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新たな仲間と旅立ち準備

街に入ろうとすると衛兵に止められた。


「おい!そこのやつは魔物だな?」


「はい。私の従魔です」


「小さいがこの辺り固有の魔物だから、街の市民の反応も大きい。出来るだけ宿で過ごすように」


「…分かりました」


ノースコアキャットはこの辺の固有種なのでどこにでもいるウルフ種とは違い、街でもかなり警戒されるだろうということ。


「ちょっと窮屈だけど我慢してね」


にゃ~


まずは従魔登録のためにギルドに向かう。


「お疲れ様で…おや?その魔物は?」


「従魔登録をお願いします」


「珍しいですね。この周辺にはそこそこ数はいますが、気難しいので登録できた人はほとんどいないんですよ」


「そうなんですね。キシャル、ほら手を置いて」


キシャルを従魔登録するための手続きを取る。


「はい。これがその子の情報です。確認しておいてくださいね。それと街中では…」


「門番さんにも注意を受けました」


「なら大丈夫ね。後は依頼の方ね…」


「ステータスが気になるだろ。今日はあたしがしておいてやるよ」


処理をジャネットさんに頼みキシャルのステータスを確認する。


名前:キシャル

年齢:1歳

種族:ノースコアキャット

従魔:Dランク

HP:220

MP:100/100

力:103

体力:86

早さ:143

器用さ:136

魔力:20

運:42 

スキル:氷魔法LV1、縮小化


「やっぱり魔力が低いね。一応氷魔法も使えるんだ。だけど、確かLV1って冷気を出すだけで、氷が作れないはずだね。普段は冷たい水で我慢してるのか…」


まだ、子猫みたいだしステータスは成長途中なのかな?アルナほどではないけど、戦闘になったら気を付けないとね。他のスキルはと…。


んにゃ


「わっ!?どうしたの?暇になっちゃったかな。もうちょっとだけ待ってね。今報告中だから」


街中なのでストールをかぶせながら胸でキシャルを抱く。こうしていると街中でも目立たないからね。


「報告終わったよ。一応ブルースライムの魔石だけは一つ取っておいた」


「ありがとうございます」


「そうそう、リュート」


「何ですか?」


「オークがまた入っただろ?今のやつは宿に出しちまってもいいから入れ替えといてくれよ」


「分かりました。干し肉のもの以外は変えておきます」


「それとアスカ。そいつ用のジュースがいるだろ。後で買ってきてやるよ」


「ありがとうございます」


無事に依頼も終わったので一旦宿に帰り、それぞれ別行動だ。旅をしているとちょっとこの瞬間が寂しい。前は下に降りればエステルさんとかエレンちゃんがいたからね。


「宿泊許可が取れたのは良かったけど、高いよね」


宿には話をして、うるさくしないのと食堂などへの移動制限で泊めてもらうことが出来た。ただし、1泊大銅貨4枚の追加だ。まあ、保険みたいな感じだよね。というか、カレーの件がなければ泊めてもらえなかったかも。


「小さいとはいえ魔物だし、今後泊まる街じゃ気を付けないとね」


んにゃ~


「なあに眠たいの?じゃ、ちょっと横になる?」


ピィ


「アルナごめんね。キシャルが眠たいみたいだからちょっと静かにしててね」


こうして私は緊張しているであろうキシャルとともにしばしの午睡を取ったのだった。


※ここからは従魔の会話です。


「あなた!新入りの癖に態度がでかいわよ」


「あら、小鳥ちゃん。大事なのはかわいいかどうかよ?私の方がふさふさ、ふわふわしてるし当然よね」


「なっ!?いい覚悟ね」


脅かしてやろうと魔力を高めると急に猫が巨大化した。サイズは元の倍とちょっとぐらいだろうか。


「あら、やるって言うの?疲れるけど、このサイズでお相手するわよ」


「あなたも巨大化できるの?」


「あなたも?まあいいわ。こっちが本当のサイズよ。でも可愛くないから普段はずっと小さくなってるの。この方が受けもいいしね」


「呆れた!アスカにも媚を売っていたなんて」


「そういうあなたこそ構って欲しくてそこら中、飛び回ってるじゃない。いい迷惑よね」


「何ですって!私はママの娘だから良いのよ。ママはアスカと親友なんだからね」


「はっ!魔物の癖にその歳で親頼みなんてお里が知れますわ」


「む~」


「う~」


威嚇し合っていると急に目の前に水が出た。


「うるさい。アスカが起きるでしょ。つまみ出すわよ」


「ご、ごめんなさい、ティタさん」


「はっ!ゴーレム程度の魔法が私に…ぐぅっ!」


「次は風穴空けるわよ」


「申し訳ございません」


「いい?アスカが細工をしている時と、寝ている時は静かにしなさい。枕になるぐらいは許すわ」


「はいぃぃぃ」


「それと氷ばっかりねだってないで自分で出す努力をしなさい」


「わ、私は魔力が低い種族でして…」


「口答えするな。努力しろ」


「かしこまりました!」


その後、毎日朝にコップ一杯を冷やすという日課がキシャルに追加された。


「自分で出せるように頑張るなんて努力家だねキシャル」


んなぁ~

(隣のやつの目が怖いのよ!)


