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更に深層へ

草原エリアを順調に進んでいく私たち。


「おっ、宝箱だ。サティー頼むな」


「お~け~。よっと、罠在りか~。期待できそう」


罠を外してもらい、宝箱を空ける。


「これは指輪ですね」


「じゃあ、早速やってみな」


「分かりました」


反魔の指輪:一定以下の魔法を跳ね返す指輪。数回使うと壊れる


「ほう?当たりだな。中級程度までしか反射できないが、貴族にも有り難がられる指輪だ。売れば金貨6枚ぐらいはするだろう」


「でも、ランクはDですね」


「多分、その本の基準が永続効果に寄っているんだろう。繰り返し使えると言えないこの指輪は効果は有用だが、次が必要になるから評価は低めなのだろうな」


「このままいいものを見つけて行けそうね」


「だなぁ。ドロップも悪くないし、結構いけそうだな今回は」


そんな評価をスケイルのみんなから貰いつつ、さらに下層へと進んでいく。


「おっ、次は岩場か!俺は防御に回るわ」


そうディンさんは言うとすぐに装備を切り替えていく。


「このエリアは成体のサンドリザードが出るから気を付けてくれ」


「ああ、それなら平気だよ。ほれっ」


ジャネットさんが小さいカードをハイルさんに見せる。ギルド発行の討伐した魔物を抜き出したものだ。実力が簡単に示せるとあって、作る冒険者もそこそこいるらしい。


「なっ!これはハイロックリザードの…」


「そういうこと。むしろ、あんたたちより立ち回りは上かもね」


「なになにどったの~。へ?ハイロックリザード!?うそでしょ!」


「えっ!?本当に」


サティーさんの声でマインさんもディンさんもカードをまじまじと見る。


「そういうことさ。伊達にBランクは名乗ってないよ」


「本当に強いのね、あなたって」


「残念ながらこん時に一番活躍したのはあたしじゃないけどね」


「そうなの?でも、あの魔物の皮膚はミスリルに勝るとも劣らない強度だって聞くわ」


「ああ、物理じゃまるで歯が立たないって話だぜ。そんなのと戦って生きてるなんてな」


「サティーも大物を引いて来たな」


「そ、そう?やっぱりあたしって見る眼があるね!」


よかった~、その場に私もいたことは黙っててくれたみたいで。


ガァッ


岩場と言えばもちろんほぼサンドリザードの縄張り。それはダンジョンでも変わりないみたいで、ほとんどの敵はサンドリザードだ。


「次っ!10メートル前です」


「おらぁ!」


「せいっ!」


「面白いほどスムーズね。あいつら、土の中から出て来ることもあるから面倒なんだけど」


「ちょっと簡単に居場所がわかるコツがあるんです。ねっ、リュート!」


「うん、そうだね…」


「ドロップも皮に爪に肉とそこそこだな。宝箱は中々見つからないみたいだが」


「元々、岩場はそこまでないからな。そういう意味では外れ扱いだ」


「へ~、そうなんですね。意外ですね、岩の裏とかにあったりしそうなのに」


ゲームとかだと視点切り替えするとあったりするんだよね~。見つけたらうれしいけど、見逃したら悔しいやつだ。


「でも意外だったのはサンドリザードの皮だけがCランクってことですね」


爪とか肉も調べてみたけど、そっちは登録できたのに皮だけは登録できなかった。この本の基準だと、皮は一段上の価値らしい。


「ごつごつしてるけど、それなりに魔法耐性もあるし硬いからな。なんて知ってて当然だろうがな」


「ええ。でも、最近はもっと滑らかに加工できるようになったんですよ。ちょっと強度は下がりますけど」


「本当か?それは良いことを聞いた。商会を開く時には入荷してないとな。下手な鉄鎧より硬くて軽いから人気なんだ。だが、形が悪いせいで嫌厭されている部分もあるから、加工がきれいだと人気が出るぞ」


「こっちでも人気とはね」


「ああ、このダンジョンが無ければもっと価値が出てたかもしれんがな。中堅どころの定番装備だ」


どんどん魔物を倒して進んでいく。2階層降りたところで今度はゴーレム種が現れた。


「初めてのゴーレム種ね。どう?お話しできそう?」


「頼んでみます。ティタ」


私はティタに頼んでゴーレムに話しかけてもらう。


「ムリ。ここのゴーレムは、ダンジョンまもるためにいる」


みんなには聞こえないようにしてバッテンで駄目だということを示す。どうやら、ゴーレム種は忠誠心が高い種族なようで、主を持ったゴーレムは融通が利かないことがほとんどだという。ここのゴーレムの主はダンジョンなので、ダンジョン内を徘徊する私たちは敵扱い何だそうだ。自然にいるゴーレムは結構平和主義だから意外だ。


「それじゃあ、倒すしかないわね」


ガキン


とはいうものの流石はゴーレム。硬くて普通の武器では通らない。まあ、魔法が主になるかな?


