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一時休息

「邪魔するぞ」


「あら、ディティーの皆さん。後ろの方たちは…フロートですね。結果の方を報告してもらえるんですか?」


「調査依頼の方は後日領主様の方から報告が行くってことだ。そっちはうちも後でいいから、今日はその間に討伐した魔物の買取を頼む。これに関しては別の依頼を受けていくことが出来なかったから、討伐依頼の受注は今からでもいいよな?」


「まあ、領主様の依頼と一緒に他の依頼を受けるのは難しいですからね。特別に許可しましょう。ただし、討伐数にもよりますよ。それと、調査依頼前の討伐数は含めませんからね」


「分かってるって。んじゃ、俺らはこっちの依頼な」


「これはギガントウルフ討伐ですよ?まさか現れたんですか?」


「まあな、それも報告書が上がったらわかるだろうけど、なるべく南西には熟練のパーティーを行かせた方がいい」


「…そうします。では依頼料はと」


「おっと、それ以外にもオーガとオークの討伐もだ。数は…パーティーカードから読み取ってくれ」


「はいはい。って、多くありませんか?」


「そうか?俺たちは少ない方だぞ」


「これで少ないなんて冗談上手くなりましたね、バルトスさんは。報酬はまとめて入れておきましたから、魔物の素材買取の方はいつもの通り、奥にお願いします」


「おうっ!それじゃあ、フロート。またな!」


「はい。今回はありがとうございました」


「こっちこそためになったぜ。そんじゃな」


「また会いましょうね」


「出来たらもっていきますから」


「ええ、お願い」


「んじゃ、次はあたしらの番だね」


「依頼の方は同行パーティーだから一緒でいいかしら?」


「後は薬草だけですね。そういえばディティーの皆さんは薬草の買取してませんでしたけど、良かったんでしょうか?」


「彼らはここが本拠地だから、馴染みの薬師に卸すんじゃないかしら?」


「そうなんですね。それなら仕方ないですね。こっちはリラ草とムーン草です。鑑定お願いできますか?」


「鑑定?いいわよ。それにしてもリラ草までとってきてくれたのね、ありがとう」


「いつもはあんまり取らないんですけど、足りてないだろうと思って…」


「そうなの。実力のない人たちは今、ろくに町の外に出られない状況で取れ高が少なくてね。個人でもってきてもらえるだけでもありがたいわ。ムーン草も毒消しとか色々使い道もあるし、この前に続いて感謝ね」


薬草類はまとめて金貨3枚ほどだった。相変わらず受付の人とミリーさんは驚いていたけど、お姉さんには感謝された。ランクが低いものさえ少ない今、高ランクのものは奪い合いなんだそうだ。まあ、薬師の店が多くあるってことは高ランクの薬は店の信用代わりにもなるから、常に置いておきたいもんね。


