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美少女面接官アスカ

「ようこそアスカ様。今回の面接官のアミーアです。こちらがギルドマスターのエベンズです」


「エベンズだ。今回は貴重な従魔の受け渡しに協力してくれると聞いている」


「よろしくお願いします。でも、面接の結果次第ですよ!大切な子たちですから」


「無論だ。我らもギルドの人間として魔物使いと従魔の絆については理解している。人選も考えた末だ」


「よく言うよ。都合のいい人間だろ」


「そちらの方は?」


「ジャネットさんです。私のパーティーの…」


「保護者だよ」


「仲間の…」


「保護者だよ」


「…保護者です」


「随分と過保護なことだ。まあいい、アーヴァインは?」


「下で待たせています」


「準備もできたし、呼んでくれ」


「はい」


面接官のアミーアさんが階下から一人の男性を連れてきた。


「では、面接を始めよう」


「お名前は?」


「アスカ、メインの担当はあっちだよ」


「あっ、つい…。今日のために質問メモも用意してきたので」


私はさりげなく束になったメモ用紙をトントンと整えるふりをする。ふふふ、こうして相手のやる気を探る作戦なのだ。


「なるほど。保護者か…期待している」


「どうも」


何だか、ギルドマスターとジャネットさんの間でやり取りが始まったようだ。どうしたんだろ?


「えっと、私はどうすれば…」


「ああ、そんなに緊張しなくていいですよ。自己紹介からしましょう。私は今回の面接官のアミーアです。こちらは面接の立会人のギルドマスターです。私の横にいるのがアスカ様で、あなたに紹介する従魔の主です。その横の方は保護者の方ですのでお気になさらず」


「は、はい。私はアーヴァインです。職は魔物使いで現在はDランクです。今日は従魔を頂けると言われて来ました」


「はいは~い!」


「はい、アスカさん」


椅子に座り、腕と足を組んだジャネットさんに許可をもらって私は発言する。


「従魔をもらえるって聞いたんですか?面接するのに」


「い、一応そう聞いてます…」


「違います!あくまで、面接の結果次第です。大事な子たちを預けるんですから!」


「はい、失礼しました」


「うん。よろしい」


ふぅ、質問受け答えの最初の方だったからちゃんと対応できたよ。


「あ、あの。アスカ様もジャネットさんもこちらの進行をもとに発言をお願いします」


「あっ、すみません」


「コホン。では、気を取り直して。それはおそらく経験の浅い受付から聞いたのでしょう。こちらの不手際です。お詫びします。ただ、アーヴァインさんもご承知の通り、従魔と魔物使いの間には絆があるので、今回のことも真剣に取り組んでください」


「はい。それはもちろんです!この日をずっと夢見ていたので…」


「ちょっといいですか?」


「どうぞ」


「もしかしてアーヴァインさんはまだ従魔がいないんですか?」


「うっ、そ、そうです。中々懐いてくれなくて…。ちなみにアスカさんは?」


「私はバーナン鳥にヴィルン鳥にグレーンウルフでしょ。後はソニックウルフに…」


「アスカ、もうやめなって」


「でも、まだ途中ですよ」


「いいから。それ以上は」


「ぶ~、みんなの紹介もしたかったのに」


ジャネットさんに邪魔されて渋々みんなの紹介を中断する。


「そ、そんなに…私は何をやっていたんだ」


「ま、まあ、そういう人もいますよね。人それぞれですよ」


「ちなみに普段はどうやって魔物に接していますか?」


「えっと、うまく説明が…」


「じゃあ、ちょっと待ってくださいね。キシャル、ちょっとあの人の前に立ってみて」


んにゃ~


私が座っているテーブルの下でくつろいでいたキシャルを呼んで動いてもらう。


「この従魔の前でいつもの通りに?」


「はい。お願いします」


「よ、よしよ~し」


そういいながら自信なさげにキシャルに手を差し伸べるアーヴァインさん。


「あ~、うん。なんとなくわかりました」


「えっ!?もうですか?」


「はい。アーヴァインさんは魔物が怖いんですね」


「そりゃあ、Cランクになるまではずっと戦ってましたし…」


「魔力が高いせいか、警戒の意思が魔力と一緒に従魔の方に向かってるんです。魔物はそれを受け取って、だまし討ちにする気だと思ってるんですよ。現にキシャルも爪出してますし」


子猫になったキシャルだけど、よく見ると小さく爪が出ている。明らかに相手を警戒しているのだ。キシャルは普段はだらけているけど、野性味は強くて危険察知は従魔の中では一番強い。キシャルがこうなら、野生の魔物はもっと警戒してるだろう。


