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転生後に世界周遊 ~転生者アスカの放浪記~【前作書籍発売中】  作者: 弓立歩
おつかいアスカ

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騎士の訓練風景

そして翌日。今日は騎士団の訓練を見学させてもらえる日だ。


「アスカ様、本日はお世話をさせていただきます」


「短い時間ですがよろしくお願いします。あっ、服装は昨日着ていた服で。そのまま帰るかもしれないので」


「そうですか…残念です」


「その代わりと言っては何ですけど、髪型は自由でいいです。たまには気分も変えたいので」


冒険中は長い髪をそのままにしているけど、たまには編み込みとかもしてみたいし、気分が一新できていいかなと思ったのだ。


「お任せください!」


そういうとメイドさんのやる気が一気に上がったみたいで、綺麗に髪をすいてくれたあとは、ポニーテール気味の左サイドテールに右は編み込みという髪型にしてくれた。


「わぁ~、かわいいです!ありがとうございます」


「さあ、それでは朝食を取りに参りましょう」


「お願いします」


ちなみに、ジャネットさんたちはというと残念ながら、メイドさんと入れ替わりに部屋を出て行った。寝ている間の護衛だからということらしい。



「おはようございます」


「おはよう、昨日はよく眠れたかしら?」


「おはよう」


「はい、とってもよく眠れました。マリーネ様もおはようございます」


挨拶もそこそこに料理が運ばれてきた。


「それにしてもアスカさんは騎士の訓練に興味があったなんてね」


「やっぱり冒険者といいますか、なかなか見る機会がないので。貴族の方の邸に行ったことはありますけど、大体見るのは庭の方で…」


「まあ普通はそうよね。マリーネも訓練の方が好きで困っているのよ」


「私もお父様のようになって、そしてフィル君を守るんです!」


「はぁ…こんな調子で。同い年の子はドレスか刺繍に興味を持ち始めているのに、ずっとこうで」


「でも、この年でやりたいことがあるのっていいと思います。目標があればやる気が出ますし」


「その方向がね…。でも、アスカさんの言う通り、漠然と生きているよりはいいのかしら?」


そんな話をしながら朝食を取る。そして、食事も終わり、いよいよ騎士団の見学だ。ちなみに、マリーネ様も今日はお勉強の予定だったが、お客様の相手という口実でついてくることになった。



