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転生後に世界周遊 ~転生者アスカの放浪記~【前作書籍発売中】  作者: 弓立歩
16章 石の町グラントリルとアスカ

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勝利の後は

「あのさ…そんなにゴーレムの巨体からミスリルだけ取り出せるのか?」


「ん~、どうなのティタ?」


「みたらわかる」


「そういえばその子しゃべってない?ゴーレムよね」


「ミシィ、わかってるよな?俺はまだお前らを引退させたくはないんだが…」


「い、言いませんよ!」


「そういえばお知り合いなんですね」


「ああ。前にちょっと縁があってな。こいつがリーダーのミシィ。そっちの魔法を使っていたのがエッセン、罠を使っていたのがテニア。んで、こっちの応援要員がメネウスだ。身軽さもそうだが、全員がそこそこ魔法を使えるから護衛としても優秀だぞ」


「へ~。それじゃあ、私たちが商隊を率いたらお願いしますね」


「それじゃ、嫌味になっちゃうよアスカ」


「どうして?」


「自分たちより強くて従魔もいる商隊に護衛はいらないだろう。まったくアスカは…」


「それよりこのミスリルの山をどうするかだな。ちょっとだけもらっていいか?剣を鍛えなおすのに使いたい」


「もちろんです!大事な剣のこと忘れててごめんなさい」


「しょうがねぇよ。あんな少数で相手にするなんて滅多にないからな」


「代わりにグリディア様のミスリル像を作りますね!」


「いや、作るならアラシェル様の像でいい」


「えっ!?でも、それはどうするんですか?」


「アスカに作ってもらった銅像は持ち歩くから、店に置く用にな」


「分かりました!それなら、全力でやりますね!あれからどれだけ上手くなったか見せますよ」


「そいつは楽しみだな。ま、帰ったらおやっさんのところに行くのが先だがな」


「はい?わかりました」


よくわからないけど、細工の店を長くやってるんだし、いいアドバイスが聞けるのかな?


「とりあえず、このとっ散らかった現場を何とかしないとね。アスカの魔法でその辺焦げてるし」


「ま、その辺は必要経費だ。俺が隊長には報告しといてやる」


「シウス、流石だな」


「だが、ひとつ条件がある」


「な、なんですか?」


「どっちでもいいから俺と戦え!今の戦いで俺の熱は冷めてない」


「ええっ!?」


「しょうがないねぇ。あたしがやるよ」


「いいんですか、ジャネットさん」


「まぁ、あとで街にいる時に因縁つけられても困るしねぇ」


「よくわかってるじゃないか!」


ええ…この人たちなんだか楽しそうなんだけど、大丈夫かなぁ。心配だからちゃんと日程聞いて見に行こう。


「どうしたんだいアスカ?そんな考え込むような顔をして」


「いいえ。お二人の戦いの時はちゃんと見に行かないとって思って」


「ほう?実はアスカも興味があるのか?いいぞ、俺はいつでも待ってるぜ!」


「ち、違います!そんなんじゃありません!ささっ、帰りましょう!」


応援に来た人たちと一緒に帰途につく。みんな討伐に参加できないから残念かなと思っていたら、結構足取りは軽かった。


「いや~、流石バルドーさんたちですよ。肝が冷えましたからね、話を聞いた時は」


「そうそう。町にいるのも結構出払ってたりして戦々恐々としてたんですよ」


「あいつの硬さは有名ですからね。俺の武器が壊されずに済みましたよ」


口々にバルドーさんに話しかける冒険者たち。元冒険者だからか人気のようだ。一方でシウスさんの方はちょっと距離が空いている。やっぱり、みんなも戦闘狂なのはわかってるみたいだ。


