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到着、病魔に侵された町

病魔に侵された町の状況を聞いた私とムルムルとカレンさん。私は自分にも出来ることがあると思い行くことにした。


「行くといっても準備はどうするの?」


「司祭さん、その町は遠いんですか?」


「ここからなら馬車で4時間ほどです」


私は少し考える。さっきの司祭さんの話を聞くに私でも思いつく対応をして、その後に物資の援助とかやるべきことをした方がいい。


「分かりました。では、直ぐに必要なものを書いていきますから用意してもらうよう手配を。ムルムル…カレンさん、お願いします」


「わ、分かりました」


「ムルムルと司祭様は私と知識の共有を。急ぎますから馬車も使いません」


「では移動は?」


「魔法でやります。カレンさん、メモするものを上から順番に持ってくるように手配お願いします」


「はい」


「まずはアルコールです。これは飲むものではないので、度数の高いもので。そして、清潔な布類と使い捨てられる服を大量に。後は…マジックポーションと」


「使い捨てる服?」


「恐らく、息か触ってうつるので患者さんや触れ合った人が着替える用です。毎回、綺麗に洗える余裕はないでしょうから。司祭さん、食料はありますか?」


「町なのでそれなりには。ただ商人もうわさを聞いて寄り付かなくなってきています」


「分かりました。食料はまとめて明後日ぐらいに手配してもらって優先度は一番下で。ただ、野菜中心でお願いします。後は応援が呼べるならお願いします。無理なら来てもらった時に物資の追加を頼むかもしれませんからそれを。さっき言ったものを先にもらえるように手配もお願いします」


「は、はい」


バタバタとカレンさんが駆けて行く。


「アスカ。私たちは?」


「ある程度知識の共有をお願い。まず、空気感染ですが、いつも息をしていますよね?この中に患者の持っている病の素みたいなものが混ざるんです。それで感染する病もあるので、時間ごとに換気するのは大事なんです。もちろん、体が冷えると体調を崩すのでそこも大事ですが…。なので、患者さんもある程度離した方がいいです。あっ、毛布もいるね」


「そ、そうでしたか…。温めるのも大変ですし、世話をするのも一か所で出来るので、現在は野戦病院のようでして…」


「それはダメですね。それと患者さんに触れた手や、体から感染する場合もあるので手袋とマスクは重要だよ。そうだ!マスクも追加しないと」


「マスク?パーティーでもするの?」


「へ?ひょっとしてマスクしないの?」


「そもそもあの町は別に鉱山とか砂地地帯でもないわよ?」


「そっか、そう言うのしか普及してないんだ。ならハンカチでもいいよ。ちょっと大き目のね」


「分かった。伝えてくるわ」


こうして昼過ぎには何とか出発の準備が整ったんだけど…。


「どうしても護衛は必要ね。そもそも、巫女である私が来てるって証明にもなるし」


「でも、来てくれないよね…」


「まあ、病気の程度とかもわからないしね」


たまにこういうことも信者の人から頼まれるそうだけど、基本は王国が対応しているのでまずは静観している。後に治療要員として募ることもあるけれど、まばらに派遣される程度だ。王国との関係もあるし、十分に情報を得ていないので、やはりみんな不安なのだ。


「私は付いて行きます!巫女様をお守りするのが我ら神官騎士の使命です」


この難題に付いて来てくれますか?と話をしてすぐに手を上げてくれたのはラフィネさんだった。でも、こっち見ながら言うのはやめて欲しいなぁ。


「無理はしなくていいのよ。今回の話は私のわがままだし」


「いえ、我らは巫女様の身辺は元より、その御心を守るのも使命。いつも行動を制限されて辛い思いをされている皆様が動こうというのに黙ってはいられません!」


ほんとにこっちを見ながらでなければかっこいいのに。それからも数名手を上げてもらって、元々予定の5名の人員が確保できたので出発の準備だ。付いて来てくれる人にもいらない服を中心に持ってくるように言う。荷物については魔物と馬を掛け合わせたウォフロホースというのを持っていて、力強く遠乗りできるらしい。


