が皆無で、他世界を渡り歩いては世界神の邪魔をする存在として有名だったりする。将来的に邪魔しかしない伴侶など、ごめんなさいだ。

 そもそも深愛(ミア)は浮遊大陸の双女神が姉、黒歴史がきっかけで男性を忌避して間男を蹴り殺す、勇猛果敢な女神である⦅捏造すんな!⦆股間蹴りを忘れたの?

 体育館の屋根に突き刺したの誰だっけ?⦅うっ⦆大変、勇猛果敢な女神である!


「どんなにキツくても私達が更新するしかないけどね。そのために自分達の世界を妹達に委ねているわけで。ほい、深愛(ミア)とティルは、これ飲んで」


 私は〈空間収納〉より銀缶を取り出して深愛(ミア)とティルに手渡した。


「「これ?」」

「ブースト・ポーションだよ。飲む前に時間指定すると指定した分だけ、眠気が吹っ飛んで活力が漲るの。切れた時は倦怠感が襲うけど、体力を強化するだけだからね」

「「「ブースト・ポーション!?」」」


 このブースト・ポーション、私は結構な頻度で飲んでいたりする。

 生成したのは私ではなく素材神こと実依(マイ)なんだけどね。

 一定時間の眠気を飛ばし体力を強化して継続維持する効果を持つ。

 強化が切れた時の倦怠感は、本来の体力に戻った反動でしかない。


「元気な時に飲むとそこまで疲れないけど、疲労時に飲むと疲れがぶり返すというオマケ付きだけどね」

「もしかして以前から飲んでいた銀缶ってこれ?」

「あれ? 深愛(ミア)は見た事があるの?」

「リニア開通までの暇潰し時に、ね」

「ああ、あの時か」


 あの時も飲んでいたっけ。相応に疲れる事が予測出来たから実依(マイ)に用意してもらって、定期的にブーストして、どうにか完成したっけ……懐かしいなぁ。

 リニアの方も全線開通して、問題無く運用出来ているみたいだけどね。


「風味はレモン味だけど、いけると思うよ。一先ず指定は一日で」

「すっきり系なのね。指定一日で、いただきます……ん! 美味しい!」

「一日で、いただき、ます……ん、美味しい」

「美味しいの? すっごい気になるのだけど」

「予備は沢山あるから飲んでみる? 執務がいつも以上に捗ると思うけど?」

「執務が捗る……それなら、いただくわ」

「蓋は私が開けるね。はい、どうぞ」

「ありがとう……ん! 美味しいわね」


 飲み終わった深愛(ミア)とティルから疲れが吹っ飛び、艶やかな肌に戻った。

 眠気も覚め、思考力も覚醒した。すっきりとした風味も相俟って体力増強したね。


「疲れが吹っ飛んだ!」

「体力が漲ってくるぅ」

「こんなポーション初めてかも」


 初めてというか、こちらでは初出だしね。

 管理世界では頻繁に飲むポーションだけど。


「切れた時の倦怠感さえ無ければね。脱力感ともいうけど」

「でも、やりきった感がある時なら、その倦怠感も良さそうね?」

「やりきっていない時は怠くなるけどね。気分的に」

「そうなったら追加でブーストと? 依存性は無いの?」

「一時的な全能感を得られるから、多少はあるかもね?」

「なるほど。指定時間の最大は幾つなの?」

「私の経験だと三日が最長かな。飲まず食わずでも過ごせる時間だけど」

「それはそれで反動が過ごそうね」

「指定は一日が無難だね。途中で飲食した分だけ、元々の体力も回復するし」

「なるほど。元々の体力に一時的な体力を上乗せするだけだから体力強化か」

「そういうこと!」


 体力を強化した私達は王宮貴賓室から退出して、ルゥちゃんの世界がある扉前まで転移で向かった。徒歩で向かうのもいいけど、時間がもったいないからね。

 それにあの付近は渋滞スポットとしても有名で神々がごった返しているともいう。

 扉を開いて神界と呼称される空間へと入る。


