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6 星は何でも知っている
『はい、こちらが星のアイスクリームです』
『うわ!これはまるで口の中が天の川や?以上、星の村より中継でしたー』
グルメレポーターとテレビ中継を終えた瑠奈は、ほっとしていたが対面で見守っていた彼はムッとしていた。
「どうしたの?」
「なんかくっ付きすぎだろう。ん?メッセージだ」
陽介のスマホには続々とメッセージが届いていた。
「ど、どうしたの?」
「……中学の奴らが今の生中継を見ていたようで、それで騒いでいるんだな」
「?」
彼のスマホを覗き込む心配そうな瑠奈に彼はニコと微笑んだ。
「お前の名前が新井になっていて、薬指に指輪をしてるからさ。結婚したってわかったんじゃないの」
「映ってたの?」
「……あ?担任の先生からも来た!よし、結婚式の写真を送っちまおう!」
「恥ずかしいよ」
「もう送ったし?さあ、奥さん、今夜は何を食わしてくれるんですか?」
初春のタンポポの丘。若い二人がたたずむ地上の星の世界には、眩しい風が今日も流れているのだった。
fin