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いざ、北へ!

「忘れ物は~」


「大丈夫です!」


「食事はどうだった?」


「美味しかったよ」


「それじゃ宿を出るとするか」


「それじゃあ、ちょっと急になっちゃいましたけど、お元気でステアさん、テクノさん」


「はい!アスカ様に会うことが出来、充実した日々でした。必ず帰ってラフィネに自慢してやります!」


「ほ、ほどほどにね。お姉ちゃん、ああ見えて見境ないから…」


「大丈夫です。そこそこの付き合いですので」


「俺もたまには休暇もいいなって思えたぜ!頂いたのは大事に使いますんで」


「壊れたりしたらまた連絡下さいね。次はもっと良いのを渡しますから!」


「ははは、そうならないことを祈っとくよ」


ステアさんたちはこれから商人ギルドに私の代わりに商品を渡してくれるのと、まだ、この町に滞在すると思わせるためにここでお別れだ。船の上からだと結構長い付き合いだったな。


「旅をしてるとこういうのも増えるんだね」


「それが醍醐味でもあるし、また次があるさ!」


「そうですよね!それじゃあ、お二人ともお元気で!」


「「はい!」」


2人と別れてギルドに向かう。


「良い依頼はないかな~」


「これなんてどうだい?街道付近の魔物の討伐だ。この町からファーガンドまでの道中、魔物を間引いてくれってやつだね」


「途中で帰ってきても良いってなってますし、これにしますか」


印象に残らないようにリュートが馴染みのない受付のところにいって依頼を受けてくる。


「OKだよ」


「それじゃあ、行こう!」


ピィ


「ふふっ、アルナったらそんなに外が嬉しいの?今日は休憩の時、一杯遊んであげるからね」


ピィ!


町を北に出て進んでいく。その間もアルナはくるくると私の頭の上を旋回しながら移動している。


「本当に元気だねこいつ。ミネルは好奇心は強かったけど、こんなに元気良くはなかったねぇ」


「そうですよね。レダもどっちかというと警戒心が強くて、一歩引いた感じでしたし…」


「誰に似たのかね…」


「育ての親ですよ、きっと」


そんな会話をしながらどんどん港町から遠ざかる私たち。今は林とも森とも言い難いところを進んでいる。魔物が出てもおかしくないんだけど、気配はしない。他の冒険者たちが倒してるんだろうか?


