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アスカのラスツィア観光 その2

ラスツィア観光の第一弾として、まずは北にある食料品や日用品を扱う市場に来た私とリュートとアルナ。日用品は見終わったので、いよいよ食料品関係だ。


「まずは調味料からだね。パッと見た感じはどう?」


「種類が多いのが分かるよ。しかも、こういうのって似たような商品を扱ったりするところも多いんだけど、結構店ごとに特色があるみたいだ」


「カ、カレーの材料追加できそう?」


「カレー?ああ、あのスパイスをたくさん入れた料理だね。大丈夫だと思うけど、匂いがきついからね。村とかでちょっと作ったりはともかく、大々的に作るのは難しいから」


「そっか…」


確かにあの匂いは反則的だもんね。魔物だって一気に寄って来ちゃうよ。


「それじゃあ、後はと…おっ、醤油があるよ」


「本当だね。王都に寄らないんじゃ、次に買えるのは港町かな?買っておこう」


少し醤油にも慣れて来たリュートは照り焼きや唐揚げが結構好きな味付けみたいで、日々の消費量も上がってきている。それに、干し肉とか保存食にも多用するので、在庫が心配なのだ。


「毎度」


「無事に買えたね」


「ちょっと高かったけどね」


港町からレディト、王都を経由してラスツィアに来た醤油の値段は1本銀貨2枚だった。もちろん、レディトで買ったのと量は同じだ。輸送費って高いね。


「後はカレーの材料だね。ただ、あまり作る機会がないからちょっとだけだよ」


「は~い」


他にもドレッシングの材料になりそうなのとか乾燥ハーブを買っておく。調味料のブレンドとかも独特なのもあるし、いっぱい買っておかないとね。頼んだよリュート!


「何だか悪寒が…次に行ってみようか」


「いよいよ、食料品だね。こっちは肉類や魚が多いね」


「さっき買った調味料側じゃなくて野菜とかのブースから来た人向けみたいだね。こっちの肉でおすすめの調味料を紹介したりするみたい」


他の客との会話を聞きながらリュートが教えてくれた。なるほど、肉は確かにハーブとかたれとセットだもんね。


「じ~、肉はオークと一部飼育されてる動物のものみたいだね」


「アルバでもちょっと飼育されてたけど、あれって高いからあんまり出回らないんだよね」


「そういえば街の肉屋さんでこんな脂ののった部位は見かけなかったけど、どこで売ってたんだろう?」


「各地の貴族の邸とか王都とか後は有力商人向けだよ。土地もいるしエサ代もかかるし、何より警備費が高いんだよ」


「そっか~。でも、ここは売ってるよ?」


「この町は貴族もいるし、それでじゃない?でも、貴族なら届けさせるか。商人向けかな?」


「何だい嬢ちゃんたちこいつが気になるのか?」


「はい!普段見かけないので」


「確かになぁ。うちでも扱ってるが、気前のいい商人がちょっと買うぐらいで、あんまり売れなくてな」


「ちなみにいくらなんですか?」


「こっちのステーキが銀貨1枚。こっちのちょっと小さいところは銀貨2枚だな」


「ぎっ…銀貨…」


ちなみに最初に言われたのがももかサーロイン?の200gぐらい。小さい方はヒレみたいだった。オーク肉とかが普段食べられてる理由が分かったよ。魔物は倒すのに実力がいるけど飼育費用もないし、生息してれば各街で手に入るけど、動物はそうはいかないもんね。貴重な氷魔法使いで凍らせるか、現地の町まで生きたまま運ぶかだもん。そりゃ高いよね。


「ど、どうするリュート」


「アスカが食べたいならどうぞ。流石に僕は遠慮するよ。これからの旅でどれだけ使うか分からないし」


「そうだよね…でもなぁ」


確かに、アルバでもたくさん肉料理は食べた。サンドリザードは鶏肉みたいだったし、オーク肉は豚肉に近い。でも、牛肉っぽいのは結構筋肉とか完全な赤身っぽいのしか食べられなかったんだよね。ここに並んでるのは結構霜降りがあるし、美味しいと思うんだよね~。


「うう~、1枚。1枚だけなら」


悩んだ挙句、1枚だけ買うことにした。今日宿で焼いてもらおう。その後は野菜なども見ていった。


ピィ


「ん?食べたいものあった?」


見るとアルナがきゅうりっぽいものに興味を示している。そういえば、アルバでは見かけたことなかったかも?


「じゃあ、とりあえず2本買おうかな?」


「2本?アスカも食べるの?」


「そうだよ。ちょっと塩に漬けて食べるとおいしいよ」


「へぇ~、僕も買おうかな?」


種類も量もたくさんあるのでいっぱい見ながらリュートと一緒に買い物をした。


「ふぅ~、買ったね~」


「買ったはいいけど、どこかで厨房借りないとね。こんなに消費しきれないよ」


輸送費はかかるものの、大量輸送をするためか野菜などもそこまで高くはなかった。まあ、近隣の町や村のを集めてるからかもしれない。輸入品や遠くから持ってきただろう調味料は高かったしね。