「リュートは本当にけがしてないんだよね?」


「大丈夫だって」


「そう。なら、一緒に帰ろうよ」


戦いも終わって緊張も解けたからか、私は安心してリュートの手を取って町に帰る。


「おう!帰ったぞ」


「バルドー!心配したのよ!アスカちゃんもけがはない?」


「はい!バルドーさんのおかげです」


「まあ、とりあえずギルドに事情を話さないといけないから、俺たちは今から行ってくる」


「早く帰ってくるのよ」


「分かってるって!」



ーーーーー

「ジェシーさん、心配してましたね」


「まあな。ちょっと心配かけたな、こんな時期に」


「こんな時期?」


「一応安定期には入ってるんだがな…」


「えっ!?2人目が生まれるんですか?」


「まさか俺が2児の父なんてなぁ」


「そりゃ意外だね。宿に居た頃のあんたとはえらい違いだよ」


「あの頃はなぁ。アルバに住んでもいいかって思ってたしな」


「そうだったんですか?でも何で」


「そりゃあ、町のやつらは気がいいし、安全だしな。適当に依頼をこなせば簡単に生活できるんだぜ?オークなんぞ木の枝でも倒せるしな」


「よかったですね。戻ってきて」


「ああ、全くだ。着いたぞ」


この町に来て初めて冒険者ギルドに寄る。


「おう!来たかバルドー。災難だったらしいな」


「ビルナスさん。よしてくれよ、商人だぜ?」


「護衛のいらない商人がよく言ったもんだ。早速、奥の部屋で状況の説明を頼む」


「ああ」


私たちも奥に行って説明をする。ギルド側は援軍に駆け付けた人ともうひとり、私たちの方はミシィさんたちのパーティーもいた。


「では、今回のミスリルゴーレム襲撃に関しての聴取を行います」


「ああ、まあ、楽にしてくれ。一応規則でやってるだけだからな」


「はぁ」


「まずは第一発見者は?」


「俺とアスカだ」


「あなたたち2人?バルドーさんあなたジェシーさんがいながら…」


「なに言ってんだ。ちょいとした修行みたいなもんだよ。アスカの名誉の為に言っておくと、Cランク3人分は働くぞ」


「そうだな。今は個人的なことはおいておこう。それで、出現したのはどの辺りだ?」


「この辺だな」


バルドーさんが地図を指し示す。


「本当にこんな町の近くで?そこは廃坑でもうほとんど鉱石も取れないのに…」


「しょうがないだろ。実際出たんだから。なぁアスカ」


「そうですね。場所的にはこの辺りで合ってると思います」


「ふぅ。これは、冒険者を集めて周囲の探索をしないとな…。危なっかしくて門も開けられん」


「しばらくはCランクパーティー未満は出入り禁止ですね」


「しょうがないか。期間は?」


「2週間が妥当かと」


「1週間では無理か?」


「冒険者の集まり次第ですけど、今は護衛で出てるパーティーもいますし…」


「町の近くだ。衛兵にも声を掛けたらどうだ。やりたい奴が出るだろう?」


「シウスか…考えるか。流石に2体目が出るかもと言えば向こうも嫌とは言えんだろう」


「それなら何とかなるかもしれません。とりあえず、考えておきますね」


「では、続きだな。その後は?」


「流石に2人でどうにかなるとは思ってないからな。そのまま、逃げ切れたらと思って後退した」


「そこで私たちと出会ったんです」


「お前らは何で…まあ、Cランクなら稼ぎにはちょうどいいか」


「はい。それでみんなで行ってたんですが、後退してくるバルドーさんと出会ったんです」


「そのまま逃げなかったのか?」


「向こうの移動速度が速くて…。こっちはそこまで動けないので」


「ビルナスさん、魔力で動くあいつから逃げるのはこいつらじゃ厳しいぜ」


「そうか。それでそのまま交戦したと?」


「そういうこった」


「でも、よく無事でしたね。普通はBランクとかが束でかかってどうにかなのに」


「あいつも完全体じゃなかったからな。それなら流石に俺たちも無事じゃすまなかっただろうぜ」


「そういえば聞きましたよ?少しはこっちにも回してもらえるとありがたいんですけど…」


「俺はフォローに回ったからな。そういうのはアスカにしてくれよ」


「それで、その後は?」


「俺たちで時間を稼いでシウスやジャネットが来てからはちょくちょく攻撃をしてたな。んで、あとはテニアの張った罠ではめて一気に片を付けたってわけだ」


「なるほどな。いい手際だ、テニアがなぁ」


「すごい罠だったんですよ!こう…なん本も槍がドーン!穴がバーン!って感じで」


「…本当にこいつが倒したのか?」


「まぁな。アスカ、もしよかったらだが、それだけがんばったテニアにご褒美で何か作ってくれんか?普段は中衛で罠も金がかかるから苦労してるんだ」


「そうですね。あの罠には私も助けられましたし、何か作っておきますね」


「本当?悪いわね、お嬢さん」


「いいえ」


「まあ、倒したということはわかった。ギルドとして改めて礼を言う。ありがとう」


そういって、ビルナスさんは私たちに頭を下げた。


「ま、町には守りたい奴らがいるからな」


「それとちょっと頼みごとがあるんだが…」


「なんだよ?」


「ミスリルゴーレムになりかけとはいえ、上質のやつが出たんだろ?ギルドにこのぐらい卸してくれんか?」


バルドーさんの耳元でビルナスさんがボソッとつぶやく。


「そりゃ、アスカに言いな。アスカ!ギルドで高く買ってくれるそうだ!!」


「お、おい!金額は慎重にだな」


「おやぁ?町を守った功労者がギルドの為に素材を分けようってのに値切りかい?」


「なっ!そんなことは決してない!」


「言質は取れたな。どうだ?どれぐらいなら売れるんだ?」


「う~ん。細工で使ったり魔道具で使ったりと使いどころは多いんですよね~。塊で売ってても純度の低いものが多くて…」


「それはギルドも知っている。こっちも手に入れるのには苦労しているんだ。まだ、この周辺は地質がいいから手に入りやすくはあるが」


「んで、それを他国向けに輸出するんだろ?」


「そのための点数稼ぎだよな。領主にもいいとこ見せたいしよ」


「か、からかうな。ギルドと国との円滑な関係を続けるためだ。それに一部は冒険者の装備とかにも使われるからな!」


「へ~へ~。まあ、どれぐらいかはアスカ任せだぞ?こっちは色々作るんだから」


「最悪、それを卸してくれればいいぞ。本人の前でいうのはあれだが、使い物にならん場合でも利用はできるからな」


「へぇ~、その言葉あとで後悔しないといいけどねぇ」


こうして私たちはギルドへの報告を終えたのだった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >戦いも終わって緊張も解けたからか、私は安心してリュートの手を取って町に帰る。  現在のこれが、どんな感覚で手を取ってるのか。  まだまだ兄弟とかの感覚なのか、それとも……ってね(ゲ…
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