「「ここがルゥちゃんの世界かぁ……」」

「母さんの世界と似通っている? 物が少ないというか、殺風景というか?」

「扉の内側はどの世界でも共通でしょうね。物がゴチャゴチャしている所は創造神の神界だけでしょう? 創ることが大好きだから」

「「うっ」」


 そ、そうかもね。それは父さんの世界の神界だけだけど。

 なお、私達の世界扉の内側は日本庭園として改造している。

 実は母さんの世界の神界も庭園なので似せて改造したのだ。

 茶が飲みたい時は上がって飲んで休んで帰るを行ったりね。

 最近はただの通り道と化して⦅お茶が美味しいね⦆⦅ですね⦆実依(マイ)達は真っ直ぐ帰らず茶を飲んでいるようだ。場所的に近いから念話が届くというね。


「これが終わったら庭園で美味しいお茶を飲みたいわね」

「それ、死亡フラグだから止めて」

「私達の場合、消滅フラグでしょ」

「どちらも似たようなフラグだよ」


 永久に更新が終わらないって意味にもとれるからね?

 管理世界も気になるのに世界の根幹が揺れまくって更新する事になった。

 理解ある神なら直ぐに終わるが無理解な神はいつまでも進まないだろう。

 そうなったら茶でも飲んで仕切り直しするしかないが。


「私もお茶が飲みたいわね。今度、招待してね?」

「「善処します」」

「そこは招待しますって言えばいいのよ!」

「私も招待して下さいね?」

「ティルは好きな時に向かえばいいよ」

「そうそう。ティル一人でもいいから」

「わたし一人!」

「私との落差よ」


 ティルは今、研修中だからね。

 叔母さんの世界に帰ったなら、招待する可能性も微レ、あるかもしれない。

 私達はルゥちゃんの世界の神界から女神の庭と称した空間へと転移で移動した。

 ここは叔母さんの世界では存在しない⦅ここは召喚空間よ⦆ああ、ティルが大ポカした空間なのね⦅うっ⦆女子寮を置いた私達の庭と同じ扱いか。なるほど。


「若干、母さんの庭っぽいわね?」

「だね。母さんの庭は芋しかないけども。小麦でも育てているの?」

「そうよ。主に製パン用の小麦だけどね。朝食にも出ていたでしょ」

「「あの美味しかったロールパン?」」

「ええ。私の世界産ね」


 あぜ道を進み、小麦畑の中心に建つ一軒の邸宅へと入る。

 そこがルゥちゃんの領主館と称した管理室でもあった。

 管理方法は神々で異なるが、大半は建物内へと置いているよね。

 私達も宇宙ステーションに移す前は住宅神殿だったけども。

 管理室の中心には練習世界の管理室にもあった古い神器が鎮座していた。

 ルゥちゃんは神器を操作して私への権限を一時的に与えてくれた。


「えっと、権限を一時的に与えて」

「承認完了、これから作業を開始するね」

「お願いね」


 承認後、初期設定と後付け設定を魔導書に記録し、生成魔導書を取り出して管理神器生成魔術陣(・・・)を複合展開した。


「何度見ても凄いわね」

「ええ、立体魔法陣ね」


 空中に浮かぶ白色の立体魔術陣(・・・)

 そこへ記録した初期設定と後付け設定を適用していく。

 適用後は神聖力の光力を極限まで抑えつつ、十割で放出して邪神が与えた穴を検査していった。ここで問題が見つかれば初期設定と後付けの穴を埋めて再度書き出す必要がある。無ければ管理神器の本体陣を生成し、神素結晶の円形厚板へ焼き付ける。


「本体の準備完了。次は設置して旧世界と同期開始」


 完全同期すれば惑星儀が展開され世界の概念が曖昧となり、邪神と眷属以外の生物達が新世界へと瞬間移動した。邪神と眷属は十割神聖力で足留めされているってね。




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