「それじゃ、次はと…秋に向けて服屋さんかな?」


そろそろ店が開き出す時間なので、市場を南に下り服屋さんを探す。


「あっ、ここいいかも」


「じゃあ入ろうか」


「でもいいの?ここ女性服の専門店っぽいけど…」


「それはまあしょうがないよ。アスカもいるし」


「そっか。まあ、リュートが一人で入ってたら大変だよね」


「入らないってば」


「あら、いらっしゃいませ。そちらのお嬢様の服をお探しですか?」


「い、いえ、私はただの旅人で」


「まあそうでしたか!申し訳ございません。本日はどのようなお召し物をお探しで?」


「秋用の服なんですが…」


「ドレスは…行きつけでしょうから、普段使いの服ですとこちらです」


「は、はい。うわっ!いい生地、触り心地も滑らかだ~」


「ありがとうございます。ぜひ、お試しを」


値段は高かったけど、これまでのどこよりもいい生地だ。それにデザインの良さもあるし、確かに銀貨7枚って言うのもうなづけるなぁ。


「そちらのお召し物でしたら、こちらの髪飾りはどうでしょうか?」


「これですか?う~ん。でも、ちょっと大きいような。もう少し小さいオリーブの葉みたいな感じでも…」


「まあ、確かにそうですね。ですが、当店ではこちらが一番小さいものですので…」


「そうですか…そうだ!それなら、今度良いものを持って来ますよ」


「よろしいのですか?」


「はい!明後日ぐらいには来られると思いますので」


とりあえず今日のところは服だけ買って店を出る。


「ねぇ、アスカよかったの?」


「何が?」


「あの人アスカのことずっと貴族だと思ってたよ」


「え~、そんなことないよ。だって貴族街は別にあるし、そっちに専門の店もあるってジャネットさんも言ってたし」


「いやほら、お忍びとかそういうのもあるんじゃないかな?」


「考えすぎだって、次行こ」


次はちょっと市場で時間を使ったのでお昼ご飯だ。飲食店街を歩きながら店をじっと眺める。


「う~ん、どこがいいかな~」


「あの店はどう?落ち着いてそうだよ」


「あっ、いいかも。あんまり行列とか人が多いのは苦手なんだよね」


宿での食事も一番だったり夜だったりで空いてたり、奥の方の席を使わせてもらってたりしたしね。


「いらっしゃいませ」


「2人でお願いします」


「は~い、奥の席どうぞ」


案内された席に着きメニューを見る。


「おすすめとかありますか?」


「今日は市場でいい野菜が入ったのでそれですね」


「じゃあ、私はそれで。リュートは?」


「そうだなぁ。ちょっと高いけど、このグラドンセの炒め物にするよ」


「分かりました。飲み物は?」


「フルーツジュース2つで」


「ありがとうございます。少々お待ちください」


「へ~、この辺にもグラドンセいるのかなぁ?」


「どうだろう?レディト東の草原から輸送かも。値段も大銅貨2枚だったしね」


グラドンセとはレディト東に住む草食の鹿の魔物だ。当然草食なので人を襲うことはないが、びっくりして突進してくることもあるので、気が抜けない。何といっても特徴的な角が刺さると大変なんだ。


「あっ、来たみたいだよ」


「お待たせしました。先にジュースをどうぞ。すぐに食事も持って来ますからね」


まずはジュースとパンを持ってきてくれ、後でメインの料理が運ばれてきた。私の方は当然サラダ中心だけど、ちょっと肉も入った野菜スープも付いて来て、リュートもスープは同じもの。そしてメインの炒め物は鉄板に乗っていて、上にはソースがかかっていた。


「うわ~、そっちもおいしそう」


「本当だね。これでこの値段なら安いかもね」


早速、2人とも食べ始める。


「どうしたのアスカ。手が止まってるけど」


「あっ、うん。やっぱりパンをナイフで切るの慣れないなぁって」


「そういえばアスカの住んでたところって、柔らかいパンが当たり前だったっけ?」


「うん。それに、宿でも出るようになってお昼はサンドイッチとか何か挟んだパンがメインだったからね」


「旅に出て逆戻りだもんね。でも、ここのはやわらかい方だよ」


「うちは南方の穀倉地帯の麦を仕入れてますからね。匂いもいいんですよ」


「確かに。私のは野菜中心だからよくわかります。アルナももうちょっと食べる?」


ピィ


「あら、かわいい小鳥ちゃんですね。飼ってらっしゃるんですか?」


「はい。以前住んでいた場所でも色んな人に世話をしてもらってたんです」


「そうですか。懐いているみたいでいいですね」


お姉さんがアルナに手を近づけると、何だ?とくちばしで軽くつつく。


「あ、あら、警戒されちゃったのかしら?」


「いいえ。食事中だったから、何かもらえると思ったんですよ」


「そうなの?ちょっと待っててね」


お姉さんは奥に引っ込むと野菜の葉などをちょっと持ってきてくれた。アルナは軽く食べて確かめた後、パクパクと食べ始めた。その後はお礼にとお姉さんの方に乗っかるアルナ。


「あら、触ってもいいの?」


ピィ!


「さっきのお礼って言ってるみたいです。でも、小鳥なんで優しくしてあげてくださいね」


「分かりました。わっ、思ってた以上にふわふわね」


「ご飯は欠かさず上げてますから」


「いい飼い主さんで良かったわね」


ピィ


ちょっと早めだったけど、お昼ご飯も済ませて私たちは商人ギルドに向かったのだった。




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― 新着の感想 ―
超高い肉は地球で言うと国産和牛のシャトーブリアンって感じかな? たぶん値段相応に美味しいのだろうけど、これで益々アスカの舌が肥えてしまう…!
[一言] >アルナがきゅうりっぽいものに興味を示している。 >ちょっと塩に漬けて食べるとおいしいよ  塩だけじゃなくて、ターメリック(つまりウコンでありカラシ)をちょっと揉み込んでやっても美味しいで…
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