「ティタ、行くよ!」


私がまずは火の魔法でゴーレムを包み、すかさずそこにティタが水魔法で攻撃する。ハイロックリザードにも使った温度差攻撃だ。岩石主体のゴーレムには効くだろう。ガラガラと核を残してゴーレムが崩れていく。


「姿が消えませんね」


「こいつが本体ってことだろ?」


「再生するか興味あるけれど、ダンジョンだから再現性がね…」


「ですね。倒しちゃいましょう」


核自体は魔力の塊に近いのか、固くも無くスッと刃が通った。すると、何かが残った。


「これってゴーレムの核?」


???ゴーレムの核を切り裂いてゴーレムを倒したら、ゴーレムの核をドロップしたってこと?でもそれじゃあ、核を切る必要はなかった訳で…。


「???」


「アスカどうした?」


「これはゴーレムの核ですよね?」


「そうだね」


「でも、核は切っちゃいましたよね?」


「いや、深く考えなくていいから。ただ、ドロップにゴーレムの核があっただけだろ?」


「そうですか…そうですよね」


何か釈然としないけど、そうなんだろう。取りあえず、核も本に乗せてみる。


「反応なし。これでもCランク以上なんですね」


「まあ、核をつぶさずに倒すのは難しいしな。そういう入手難易度も考えてんじゃねぇか」


「なるほど!言われてみればそうですね。サンドリザードの皮も状態がいいものでしたし」


サンドリザードも丈夫な皮の代わりに倒しにくいので、倒した後は皮の状態が悪いものが多い。ダンジョンで落ちたものはきれいな状態だったからCランクだったのかも。


「厄介な相手も倒したし、そろそろ進もう」


そして再び歩みを進めようとしたところ、岩場に違和感があった。


「どうしたんだい?」


「なんかこの岩変だな~って」


「変?何が」


「中が空洞っぽいんですよね。魔法の反響がおかしいんですよ」


「ふ~ん。急ぎでもないし、試すか」


魔法を使って気になった部分を破壊する。するとそこには宝箱があった。


「は?こんな仕掛けが…」


「ねぇ、ひょっとして…」


「嬢ちゃん、他にも何ヵ所かあったりするかこういうとこ」


「う~ん。ちょっと待っててくださいね」


私は他の岩場に向けても探知魔法を使ってみる。


「あっ、ありますね。他にも2か所ほど」


「とりあえずこれ開けてみようよ~」


「そうだな。サティー頼めるか?」


サティーさんが宝箱までひょいっと土魔法で道を作って宝箱を開ける。


「えぇ~、なにこれ…ディン、ちょっと来て」


「俺?ハイルに頼めばいいだろう」


「ハイル、これ持てるかなぁ~」


一旦、ハイルさんが宝箱に行くがすぐに帰って来た。


「ディン、あれはお前向きだ。頑張れ」


「ああ、分かったぜ」


みんなも何事かと見守りつつ、ディンさんの動向を見守る。


「はぁ!?何だこりゃ」


「ねっ、ディン向けでしょ?」


「そりゃそうだが、ほんとに装備かこれ?」


「まあまあ、取ってみてよ」


ディンさんが持ちあげたのはサイズこそそこそこなものの、岩でできた盾だった。


「使えそうかディン?」


「一応、腕に固定させれば使えないこともないな。重たいが…」


それじゃあ、と早速鑑定してみるも反応はなかった。


「ええっ!?これがCランク以上の装備なの…信じられないわね」


「効果が何かあるのかもしれんな。一応、持って帰るか」


取りあえず、私たちのパーティーでは使い道もないので、もし効果が良かったらスケイルのみんなで買ってくれることになり、次の宝箱に向かった。


ガラガラ


「およ?こっちもあった。すごいねぇ~アスカは。これ、みんな気付いてないから取り放題じゃない!」


「そ、そうかな。へへっ」


2個目の宝箱の中身はポーションだった。これも鑑定できなかった。やっぱり、階層も進むといいやつが増えるんだなぁ。


「これはなにかな~?」


パカッと3つ目の宝箱をサティーさんが開ける。しかし、そっと閉めてしまった。


「どうしたサティー?」


「いやぁ~、これはいらないかなって」


これまでの2つの宝箱でノリに乗ってたサティーさんが閉めるなんてなんだろ?


「とりあえず、確認だけはしないとな」


ハイルさんも宝箱を見に行くが、同様に閉めてしまった。


「なんだいなんだい。2人して」


代わりに今度はジャネットさんが開けてみる。


「あ~、確かにこれは閉めたくなるかもねぇ…」


「ジャネットさん、何だったんですか?」


「気になるかい?」


「はい、とっても!」


「ほらよ」


ポイっと何かをジャネットさんがこっちに投げてきた。


「うわっ!?」


私はそれを何とか受け止めると確認する。


「わわっ!?クモ!」


びっくりした私は宙にクモを投げてしまう。幸いクモはリュートが受け止めてくれたので、下には落ちなかった。


「アスカ、これ人形みたい」


「う、うん。それは触って分かったんだけど、びっくりしちゃって」


「あ~、クモね。それはそうなるわね。サティーは元々嫌いだし、ハイルはビッグスパイダーの群れに襲われて軽くトラウマだしね」


リュートが持ってるクモの人形…触り心地からしてぬいぐるみをアルナとキシャルは興味深そうに触っている。


「2人はそんなに気になるの?」


ピィ


んにゃ~


作りはちょっとデフォルメされているけれど、姿だけは魔物なので何か感じるのかな?


「リュート、登録したいから貸して」


「うん。でも、アスカってクモ大丈夫なの?」


「へ~きだよ。窓の外からよく見てたし」


病院で雨の日とかにぼーっと外を見てると目に入るから慣れてるんだよね。なのでクモは何ともないのだ。


「わっ、改めて持つといい生地だね。ふわってしてて触り心地良いなぁ。あっ、やっぱりこれも反応がない」


そこは隠し宝箱ってことなのかな?ここまで3つの宝すべてが登録不可だった。階層が進み敵も強くなったとはいえ、登録できないのは逆に困るなぁ。あと、事前に聞いてた通り、謎の商品が多い。とりあえず、ぬいぐるみをマジックバッグに仕舞うとちょっとだけ休憩して、再び進み始めたのだった。




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