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フロートの休日!? 装備編

「リュートどうだった?」


料理をしたいので宿の厨房の使用許可を取りに降りたリュートが帰ってきた。


「無事に許可は取れたよ。ただ、ちょっとだけ困ったことが…」


「困ったこと?」


「アスカがカレーって言ってた料理あるでしょ?あれのメニュー登録をしたいからレシピを商人ギルドに登録してくれって」


「カレーを?でも、この街で見かけたことないよね?」


別にどこかで食べたことがあるならいいんだけど、そうでもないのにどうしてだろう…。


「それがさ、発注担当者が高めの香辛料を大量に誤発注して在庫が山盛りなんだって。だけど、あれって他国からの輸入品でしょ?中々使い道は思いつかないし、癖が強くて困ってるんだって。僕が交渉の際に分かり易いと思って試しに出した調味料がそれだったらしいんだ」


「ちなみにどれ?」


「これだよ」


「これって3種類位がミックスになってるやつだよね。これなら、多分大丈夫だよ。他のものも使うけど、メインはこれだから」


「良かった。僕もアスカと一緒に作った時に配合をメモしててそうだとは思ってたんだけど、いまいち確信が持てなくて…」


「あはは、あの時はあーでもないこーでもないって結構混ぜて多くできちゃったもんね」


いまだにそのカレーミックスは瓶に詰めて残っている。ただ、全部粉じゃなくて実とか色んな感じで入ってるからぱっと見じゃ配合が分からないんだよね。


「それで、味見の時だけでいいからアスカにも協力してもらえる?」


「私が?どうして?」


「僕も作り慣れてないから、アスカの言う料理の味になってるか自信が持てないんだ。自分で作ったものなら、気にならないんだけど…」


「いいよ。でも、私が味見してもこの土地に暮らす人の口に合うか分かんないけど…」


「登録するのはベースになるレシピだからね。アレンジしたのを登録すると、広まるのもそっちになっちゃうかも」


「それは困る」


結構香辛料は入れる量で味も香りも変わるし、私にも好みの味があるのだ。辛口が広まっても困っちゃうしね。リュートとそんな約束をして、その日は普通に過ごした。


ピィ


「ん?明日も遊びに行く?いいけどアルナ、ちゃんと帰って来てね。それと街の外には絶対出ないこと!わかった?」


ピィ!


返事は良いんだけどね。今一つ信頼がおけないけど、疑ってばかりでも仕方ない。成長したところを見せてもらいますか。


ーーー

「で、準備はできたかい?」


「バッチリです。リュートは?」


「僕もいいよ。というか普段からあまり恰好は変わらないからね」


「リュートもジャネットさんと一緒で、冒険者っぽさを意識してるの?」


「冒険者っぽさってあんたねぇ…」


「いや、孤児院を出たころは生活するのに精一杯だったから、こういうの気にならないんだよね。元々、孤児院にいた時から服は最低限だったし。フィーナと話したこともあるけど、スラムじゃ服すらろくにないから、大人のが破れたら子供にって感じだったんだって」


う~ん。ジャネットさんの言う通り、これはリュートに服を選んであげないと。お洒落、とは言わないまでも街にいる時ぐらい普通の恰好させてみたい。何より、3人いて私だけ普通の恰好じゃ変だもんね。