「でも、自分で出せるようになったら、氷ももういらなくなっちゃうのかな?」


んな!?

(ダメダメ。あんなにおいしい氷は初めてだもの。これからも献上しなさい)


「あはは、分かってるよ。たまには出すようにするから」


んにゃ~

(たまにじゃなくて毎日でもいいわよ。よろしくね)


「ティタ、さっきからキシャルはなんて言ってるの?」


「ごほうびうれしい。でも、むりしないで」


「もう、かわいいなぁ、キシャルは。欲しくなったらティタに言うんだよ」


んにゃ~

(こ、こいつに頼まないといけないの?最悪だわ…自分だけ鉱石食べてるわがままゴーレムに)


こうして新たな仲間は地位を固めたのだった。



ーーー


「ん~、ゆっくりした。さ、細工をしないとね。キシャル、私は今から細工をするから離れててね」


んにゃ~


キシャルと距離を取って、細工に入る。残りの作業は雪の結晶の細工だ。これは銀のままでもいいから彩色の工程がないのは楽だ。


「ただ、形がね~」


安く作ろうと思えば安く作れ、高くしようと思えば複雑化する大変な作業になる。


「まあ、一般向けの作品も作っていきたいからそれでいいけどね」


ただ、体に直接触れる部分だけは溶かしても銀を使う。結構、金属がダメな人もいるからね。その点、銀はそういうことになりにくいみたいだし、体に触れる部分は頑張りたい。


「まあ、ネックレスはチェーンだけ、イヤリングとかは付けるところのリングだけだけどね」


これがブレスレットになると裏側だけとか変なことになる。だけど、出来るだけ安心して使ってもらいたいし、しょうがないよね。何とか1つ分だけ作って夕食だ。今日はオーク肉を味付けたステーキだ。どっかで食べた味だなぁと思っていたら、リュートが店に卸したものだった。


「そういえば、今日オーク肉が補充されたから入れ替えたんだっけ」


干し肉じゃなくて漬け肉でも日持ちするから作るんだけど、冷蔵だからそこまで持たないんだよね。冷凍室?そっちは氷系とか貴重なものが一杯で余裕がないんだよね。オーク肉は珍しくないから冷凍に入れることはないんだ。


「どう、アスカ?」


「ちょっと懐かしい味がする」


「そっか。まあ、ゆっくりしてってね」


食事を終えた後は簡単な料理が一皿出てきた。


「これは?」


「アルナとキシャルの分だよ」


「ありがとう、早速あげてくるよ」


部屋に戻るとアルナたちにご飯をあげる。


「ほら、夕ご飯だよ。たくさん食べてね~」


アルナは野菜中心にいつも通り、キシャルはというとわざわざ冷ましてから食べている。食にこだわる種族なんだな。


「さ、明日はまたお店に細工を見せに行かないといけないし、寝ないとね」


私はベッドに入るとキシャルを抱いて眠った。



「ん~、みんなおはよう。今日は細工を持っていくから私は出かけるけどどうする?」


ティタはキシャルとお留守番、アルナはまた出かけるようだ。


「アスカ、何時ぐらいから行くつもりなの?」


「リュートは食堂のことがあるし午後からにするよ。そうすればもう1つぐらいは細工も出来るし」


この完璧な回答。リュートの心配をしながらも、お姉さんに見せる細工の種類を増やせるという見事な判断。私だって成長してるんだから。


「別に僕はいつでもいいよ。前にも言ったけど、食堂の厨房とかってあんまり合わなくてさ。ちょっと味付けの時とかに行くだけの方が楽だし」


「そ、そう?無理しないでも大丈夫だよ」


「ううん。そうだ!前に言っていた南側の市場にでも行く?」


「あ~、うん。細工が途中だから明日にするね」


「そっか。じゃあ僕は珍しい食材とかスパイスがないか午前中は見てくるよ」


気を使ったつもりがリュートに気を使われてしまった。とりあえず、時間は確保できたので細工を行っていく。


「まずは、細かい雪の結晶からだね。最初から宝石がはめられるように形を考えておかないと」


場合によっては高級品として魔道具にもできるようにしたいしね。グリーンスライムと一緒でブルースライムも水の魔力があればある程度までの魔法を込められる魔道具にもできるから用途も多いだろうし。


「ん~、結構いい感じかな?ブルースライムの魔石をはめ込んでみよう」


試しに魔石をはめ込んでみる。別に営業をする気はないけど、あの店もちょっと高い服があったからこういうのが一つぐらいあってもいいだろう。


「ティタ~、スクロール使って魔法込めてくれる?」


「ん、まかせて。まほうは?」


「出来たらアクアバリアかな?」


「りょうかい」


ティタに魔法を込めてもらってまずは一つだ。後はちょっと簡単な模様で2つぐらい作って午前は終わり。午後からは実際に店に行くので腹ごしらえをしないとね。


んにゃ


「そっか。午後も出かけるからキシャルとはしばらく遊べないもんね。おいで~」


リュートが街から戻ってきて一緒にご飯を食べるまでキシャルと遊ぶ私なのでした。



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― 新着の感想 ―
[一言] ティタは従魔の仲で「しっかり者お姉さん」していて宇良いですね(笑)
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