「ふむ。魔物使いはそういうのもわかるのか?職業で得る経験ということか…」


「いや、アスカの場合は特殊だから。普通はそんなことできないよ」


「他の魔物使いの方からもそういった報告は来てませんね」


「まあ、なんだね。あんた、これからどうすんのさ。身を立てるにしてもそこまで強くないんだろ?従魔の契約のやり方を聞いたって、そもそも町の外に出ていけるのかい?」


「それは…自分でも考えました。今は今回の機会を生かして生計を立てたいと思っています。その中で必要であれば修行して何とかどこかのパーティーに入れてもらうつもりです」


「この子たちのご飯はどうするんですか?」


「えっと、パンとか?」


「なっ!?だめですよ!お水は魔力入りの魔力水。ご飯は野菜くずでもいいですけど、たまには薬草の入ったミックスベジタブルですよ!」


「ち、ちなみに何羽ほどいますか?」


「えっと…50羽ぐらい?」


「ま、その位の群れだな。他の地域での報告もそうなってる」


「え、餌代は月にいくらぐらい…」


「試算しましたけど、ざっとこんなもんですね!」


私はすかさず資料の中から餌代の試算結果を見せる。


「私の月の食事代より多い…」


「数も数ですしね。でも、それがこの子たちの健康にもつながるんですよ!そうだ!出来るかどうか知らないですけど、糞とかを利用してはどうですか?肥料になるはずですけど…」


「ああ、発酵させて使うらしいね。昔パーティーを組んでいた人に聞いたよ。でも、どうやって集めるんだい?」


「う~ん。トイレの場所を決めればいいんじゃないですか?それなら簡単ですよ」


「言えば聞いてくれるのかしら?」


「大丈夫ですよ。懐いてますし」


「それはあんたの場合だろ」


「心配ご無用です。事前資料の中であの子たちにも確認済みですから」


「アミーア…」


「マスター、その先は言わないでくださいね」


私たちの会話とは別にギルド員は二人でこっそりため息をついたのだった。


「おほん。では、今からは仮に合格後の話に移りたいと思います。まず、その場合のアーヴァインさんのお仕事は町中の手紙配達に、先ほどアスカ様の言われた農家向け肥料。そして、生活の面では群体鳥の餌やりと定期的に水浴びさせることです。こちらは町の近くの川を使ってください。そうした方が病気にかかりにくいとのことでして」


「わかりました。手紙の配達はどういう形になるんですか?」


「商人ギルドと冒険者ギルドからの依頼になります。1通当たりの単価は後程正式に決まれば。ただ、町の中の話なのでそこまで頻度は多くないと思いますし、あったとしてもそこまでの単価にはなりません。商人が別の商人に連絡したい場合に、銀貨や大銅貨が必要になってしまうと意味がありませんからね。代わりにその業務に支障がない範囲で町の住民からも受け付けて結構です。ただ、値段を変えすぎないように」


「あの~、紙って高いんじゃ…」


「なので、皮製の消せるものを使うと思います。インクもそれ用のがありますから。ただ、使いまわす時に前回の内容が残らないようにしてください。もちろん、中身を改めるのも禁止ですよ。破ったら、両ギルドより制裁が科されます」


「もちろんです!そんなことしません」


「空いた時間でどう活動されても構いませんが、長期に渡って町を開ける時は代わりの人を見つけてください」


「代わりのって魔物使いの?」


私は気になってアミーアさんに聞いてみる。


「まあ、群体鳥の場合は戦闘力もありませんし、言うことをきかせられる方ならどなたでも構いません。ただし、不審者にならないように、両ギルドに事前報告義務と十分な教育をお忘れなく。今回はアスカ様のおかげでうまくいきそうですが、ギルドとしても職を持った冒険者が加齢やケガ以外でDランクにいるのは褒められたことではありませんので」


「うっ、おっしゃる通りで…」


「やや特例的になりますが、それで町のために働いているとなれば、商人ギルドや他の冒険者も納得するでしょうから頑張っていただきたいですね」


アミーアさんからも辛らつな一言を頂いたところで一時休憩だ。この後はメインでもある群体鳥たちとの面会だ。今は別室で待機というか、アルナと一緒に窓の外で遊んでいる。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] どんどんアスカがカマトトぶった自己中キャラになっていくのが寂しいです。アスカのために周りが存在してる、ただの引き立て役みたいになってて残念です。 [一言] ひたむきで優しいけれどしっか…
[一言] >魔力が高いせいか、警戒の意思が魔力と一緒に従魔の方に向かってるんです。魔物はそれを受け取って、だまし討ちにする気だと思ってるんですよ。  自分なんて犬を撫でようとして、しゃがんで警戒さ…
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