などとアスカは思ったが周りの評価が精々、貴族令嬢と男女の護衛が貴族令嬢と侍従と護衛になるだけだとは思ってもいなかった。


「それじゃ、出発だね」


「まずはどこに行きましょうか?」


「話に聞いた商人ギルド併設の店は行ったから、早速武器屋に行こうとするかね」


「武器屋ですね。了解です」


「たのしみ」


今日はティタもこっそり袋に入ってついてきている。特に武器屋とか魔道具屋は鉱石クズとか魔石クズが手に入るとあって、良くジャネットさんと一緒に店に行っているのだ。


「らっしゃい…」


武器屋に着くと典型的な無口なおじさんがいた。どうやらあのおじさんが店主みたいだ。


「武器を見せてもらうよ。剣のコーナーは?」


「剣はあっちだ。他は?」


「私は付き添いです」


「僕は槍を」


「槍は向こうだ。嬢ちゃんは普段何使ってるんだ?」


「弓ですよ。でも、どうして冒険者って分かったんですか?今は普通の恰好なのに…」


「ハンッ。武器を見た時の目線が違うからな。戦わん奴らは直ぐに意匠がどうだのとのたまわるからな。なら、矢は使うよな。矢筒はどんなのだ?」


「ちょっと待ってくださいね」


私は持ってきていたマジックバッグからごそごそと矢筒を取り出す。


「ほう?確かにいい出来だが、ところどころほつれもあるし替え時だな。中で半分に分けてるのか?」


「右が普通の矢で左はウルフの矢です」


「なるほどな。お前、街にはしばらくいるのか?」


「まだ、数日はいますけど…」


「いい奴を知ってるから、そいつに作らせる。矢は普段よく使うのか?」


「連射もするので…でも、戦闘ごとに補充するから筒には一杯入れません」


「分かった。調整もできるし、丈夫なのを言っとくからまた来い」


「はい。ありがとうございます」


何だか会話の流れで矢筒を新調することになってしまった。まあ、中の仕切りも簡単なものだったし、腕のいい職人さんに頼んでくれるみたいだからいいけどね。おじさんと話をすることもなくなったので、2人のところにそれぞれ行ってみる。


「ジャネットさんどうですか?」


「ん~、剣はねぇ…。旅に出る前に王都で作ってもらったのもあるし、流石にないね。欲を言えば欲しいものはあるけど、予算に合わないね」


そういうと早々に剣のコーナーから短剣のコーナーに切り替えるジャネットさん。私も見習わないとね。


「リュート、そっちはどう?」


「アスカ。前に話してた予備というか使い捨てられそうなのでしょ?結構いいのがあって、逆に迷っちゃって…」


リュートが言うには王都に次ぐ都市である。そんな町の武器屋だけあって、かなり質がいいらしく使い捨てどころか普段使いに出来そうなのが多すぎて逆に困っているとのことだ。


「なんだ。立派な槍を下げているのにまだ要るのか?そこには属性槍はないぞ」


「いえ、槍はこの魔槍で足りてるんですが、いざという時に投げたり、使い捨てられそうなものを探していて…」


「ふん。なるほどな。お前、武器をろくに買い変えたことがないんだな」


「まあ、前は短剣でしたしそれも質が悪いものだったので…」


「そういう時はこれぐらいの質のを選べ。ただ、値段で選ぶなよ。つまらん鍛冶屋が希少金属を使っているといって、値上げしてる奴が混ざってるからな」


「これぐらいって金貨6枚ですよ。高くないですか?」


「バカか?槍は剣より冒険者の需要が低いんだ。需要の高い騎士団相手には金額なんてどうでもいいし、一般人が買えるのは剣より割高になるんだよ。これ以下はいつ折れても後悔しない奴の買うもんだ」


「うう~ん。でも、ちょっと高いんですよね。ちょっと待ってください」


リュートはそういうと魔槍を短くして並んでいる槍に近づけていく。


「これは強度がダメ。こっちは両方。これは切れ味は良いけど、取り回しがダメ。こっちは柄がダメ。えっ!?これ?本当かい?」


別にリュートがおかしくなったわけではない。魔槍と交信?して、いい武器がないか話しているのだ。そしてその魔槍さんの選んだ武器は薙刀みたいな槍だった。多分、正確には槍でもないんだろうけど…。


「ほう?そいつか、珍しい形状だろ?槍なのに剣のように斬りつけられるんだ。代わりにそこまでの刺突性がないがな。値段は金貨4枚だ」


「これはこの棚にあるのに安いんですね」


「柄も短めだからな。それに特殊な形状で槍使いと言えど、うまく使えなくてな。その分だ」


「リュート、これにするの?」


「魔槍はこれが一番値段にしては質が良いって。だけど、確かに使い難そうだしどうしようかな?」


「リュートが薙刀かぁ~。場所が場所だったら武道場で弓道と薙刀道でお揃いだったのにな~」


まあ、その場合だと私が弓を持ってる前提がおかしいんだけどね。この世界に来るまで弓なんて引いたこともなかったし。


「アスカとお揃い…これはいけるかも。僕、これにします!」


考え事をしていたから最初の方は聞こえなかったんだけど、どうやらリュートは薙刀を使うことに自信があるようだ。


「お、おう、そうか。扱いが難しいと思うが頑張れよ」


結局、武器屋では私とリュートがそれぞれ矢筒と薙刀を買った。ジャネットさんはやっぱり普段、王都の店に行っているだけあって、何も買わなかったみたいだ。まあ、店もAランク冒険者のジュールさんに紹介された店を使ってるし、こればっかりはしょうがないよね。