「皆さんの中で風魔法とか早く動けない人は物資を運んでください。私たちは先行します」


「ですが、それでは…」


「私は風魔法が使える。必ずムルムル様たちをお守りする」


そう言えばラフィネさんは風魔法の家系だったな。


「私は?」


「司祭さんは私につかまってください。飛ばしますからね!」


「私も水しか使えないわよ?」


「ムルムルにはこの魔道具をあげる。頑張って付いて来てね。最初は手をつないであげるから」


「は?」


言うが早いか、ムルムルに魔道具を渡して私は司祭さんにフライの魔法を唱える。


「では、後で会いましょう!ラフィネさん、行きますよ!」


「はっ!」


「えっ、ちょっと待って、いきなりこんな速度なの!?」


「頑張ってねムルムル。1時間ぐらいしたら頑張ってもらうから」


「わ、私は大丈夫でしょうか?」


「司祭さんは私がバリアも張っているので大丈夫です。乗り心地は知りませんけど」


「け、景色がすごい勢いで進んでいくのですが…」


「2時間以内には着きたいですからね」


「そんなに飛ばしてMPは大丈夫なの?」


「大丈夫。現地でがぶ飲みすればいいだけだから」


「嘘でしょ…」


何とか40分後に慣れたムルムルと一緒に空を進む。


「でも、ラフィネさんは流石ですね。このスピードに簡単についてこれるなんて」


「はい。アスカ様も全力ではないからです。司祭様がいなければもう少し早いですよね?」


「そうですね。でも、自分でも結構飛ばしていると思ってたんですけど…」


「我ら風使いの騎士は現地に直行したり、有事の際に偵察などを行ったりと元々訓練するのです。一定の魔力がある騎士はそこそこできます」


「やっぱり、騎士ってすごいんですね。向こうでも期待してます!」


「い、いえ。アスカ様の力に成れて光栄です」


「先ほどから神官騎士が丁寧に接しておりますが、こちらの方はどこかのご令嬢でしょうか?」


「いいえ。最近登録されたアラシェル様という聖霊の巫女です。もちろん、私の友人で正しく巫女ですわ」


「そ、そうでしたか…。本当に大変なことを」


「い、いえ。大丈夫です。でも、ムルムル。正しく巫女って?」


「巫女って言っても登録している聖霊の巫女の大半はその信仰を行うために登録しているの。要するに責任者がいないからって感じね。実際に神託を受けることもないし、何か力を受け取ることもないわ。でも、アスカや私のような巫女は実際に神託を受けたり、力を授けられたりしているでしょう?そういうのを一般的に正しく巫女と言って区別されているの。こういう人は本当に珍しいんだから」


「流石はムルムル様のご友人ですね」


「全くです。素晴らしい巫女様ですよ!」


だからラフィネさん、こっち見ないで。


「でも、レーネ湖ってシェルレーネ教にとって聖地なのに、その近くの町は小さいんだね」


「逆よ。聖地だからこそ、むやみに大きくしないの。ちゃんと人が住める領域も限られてて、季節によっては貴族が別荘で過ごす場所よ。シーズンオフで良かったわ。その時に行ったらその時点で問題よ」


「確かに居たら大問題でしたね。別の意味で」


「ああ、そっちもあったわね…」


ムルムルにラフィネさんが同調する。何の話だろう?ちらちらこっちを見てくるし。


「あれがその町ですか?」


「そうです。あれがコルタの町です」


確かに空から見てもアルバの半分の大きさもない町だ。私たちは町の入り口に降り立って門番に入れてもらう。


「待て!今この町への入場は…」


「お疲れ様です。私です」


「これはテムズ司祭。中央神殿に行かれたはずでは?」


「ああ、大急ぎで戻ってきたのだ。有効かは分からんが一応の対処も出来るようにな」


「ほ、本当ですか!すぐにお通しします。後ろの方々は?」


「中央神殿の巫女様とその護衛騎士。そして、今回の事態の対応をしてくださるアラ…」


「アラシェル教の巫女のアスカです。よろしくお願いします」


「このような少女がですか?」


「彼女の知識は深いわよ。それは巫女の私が証明するわ」


「はっ!これは失礼を。領主代行の元に案内します」


「じゃあ、ムルムルお願いね。私は早速、司祭さんと現地に行ってくるから」


「嫌よ、そんな必要はないわ。代行には病気の人を収容しているところに来るように伝えて。すぐにやるわよ」


「しかし…」


「巫女様の意向だ。そのまま伝えるように」


「は、はっ!」


門番さんは交代の人を呼び、大急ぎで走って行った。悪いけどこっちも時間がないからね。


「さあ、急ぐよ!」


「アスカ!場所知らないでしょ」


「あっ、そうだった」


「全くもう…」


「さあ、こちらです」


こうして、病魔に侵された町コルタに私たちは着いたのだった。



初めてですよ。1話目で町に着いたの。表現等で問題がある場合は指摘ください。


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