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転生後に世界周遊 ~転生者アスカの放浪記~【前作書籍発売中】  作者: 弓立歩
バルディック帝国

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上陸と情報収集

無事に入国手続きも済ませバルディック帝国の港町ファスナに入った私たち。


「まずは宿の手配だけど、ステアを待つとするか」


船にいる間にステアさんが泊まる予定だった宿を紹介してもらう予定なのだ。


「アスカ様、お待たせしました」


「わりぃな。俺ら2等船室だから遅くなってよ」


「いいえ。それじゃあ、案内お願いします」


「はい。といっても私たちも地図を見ながらですが」


そう言いながらも迷うことなく歩いていく2人。やっぱり、こういうことに慣れてるみたいだ。


「ここが私たちの泊まる予定の宿、コルタス亭です。普通より少し良い宿ですね。商人に宿代は上乗せでもらえる依頼だという話をして泊まる予定です。でないと、私たちCランクの冒険者には少し高いですから」


「そんなに細かいことまで…。私たちはどうしましょう?」


「普通に船員にいい宿だって聞いたってことでいいだろ?あたしらには事情はないんだから」


「そうですね。それじゃあ、受付しちゃいましょう!」


私たちは早速、宿に入る。


「いらっしゃいませ~。お泊まりですか?」


「はい、3泊ほど。後、小さいんですが従魔がいるんですが大丈夫ですか?」


「えっと、小鳥と小さいゴーレムとキャット種ですね。暴れないなら大丈夫です。後ろの方は?」


「一応知り合いだが、4人部屋と2人部屋で行けるか?」


「大丈夫ですが、支払いとか問題ありませんか?」


「ああ、それなら俺たちは商人からちょっともらえるからな。それぞれ半分でいいよ」


「かしこまりました。何泊のご予定で?」


「う~ん、3泊だな。変更があったら言うよ。夜は付いてるの?」


「はい。ですが、朝食は今中止してるんです。申し訳ないんですが、ご用意ください」


「中止?何かあったのか?」


「仕入れのパン屋が駐留軍に優先的に降ろしてしまうので、朝は間に合わないんです。あと2週間は続きます」


「ふ~ん。この国は初めてだけど、こういうこと結構あるの?」


「…まあ、3か月に1度ぐらいは。治安維持訓練の一環で来るんですが、皆さんも気を付けてくださいね」


「分かったよ。部屋に案内してもらえる?」


「はい。では案内させてもらいますね」


宿の代金を払い終えると、受付のお姉さんは他の人に受付を任せ、私たちを案内してくれた。その後、荷物だけおいてみんなで4人部屋に集まる。


「さっきの話は聞いてたな?という訳で、ちょっと面倒だ。町を歩く時は気をつけろよ」


「そうですね。でも、すごいです!あんなにうまく情報を引き出すなんて」


「でも、予定と違っちまってよかったのかい?」


「ああ、次の客がいたらあんな情報聞けないだろ?必要経費さ。それに話したのは俺だが、アスカの存在も大きいぞ」


「私ですか?」


「そうだ。俺にあの情報を聞かせたいんじゃなくて、アスカに聞かせたかったんだろう。帝国国民が軍に対してあれこれ言えないが、子どものアスカになら兵隊の邪魔をするなって警告できるからな。それだけ好き勝手することもある連中ってことだ」


「テクノ、敬語」


「いいじゃないか。知り合いの冒険者で様付けは変だぞ?」


「そうですよ。ステアさん」


「私たちには立場が…しかし、テクノの言うことにも一理あります。人前だけは別ですよ、アスカ様」


「はいっ!」


「そんじゃ、宿を確保できたし予定通り情報集めだね。アスカは売り物はあるのかい?」


「ちょっとだけですね。3つぐらいでしょうか?」


「なら、そいつを商人ギルドで見せてついでに情報集めだ。リュート、付き添い頼んだよ。…出来ればステア、あんたにも頼みたい」


「いいわ。任せて頂戴」


「テクノはあたしと街巡りだ。酒場からギルドまで見てくよ。それで、夜に情報をまとめて明日は冒険者ギルドで依頼探し。でないと冒険者として不自然だからね。ついでに受付の奴が言ってた登録地の変更もやるとするか」


「それで問題ないでしょう。ジャネット、あなた本当に国外に出るの初めてなの?」


「ん?これぐらい誰でもすぐにわかるさ」


「すごい!流石ジャネットさんです!私は全然知りませんでした」


「そ、そうだね。僕もすごいと思うよ」


入門!外国旅行って本を買って隅から隅まで読んでなければね。しかも、もう一冊別の本を買って表紙を差し替えてたし。読んでる最中に居眠りしてて得た情報だから流石に言えないけど。


「なら、それで別行動ね。早速別れましょう。アスカ様、準備はよろしいですか?」


「あっ、ちょっと待ってください。私、街に行く時は着替えるんです」


「そうなんですか。冒険者にしては珍しいですね」


「船では危険もあるからやめさせてたけど、びっくりするよ」


「それじゃあ、一旦分かれましょう。そうそう、従魔の子たちはできれば宿で過ごさせてください。流石に外では目立ち過ぎます」


「う~、仕方ないか。みんなごめんね」


ピィ


代表してアルナが返事をする。船を降りて動き回りたいだろうにいい子だ。絶対明日からは連れてってあげるからね。その後は私の着替えもあるので、みんな分かれて準備をする。