「この時のために今日は普通の服だし、頑張らなきゃ」


「アスカ、忘れてると思うけど見学だよ。あんたまさか飛び込もうってんじゃ…」


「やだなぁ、ジャネットさん。力試しなんて考えてませんよ。騎士さんって強いのかな~?なんて思ってませんから」


「アスカ、やめてあげてよ。自信喪失させるのは」


一体、ジャネットさんもリュートも何を言っているのだろうか?本職の騎士さんに冒険者がかなうことないのに。


「さあ、それでは参りましょう」


マルディン様に先導されて私たちは訓練場に入っていく。


「マルディン様!今日見学の予定はなかったと思いましたが…」


「ディアス副隊長。急で申し訳ないのですが、こちらのアスカ様が皆さんの訓練を見学したいと申されて…」


「我々は構いませんが、ご興味が?」


「は、はい。今日はよろしくお願いします」


「ディアス殿、アスカ様は中々の強さだ。ただの見学希望ではないぞ」


「これはフランツ殿。もしや、貴公が護衛を?」


「うむ。イリス様からの書状をアスカ様がここへ届けに来られてな。私もその護衛と言う訳だ」


「ならば、余計にふがいないところは見せられませんな。おいっ!今日はご婦人方に加え、フランツ殿たち護衛の方も見学なさる。いつも以上に力を発揮するのだ!」


「「はっ!」」


訓練場にいた騎士たちが一斉に返事を返すと、すぐに各々が武器を持ってウォーミングアップを開始した。


「やっぱり騎士さんって剣が多いんですね」


「手に取る機会が多いのもありますわね。うちの領地のものは一部、イリス様よりいただいているのです。だから、切れ味や耐久性も一般的なものより優れているのです」


そして、いよいよ次は調練だ。お互い、切り結んだり激しい内容へと移り変わっていく。


「やっぱり、大人数で訓練してると迫力ありますね!」


「そうなの!ここにいつになったら入れるかなぁ」


「マリーネ…」


「アスカ様、いよいよ次は魔法を駆使した空中戦をお見せいたしますよ」


「空中戦!すごいですね」


「うちの領地は風魔法使いが多いのでこういう訓練もできるんです」


そうディアスさんが言うと、一度騎士さんたちが手を止めて横一列に並ぶ。その時、一人の兵士さんが訓練場に駆け込んできた。



「た、隊長!副隊長!!」


「どうした騒々しい。客人の前だぞ?」


「そ、それが、急な報告が…」


「なんだと!?話せ」


「はっ!町の南西にディーバーンが3体確認されました!体色は赤2体に緑1体!」


「なにっ!」


「なんですって!」


「フランツさん、ディーバーンって…」


「ワイバーンの混合種です。空を飛ぶだけでなく魔法も使う、Bランクの魔物の中でも上位の存在です。それが3体とは…」


「くっ!まさか、団長たちが王都へ行って不在の時に…。分かった、急いで部隊を編成する。それで、その情報はどこからだ?」


「南西にあるフィデルア砦からです。報告に来たのは一人でした」


「一人だと!?砦は落ちたか…最大戦力を投入する必要があるな。マルディン様!見回りの騎士と周囲の砦の騎士の召集の許可を」


「許可します。それと急ぎ現地に私も向かいます!」


「そんな、危険です!」


「私は領主代行です。ここでは襲撃があれば当然のことです。ウィラーの顔に泥を塗るつもりですか?フィリップ、私の装備を」


「直ちに」


「マリーネ、あなたは邸で待っていなさい」


「お母様…」


「私が帰らぬ時はあなたがお父様に伝えるのですよ」


「い、嫌です!」


「わがままを言ってはなりません。私たちは領民の生活に責任を持たねばならないのです」


「でも…」


「さあ、アスカ様たちも。この町に入れさせる気はありませんが、万が一のことを考えて邸でお待ちください」


「…いいえ。私も協力します!」


「なにを言っているのです!相手は我が領の騎士団でも苦戦する魔物です。それが3体もいるのですよ!」


「だったら尚更です。マリーネちゃんも、ウィラー様も息子さんも。町の人もマルディン様に何かあったら絶対悲しみます!ね、ジャネットさん」


「ああ、それにあたしらは冒険者なんでね。確かに強い魔物は危険だけど実入りもいいんだ。手紙の配達と合わせりゃ、儲かるってもんさ」


「ですが…」


「兵士さん。ちなみに今は町からどれぐらい離れているんですか?」


「お、恐らくですが、持ち帰った情報から南に2km、西に3km程かと。ですが、相手は空を飛んでいるのですぐにでも来ると思われます」


「リュート、聞いたよね?」


「はいはい。うちのリーダーは無茶するなぁ」


「「フライ!」」


「なっ!?」


「私たちは一足先に行って、町の外にいる人が町に逃げられるように対応します!」


「そういうことなんで、後で依頼料弾んでくれよ」


「…その、すみません。止まらないので」


私たちはあっけにとられるマルディン様たちをしり目に空へ飛びあがると、一気に加速して兵士さんに聞いた場所へと向かう。


「アスカ、着く前に装備はちゃんとしておきなよ」


「わかってます。それより、ワイバーン系統って聞きましたけど、魔法を使うんですよね。ジャネットさんたちも威力がわかるまでは気を付けてくださいね!」


「言うようになっちゃって。リュート…はアスカの盾があるからまあ大丈夫か。でも、気を抜くなよ」


「はいっ!全力で挑みます」


「いい返事だねぇ」





「い、行ってしまった…」


「な、何をしているのです!すぐに追いますよ」


「そうでした。おいっ!非番のものを呼び出す手配を。残るのは…カーツ」


「はっ!」


「お前の小隊だ。非番のものには装備も最高のものをかき集めて現地に行くように伝えろ。それと邸の守りは任せる!」


「了解いたしました」


「フランツ殿も…」


「我々はアスカ様の護衛ですので、すぐに現地へ向かいます。ブリッツ、セルバン、準備はいいな?」


「「今すぐにでも!」」


「ということですので、先行部隊に同行します。そちらは?」


「魔法騎士を5名出します。魔法が主なものばかりですので、お役に立てるかと。すぐに我々も向かいますのでその間、アスカ様をお願いします」


「任されよう。だが、相手はあのディーバーンだ。急いでくれ」


「はっ!」


突然の魔物の襲来に動揺しながらも、部隊をまとめて対応する副団長。その姿は頼もしいものの、先に行ってしまったアスカさんが心配でならない。


「すぐに向かいますから、早まったことをしないように…」


そう願い、私はフィリップから装備を受け取り着替えると、すぐに軍用馬車に乗り込み現地へと出発したのだった。




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