「じゃあ、次は防具屋だね」


防具屋ものぞいていく。ただ、私もジャネットさんも防具はハイロックリザードのものだし、リュートも鎧の内側の主要部分には使ってるからあんまり需要がないんだけどね。武器みたいにサブって感じでもないしね。


「こんにちわ~」


「いらっしゃいませ!」


防具屋さんはさっきと打って変わって、綺麗なお姉さんが接客してくれる。心なしか客も若い男性が多い気がする。まあ、冒険者だし偶然だと思うけどね。


「ここは魔道具系もあるかい?」


「はい。サイズが直せないものですがそちらです。一部は契約している魔道具店で作成できますのでおっしゃってくださいね」


お姉さんに案内された場所には所狭しと魔道具が並んでいる。魔道具には一緒に説明書きも付いていて、分かり易い。


「あたしが見るもんって言ったら兜ぐらいだけど、嫌いなんだよねぇ」


「そういえばジャネットさんって兜しませんよね。何か理由があるんですか?」


「音が聞こえにくくなるし、苦手なんだよ被り物自体。鉢がねでも、額を守るだけみたいのなら別にいいけどね」


まあでも、それに金を払うぐらいならうまいもん食うけどねというジャネットさん。今度こそっと作ってびっくりさせてあげようかな?


「リュートは何かあった?」


「うん。この具足は気になるかな?」


リュートが指し示したのは飾り気の少ないブーツに近いようなものだ。魔石が使われているみたいで、風の魔法で短距離だけど加速できるみたいだ。でも、気になってるといいつつ手に取る感じでもない。


「どうして見てみないの?」


「それがさ、機能は良いとしても物がね…」


確かに見ると、魔道具としての機能には問題なさそうだけど、防具としての質は良くないみたいだ。多分、ガンドンの皮を使っているのだろうけど、合わせ面とかカットの形が汚い。意欲作というよりはこういう魔道具に需要はあるかという試験品みたいな印象だ。


「こちらが気になりますか?」


「いや、買う気は…」


「これはうちと契約している魔道具師の作品でして、色々な実験作を作ってるんです。工房に案内しましょうか?」


「いえ、結構です」


「そうですか。何か気になったものがあれば気軽にどうぞ」


案内を断り、結局リュートが新しい具足を買ったぐらいだった。


「ねぇ、アスカの言う通りに買ったけど魔道具じゃないしこれ買ってもよかったの?」


「大丈夫。任せといてよ!防具は作れないけど、魔道具にするだけなら簡単だから。このデザインなら魔石ぐらい簡単に組み込めるし、サイズもいいんでしょ?」


「それはそうだけど、手間じゃない?」


「リュートのためだし平気平気。次の冒険までには間に合わせるからね!」


そうして、とりあえず冒険関係は終了して、服とかを見に行くことになったんだけど…。


「あたしはパス。見るもんがないからね。それより、もう一回商人ギルドの店に行ってみるよ。ちゃんと見比べてみないとね」


という訳でなぜかティタも連れてジャネットさんは行ってしまった。そういえばティタもじっとしてたから魔石とか買ってないや。ああいうところに着いたら、いつもはこっそり喋ってくるのに珍しいな。



「こうせき…ませき…」


「ほら、着いたら買ってやるから黙ってなって言ったろ。全く、世話の焼ける2人だよ…」


こうして今日も1人、ジャネットは子どもに気を使うのだった。




最近気になっているのはプロットを皆さん書きますかということです。私は書いたことがないのですが、あると違うものなのでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] >最近気になっているのはプロットを皆さん書きますかということです。私は書いたことがないのですが、あると違うものなのでしょうか?  断然。  むしろプロの物書きになるなら、必須ですわ。 …
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