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道中

「町の北に出たけど、直ぐに魔物ってわけでもなさそうだね」


「当たり前だよ。そんなんじゃ、出発すらできないじゃないか」


その後も順調に進んでいく。この調子なら予定より早くファーガンドまで行けるかも?


「いらないこと考えるんじゃなかった…いや、考えなくても一緒だけどさ」


「アスカどうしたの?」


「リュートもほら、やって見て」


リュートにも探知の魔法を使うように促す。


「ああ、魔物だね。大きいからオーガかな?」


「多分ね。でも、街道沿いなのにオーガだなんて、ほんとに魔物が多くなってるみたいだね」


「この辺でも出るってことはアスカの言った通り、ファーガンドまで行けばもっと出るのかねぇ」


「こ、怖いこと言わないでくださいよ、ジャネットさん」


「ま、それより今は目の前の魔物だね。アスカは…空からやって見るかい?」


「そうですね。あっちの林の上から狙って見ます。アーチャーがいたらすぐに倒しますから!」


「そいつは心強い。リュートはアスカ寄りに、あたしは反対側から行くから」


「分かりました。じゃあ、配置につきましょう」


配置といっても、私を発見されないように2人にはこのまま歩いて行ってもらう。そしてオーガたちの姿が見えたところで私が仕掛けるのだ。


「数はひいふうみい…6体だね。アーチャーはいないみたいだし、バトラーぐらいが率いてる感じかな?」


魔物は脳筋タイプでも結構探知されることが多いので、ここは弓を使って狙う。


「いけっ!」


弓を引き絞り、手前の群れを率いているオーガを狙う。それにしても、オーガは単体での行動も多いのに周りの魔物に合わせてか、結構な数に遭うようになったなぁ。


トスッ


狙い通りに矢は先頭のオーガの目を貫通する。後は急な襲撃に慌てているオーガを順番に攻撃するだけだ。


「連続で行くよ!」


矢を次々に放っていく。そして、こっちの位置を相手がつかむころには、リュートとジャネットさんがオーガを倒していた。


「ふぅ、これぐらいなら別に何時でもいいんだけどねぇ」


「まあそうですね。僕も探知には慣れてきましたし、大型ならすぐに分かります」


「まだ見晴らしもいいし、このまま進んじゃおう!」


こうして、オーガの襲撃も何のその、私たちは街道を進んでいった。


「ん~、あれからは順調ですね~」


「流石に早々出ないだろ?それよりあと2時間で今日の野営場所だ」


「もうそんなに進みました?」


「今日は平地で景色も特に変わらなかったからね。こんなもんさ」


「そうなんですね。じゃあ、リュート。夕食の用意頑張ってね」


「あっ、うん。それはするよ」


「それじゃ、もうちょっと歩くかね」


今日の先も見えてきたところで私たちは軽く休憩を取り、そのまま野営地に着いた。


「リュート~、そっちはまだ~?」


「もうちょっと。アスカの方は?」


「私ももうすぐかな?この辺は思ったより薪がないなぁ」


今はとりあえず私が魔法で火を起こして、その火でリュートが調理をしている。私はその間に薪を拾って、今日の野営に備えているんだけど、思ったより使えそうな枝がない。


「む~、ちょっとこの辺の木を切るかなぁ?」


この調子だと私たちの後に続く人たちはもっと大変そうだ。私たちは今、私の魔法で火を起こしているけど、普通だと薪を使うもんね。


「また、木を切るのかいアスカ?」


「またって…まあ、最近よく切るようになりましたけど。この辺もあまり薪に出来る枝がないのでちょっとだけですよ」


私は支柱を4本建てて、薪が置けるように枠を作ってはめ込んでいく。


「後は薪を入れていくだけだね。屋根は…釘とか持ってないし木を加工して作っちゃおう!」


その後も薪をどんどん作っては置き場に入れていく。これで何パーティーかの分はあるだろう。


「アスカ~、そろそろいい?もう出来てるんだけど…」


「そうなの?それじゃあ、すぐ行くね~」


軽く手を洗ったら、リュートのところに戻る。


「お待たせ。今日は何?」


「いつも通りのスープに、新鮮な野菜サラダだよ。野菜をすぐに使わないといけないから、パンは無し」


「そっか、ジャネットさん。食べましょう!」


「はいよ。あ~、リュート。こっちに干し肉出してくれ。これじゃあ、量が足りないよ」


「分かりました。スープで戻します?」