「特に気配も感じないし、一度休んでおくかい?」


「いいんですか?」


「今回は先が長いし、街道沿いだ。それなりに余裕もあるからね」


というわけでいつもより早い時点で休憩だ。


「リュート、おやつなんかない?」


「おやつ…干し肉ならあるけど」


「ん~、そういうのじゃなくて甘いのか、ポテチみたいな…」


「ポテチ?」


「ごめんさっきのは無し」


最近、宿でおいしいものばっかり食べてたからついつい贅沢になってしまったみたいだ。でも、港町じゃカカオっぽいものを使ったお菓子もあったし、何とかなって欲しいなぁ。


ピィ…


そんなことを考えているとアルナが肩につかまってきて羽根を休める。


「ど、どうしたの?さっきはあんなに元気だったのに…」


「さいきんとんでなかったから、つかれた」


「アルナったらかわいいんだから」


つんっとくちばしをつついてやって薬草入りのおやつをあげる。今日はまだまだ動くからね。


「逆にキシャルは大人しいねぇ」


さっきからキシャルは私の頭に器用に乗ったまま寝ている。スキルも上がったのか、前より縮小した体なので軽いのは良いんだけどね。


ガサガサ


「ん?何か音が…」


休憩中も音声遮断の結界の応用で前方の集音をしていたところ、数人の動く音がした。リュートが今は警戒してくれているので、どうやら木々の向こう側みたいだ。


「アスカどうした。魔物かい?」


「いえ、人みたいなんですけどあっちですね」


「ああ、結構いるみたいだ。6…7人だ」


「この辺にかい。当たってみるか?」


「そうしましょうか」


私たちはキョロキョロと魔物を探す振りをしながら人がいる方へ向かう。


「誰だ!」


「ああ、驚かせちまったかい。あたしらは依頼を受けて魔物がいないか見てるんだ」


「何だ冒険者か…。我らはこの帝国の騎士だ。現在巡回をしている」


「巡回ですか。ギルドにも依頼がありましたけど…」


「ふっ、冒険者など海千山千の我らと違って実力もバラバラだからな。こうやって定期的に巡回をしているのだ!」


「流石です!この後も頑張ってくださいね!」


「う、うむ。それにしても白い髪とは珍しいな」


「あはは、そうですか?」


「隊長、気にしてるんじゃないですか彼女」


「そうか、済まない」


「いえ。慣れてますから」


※アスカは帝国にいる間は魔道具で髪の色を白に変えています。


ぐぅ~


「それより早く帰りましょうよ。ギルドがワイバーンが出たって言うから準備もそこそこに来て腹減りましたよ」


「他の個体が来ないかの確認だけだからな。これぐらいは任務の中でも緩い方だ」


どうやらワイバーン騒ぎでわざわざ巡回に来てくれたらしい。私たちも無関係じゃないし、それなら…。


「ちょっとだけだったらオーク肉が余ってるので、いかがですか?」


「良いの?」


「俺たち育ち盛りだからさ~。持ってきた飯はもうないんだよね~」


「無計画に食うなといつも言っているだろう!済まないが頼めるか?」


「はい!」


「やれやれ、アスカは全く…」


リュートに調味液の付いた肉を1ブロック出してもらうと太めの金属の串に刺して両端は木で固定する。あとはと…。


「ファイア!」


加減した火で焼いていけば完成だ。ついでに匂いは空から町に流れるようにして魔物に気付かれないようにして終わりだ。


「出来ましたよ~」


「おお~!野営だってこんな豪華にゃ出来ないぜ!嬢ちゃんありがとな。どっかの商家の娘さんかい?」


「いえ~。まぁ、商品は扱ってますけど…」


「ふ~ん。まぁ、俺らにゃわからん世界だな。ほら、お前らも喰えよ!これはうまいぜ!」


「はっ!副長」


熱々のお肉にはやっぱり飲み物ということで、緑茶に近い飲み物を出す。


「おっ!ちょい渋みがあるがうまいな。どこで売ってるんだ?」


「さ、さぁ、自作してるので…」


「今度、帝都でも良いから卸してくれよ~。俺たちは普段帝都にいるからな」


「そ、それじゃ知り合いの商会の人に頼んでおきますね」


「全く、お前らは。冒険者にここまで世話になるとは…」


「良いじゃないですか。街道が他国より安全なのは俺たちのお陰でもあるんですよ。たまの贅沢ですよ」


「帝国騎士が人民にせびるなよ。この前も酒場で捕まったやつがいただろう?」


「ああ、あいつは前から気に入りませんでしたからね。ちょっと強そうな剣士に当ててやったらぼろ敗けでしたよ。いや~、あれは気分がよかったですね」


はっはっはっと笑う騎士の後ろから変な気配がする。


「ふ~ん。通りで見たことがある顔な訳だ…」


「あんたはあの時の…」


「あの馬鹿のせいでギルドから注意を受けたんだがね、あたしゃ」


そういえば、ジャネットさん。1日だけ機嫌が悪い日があったっけ?


「す、済まん!衛兵に引き渡してたからてっきりそこで終わったもんだと…」


「この国の兵士が見回りやってんのはみんな知ってることさ。理由は如何として揉め事は避けて欲しいってね」


「部下が失礼をしたようだな。これをもらってくれ」


「これは?」


「これは帝国騎士認証だ。各都市の出入りや衛兵に難癖をつけられるぐらいなら突っぱねられるだろう」


「そりゃどうも。金目のものはないのかい?」


「ジャ、ジャネットさん!折角、好意でくれてるんですから」


「でも、あたしらは悪いことはしないからねぇ。使い道がね。売ったり出来なさそうだし」


「ふむ。なら、これも渡しておこう」


「こっちは?」


「我が家の家紋入りのブローチだ。帝都に来ることがあれば役立つだろう」


「うげっ!もっと要らないよ…」


「そうか?人気はあるのだが…」


「あんたの身分なんて知らないしね。ま、もらっといてやるよ」


「家の家名はローゼリンだ。まあ、覚えていてくれ」


お互いこれ以上、時間を費やしては差し障りがあるのでこの辺でお別れだ。


「ではな」


「じゃあね」


軽く会釈をして私たちはファーガンドへ、騎士たちは町へと戻っていく。


「それにしてもビックリしましたね。帝国の騎士に会うだなんて」


「まあね。ただ、思ってたよりも礼儀正しかったね。軍国主義って割にはね」


「そういえばそうですね。リュートはどう思った?」


「う~ん。半数以上が槍使いだったな」


「そう?みんな帯剣してたよ?」


「でも、やや短めだったでしょ?あれは槍を使う人間のサブウェポンだからだよ。槍を持ってなかったのは、変に警戒させないようにしまってたのかも」


「へ~。そんなとこ見てたんだ。面白いね」


「どうして?」


「私は全然意識してなかったもん!」


「まあ、アスカはね。向こうもアスカには気を許していたみたいだし」


「私には?リュートたちは違ったの?」


「うん。ギリギリのところで距離をとられてたかな?意外にもアルナたちには敵意はなかったけど」


「アスカの従魔って紹介したからだろうね。賢いことも直ぐにわかったみたいだし」


「そっか、よかったね。みんな!」


ピィ! んにゃ


「ティタはおきものになってた」


「あはは、頑張ったね。ごめんね何時も、しゃべると目立っちゃうから」


「ううん。アスカがそうしたいならいい」


「ありがとう。それじゃあ、進もう!」


「はいよ」


「うん」


ピィ!


と、ここまでは威勢がよかったのだが、ティタは肩にキシャルは頭に乗ったまま動く気配はなかった。


「相変わらずこいつらはマイペースだね」


「代わりに夜、見張っててくれますし構わないんじゃないですか?」


「リュートはそう言うけど、キシャルは何時見ても寝てるよ?」


「たまの襲撃には起きてますから…」


リュートもそこは頑張ってフォローした。一応野生生活が長いから、襲撃には対応してくれるのだ。


「まあ、キシャルはかわいいもんね~」


んにゃ!


頭を撫でようとすると寝たいのかパンチされた。


「しょうがない。今日は諦めよう」


ファーガンドまではまだ距離もあるし、キシャルを撫でる機会はいくらでもある。




過去に一話で町に付いたのが夢のようです。

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