「ア、アスカ様。本当にそのお召し物で?」


「はい。かわいいですよね?」


「それはそうですが、その…危険では?」


「街中ですよ?」


「ステア、アスカにあれこれ言う暇があるなら、対処を考えた方が楽だよ。あたしはそうしてる。ただ、スイッチが入ると別人だから、そっちも考えておきなよ」


「分かりました。では、この辺で」


私たちは宿を別々に出る。一緒に出ているところを見られないためだ。


「それじゃあ、ステアさん、リュート。まずはどこに行く?」


「商人ギルドか魔道具屋ですか…リュートさんはどう思いますか?」


「僕的には商人ギルドですかね。そこで魔道具屋も紹介してもらった方が、トラブルを避けられそうです」


「なるほど。ではそう致しましょう」


まずは商人ギルドに向かう私たち。


「こんにちわ~」


「あら、いらっしゃいませ。可愛らしいお嬢さんですね」


「ありがとうございます」


「本日はどのようなご用件で?」


「ちょっと細工とかを扱いたいのとフェゼル王国への輸送について聞きたいんですけど…」


「分かりました。フェゼル王国へは2週間に1度船が出ていますので、預けて頂ければその時に乗せることが出来ます。細工の扱いに関しては現物を見せてもらってからになります。今お持ちですか?」


「はい、リュートお願い」


「分かりました」


あえて、私がお嬢様だと思わせるようにリュートも敬語を使う。


「こちらがアジサイのブローチです。これは青紫に彩色していて、質もいいですよ。金貨3枚位を考えています。後はこの国向けにバラの2重水晶のイヤリングを2つ程持ってきました」


「少し見せて頂いても?」


「どうぞ」


リュートがギルド員に細工を渡す。ギルドの人はじーっと手袋をはめて商品を確認する。


「この2重水晶ですが、見事なものですね。こちらでも取り扱いはありますが、内側は削れていたりするものが多いのです。そういうものは使っていると削れて来たり、形が変形したりと安くなるんです。これなら心配はないでしょう」


「おいくらになりますか?正直こちらも海を渡ってきているので、ちょっと高くなってしまうのですが…」


「確かに、フェゼルからということは細工師は向こうでしょうし、大変でしょうね…。ちょっと裏で相談して来ても?」


「構いません。時間はありますから」


受付のお姉さんが奥に行くと私たちも相談タイムだ。


「リュートさん、見直しました。アスカ様に失礼な感じなだけではなかったんですね」


「ええっ!?どう思われてたんですか…。それより、細工師がフェゼルにいると思ってもらえるのは微妙ですね。これから、小出しに持ってくるのは微妙なので、次に一気に仕入れた分といって持ってきて、他国に行くのがいいと思いますが、ステアさんはどう思います?」


「それがいいですね。今日はお試しですが、その後も少しずつ出しては細工師の居場所を尋ねられると思います。それは面倒ごとになりますね」


「それじゃあ、滞在期間は明日以外はずっと細工した方がいいですか?」


「そうですね。ここで売ると考えておられるならそうされた方がいいかと」


「う~、観光したいけど、セーマンさんたちを安心させたいし、頑張ります」


そんな話をしていると奥から別の人を連れた受付のお姉さんが出てきた。


「お待たせしてすみません。こちら、鑑定持ちの当ギルド主任のメッサ―さんです」


「メッサ―です、今日はよろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


「早速ですが、こちらの細工は見事でした。アジサイのものも彩色が良く、2重水晶のものは近年はただの変わりものとして扱われていたのですが、それを感じさせない見事な出来です。特にこの国では古来より赤いバラが尊ばれており、これは大いに人気が出ることでしょう」


「そうですか。よかったです、僕らも細工師の人にいい報告が出来ますよ!」


「あなたが取引の責任者で?」


「一応そういうことになってます。どうかよろしく」


「分かりました。こちらの商品ですが、まだ在庫はありますか?」


「まだあると思います。一度、戻って見ないと正確には分かりませんが。他にもいくつか持ってきているので、この国で売れそうなものであればお願いしたいです」


「ええ、こちらこそこれほどのものを作られる細工師の作品なら歓迎致します。今日のところは顔合わせということで、こちらのアジサイの商品を金貨3枚と銀貨5枚、2重水晶のバラは金貨4枚で買い取らせていただきますが、どうでしょうか?」


「相場より高いのでは?」


「もちろん輸送費とこの国での希少性を考えてでございます。次からは少し下がりますが、それでも十分な価格だと思いますよ」


「お嬢様、どういたしますか?」


「べ、別に構わないわ!」


「では、そちらの商品を納品します。代金の方はこのカードへお願いします」


「分かりました。では、少々お待ちを」


男の人がカードを受け取ると機械を通す。ほんとにこの辺は便利な世界だよ。買取も終わったし、後はギルドで売ってるものを見ないとね。



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