「いや、それだと腹が膨れないからいいよ」


「それじゃあ、いただきま~す」


皆で食卓を囲んで食べ始める。


「ん~、お野菜がおいしいよ~」


「アルバでも市で買えるやつだね。ただ、その日のうちに使い切る必要があるから、多く仕入れなかったけど」


「スープとかに回せないの?」


「スープに入れるとえぐみが出るからダメなんだ。使い道も限られてて、美味しいけど多くは扱えないんだよ」


「へぇ~。さっすがリュート!料理のことになると詳しいね」


「そ、そう。照れるなぁ」


「なんだいこいつら…」



「食べましたね~」


「食べたって言ってもアスカは野菜がほとんどだろ?」


「でも、いつもより食べましたよ。やっぱり新鮮お野菜ですよ!そういうところに住みたいですね」


「前は海が良いって言って、今度は野菜が育つところかい。どんどん候補が絞られていくねぇ」


「しょうがないですよ。美味しいもの食べると気分もいいですし、きっと細工も良いものになります!」


「そう言われると、しょうがないねぇ。リュートも頑張んなよ?」


「僕がですか?流石に野菜の栽培とかは…」


「育てるのなんて人に任せりゃいいよ。それより、調理だよ。その日採れたものに合わせて作らないといけないんだよ?こうやって干し肉出して誤魔化せる相手じゃないんだ。もっと頑張らないとね」


「もう、ジャネットさん!別に私は干し肉でも文句は言いませんよ!」


「そういうことじゃないんだよ。まあいいか」


ピィ


アルナがジャネットさんの方に向かう。何か言いたいことでもあるんだろうか?キシャルは結構ジャネットさんに懐いてるみたいだけど。


「アスカじかん」


「ん?もうそんな時間なの。ティタありがと」


ティタは野営の時は見張り以外にも時間を教えてくれる。大体の時間が分かるのだそうだ。


「それじゃあ、アスカ見張りよろしくね」


「うん!ジャネットさんもおやすみなさい」


「ああ、気をつけな」


リュートは最後、ジャネットさんは間の見張りなので最初は私だ。


「この前渡した木のネックレスを補充しないとね」


しまっておいたオーク材を取り出して細工を始める。デザインもシンプルだし、簡単にできるのでこういう時でも作れて便利だ。


ホリホリ ホリホリ


「ん~、同じのばっかり作ってもなぁ。他に作れそうなのはっと…」


金属は削る音もするし、木で出来そうなものかぁ。魔道具使えば金属も加工できるけど、まだ道中だしなあ。


んにゃ


「キシャルは眠れないの?そうだ!久しぶりに従魔のみんなを作って見ようかな?」


アルナは元々見た目がヴィルン鳥だから人気だけど、寒冷地にしか住んでいないノースコアキャットのキシャルも割と人気だ。ティタはちょっと形を崩して、柔らかめのデザインにすると子どもにも受ける。


「そうと決まれば早速開始だ!」


頑張って従魔セットを作る。個別で売ってもいいんだけど、やっぱりみんな勢ぞろいしてる方がいいもんね。


「後ちょっと…出来た!」


「…スカ。アスカ!」


「ひゃい!?」


「もう交代の時間だよ。また、やってたね?」


「ええっ!?いつの間に…。ティタも教えてくれればいいのに」


「どうせ注意しても次またやらかすんだからティタももう言わないってさ。ま、襲撃でもあれば教えてくれるんだからそれでいいじゃないか」


「そうですけど…でも、見張りも立派なお仕事ですし!」


「なら、細工を程々でやるようにするんだね。それが出来ないなら諦めな」


「うう~ジャネットさんの意地悪!」


「はいはい。何でもいいからさっさと寝なよ。明日も早いんだから」


「は~い。ジャネットさん、おやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


細工も進んだし、見張りはジャネットさんとティタに任せて私は寝よう。明日ももう1セットぐらい作らないとね。



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― 新着の感想 ―
[一言] >私は支柱を4本建てて、薪が置けるように枠を作ってはめ込んでいく。 >「後は薪を入れていくだけだね。屋根は…釘とか持ってないし木を加工して作っちゃおう!」 >その後も薪をどんどん作っては置き…
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