「相変わらず、アスカの取った薬草はすごいわね。私のはBランクのもちょっとあったの、AかSだけだなんて」


「まあ、選んで採ってるのもありますけどね。今回採った場所は人が来てなかったから選べましたし。流石に人が良く来る場所だとああはいきませんよ」


「私は見てもよくわからなかったわ。教えてもらってちょっとは分かったけど…」


「最初はそんなもんですよ。ね、リュート」


「うう~ん。僕も途中から何となくの感覚だからなぁ。ジャネットさんはどう思います?」


「やる気次第だろ?あたしはちまちま取るなんて面倒だからやらないけどね」


「あなたたちってばらばらに見えてまとまってるのね。役割が分かれているというか…」


「おかげで面倒がなくていいよ。交代で薬草採れとか言われないしね」


「次は討伐依頼関連ですね。討伐数を見せてもらってもいいですか?」


「はい、どうぞ」


私はディティーのようにパーティーカードを出す。


「えっと…ちょっと待ってください!なんですかこの討伐数は!?」


「今日の討伐分とちょっと昨日の分が入ってますけど…」


「たった、2日で…。もしかして素材も?」


「もちろんですよ!街道の安全のために頑張りました!」


「はは…ありがとうございます。どうしよう、こんなに肉買い取れないわね…!素材は全てギルドでの買取ですか?」


「そのつもりですけど…」


「食料品のいい商会を知ってるんですけど、そっちに卸すのに興味ありません?商人ギルド実績にも関わるんですけど…」


「ほんとですか!?普段は細工の販売とかしかやってないので、ありがたいです」


「(よかった。さっきのと合わせてあんな大量の肉は短期間じゃ捌けないし)」


「とりあえず、ギルド関連だと後は素材関連ですね」


私たちはギルドを出て解体場へと向かう。


「ん?ディティーの言ってたやつらってあんたらか。素材は同じなんだろ?」


「はい。でも、私たちはギガントウルフの毛皮とオーガの牙と角だけですけど」


「そうか。まあ、うちもその方が助かるがな。それじゃ、作業台に出していってくれ」


解体師のおじさんの言う通りに魔物を出していく。


「ふむ。大体、質も量もさっきのと似通ったもんだな。ただ、オーガの牙とかは状態がいいな。おまけしといてやるよ」


「ありがとうございます」


「町の安全に一役買ってくれたんだろ?これぐらい当り前さ」


おじさんにお礼を言って解体場から離れた私たちは、ギルドのお姉さんから紹介してもらった商会を目指す。


「えっと、紹介してもらったのはここですね。ガーレン商会?どこかで聞いたような…」


「いらっしゃいませ!何をお探しでしょうか?」


「あの、冒険者ギルドからの紹介なんですけど…」


「そうでしたか。ご用件は?」


「オーク肉の買取をお願いしたくて…」


「オークですか…。それぐらいでこちらに依頼するなんてギルドも人がいないのかしら?失礼ですがパーティーのお名前をうかがっても?」


「フロートです」


「フロート…フロート。最近どこかで聞いたような…。少々お待ちください。カラル様、フロートという冒険者パーティーをご存じですか?」


「ああ、最近ワーレンが世話になったところだ。それが何か?」


「まあ!そうでした。今、冒険者ギルドからの紹介でオーク肉の買取にいらしてます」


「そうか、私が対応しよう」


受け付けてくれたお姉さんと交代で奥からおじさんが出てきた。きれいな身なりをしているし、ここの会長さんか何かかな?


「こんにちは、お嬢さん方。私はこの商会を預かるカラルと申します。今日は冒険者ギルドからの紹介とか。その前に、以前はワーレンを助けて頂いて有難うございます。彼は腕のいい商人でして私どももほっとしております」


「いえ、もうちょっと早ければ馬車や御者の人も…」


「うちも護衛をつけてあんなことになるとは思いませんでしたので、縁もゆかりもないのに助けていただいただけで十分です。証言も出来たことで保険もおりて、御者の家族にも支払いが出来ましたし。流石に保険も下りなければ、うちから出せる額も少額でしたから」


「そいつはよかったね。んで、買取なんだけどできるかい?」


「オークでしたら買い手も見つけやすいので大丈夫ですよ。どれほどでしょうか?」


「えっと…27頭です」


「27頭!?そんなに仕留められたのですか?」


「はい!街道の平和のためです」


「それは助かりますが、流石にこの町だけでは短期間に消化しきれないですね。新鮮なうちに帝都まで運んでしまいましょう」


「帝都なら買い手があるんですか?」


「もちろんですよ。それに、あちらは飛空騎士の方もいらっしゃいますからね。いつでも肉は買い取って頂けるんですよ」


「そうなんですね!それじゃあ、指名とかも出来たりしますか?」


「おや、どなたかとお知り合いで?」


「はい。といっても新人さんなんですけど」


「それはそれは。新人と言えどあそこはエリートぞろいですから。うらやましいですよ」


「そ、そうですね。名前はハーディと言うんです」


「ハーディ様ですね。では、そちらには指名でお届けいたします」


「費用はどのぐらいですか?」


「費用などとんでもない!これだけの仕入れと、飛空騎士様と知り合いになれるのですから。買取の方も頑張りますので」


「でも、馬車や馬の買い付けとか大変なんじゃ…」


「そちらは私どもの個人資産からも出せますので、心配なさらず」


「む~、分かりました!ワーレンさんに言ってた魔道具の件、頑張りますから!」


「魔道具?」


「はい。商売も大変だろうし、私はこの町に知り合いはいませんから、卸し先にと思って」


「それはそれは有り難いです。是非楽しみにしております」


カラルさんに挨拶をして、オークを引き渡す。一部は解体途中だったけど、それも対応してくれるとのこと。食料を扱うだけあって、護衛から直接買うこともあるんだそうだ。


「それじゃ、用事も済んだし宿に戻るか」


「そうですね。久しぶりにベッドで寝れますね」


「その前に飯だろ?」


「そうでした!リュート、頑張ってね!」


「はいはい。全く、このために1匹置いとくなんて…」


「でも、安く宿の人に卸したら、交渉もスムーズ何でしょ?」


「そうだけどさ…。折角作るんだから、寝ないでよ」


「分かってるって」


こうして、調査を終えた私たちは宿へと戻ったのだった。




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