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星が流れる時の中で  作者: みちふむ
4/6

4 星を食べよう

この日。ホテルに向かう車中で、陽介は瑠奈に計画を話していた。


「まずホテルやキャンプ場、駐車場の確保だな」

「はい」

「他には町おこしの目玉なんだよな」

「それは、お土産とグルメとかかな?……うーん」


彼を上司と見て真剣に考える瑠奈に、運転中の陽介は頭をかきながら話し出した。


「ところでさ。お前って。中学の奴らと会う事ないの?」

「……はい。仕事の時間も合わないし」

「そのさ。二人でいる時は、敬語はやめてくれよ」


ふてくされる彼に、瑠奈は、うんとうなづいた。


「わかりました」

「なってねーし?」

「フフッフ。ごめんね」


笑う彼女を彼はほっとした顔で見つめていた。こんな二人は観光ホテルを巡り話をして回った。

どこも話に賛成で、二人は手応えを持って勧めていた。こうして計画は着実に進んでいった。


そして観光の目玉でグルメを考えようとなった際、陽介はある人を瑠奈に紹介した。


「お前、葉子を覚えてるか?あいつは今結婚してお菓子屋さんにいるんだよ」

「一緒に図書委員した葉子ちゃん?懐かしいな」


陽介は葉子の嫁ぎ先にお菓子の相談をしようと、二人でやってきた。


「あら?瑠奈なの?背が私よりも大きいの?」

「おい。卒業してから伸びたに決まってるだろう」

「ふふふ。葉子ちゃん、ご結婚おめでとう」


久しぶりの対面であったが、早速お菓子の話になった。話を聞いていた葉子はお姑さんと星のお菓子を提案してきた。


「まず、これは『星のどら焼き』ね?お義母さん」

「そう。星の焼印を押してあるだけなんだけどさ、中はこうだよ」


これには天の川をイメージし、ミルククリームが入っているとの説明だった。


「でもね。味にパンチがないんだよ……」

「そうですか?味は、瑠奈?」

「美味しいです。皮ももっちりしていて、焼印も可愛いですね」


瑠奈の食べる様子に葉子は次を出してきた。


「これは『星型のモナカ』中身はただのあんこだよ」

「見た目は可愛いな。どうだ?瑠奈」

「そうですね。これって色は何色か作れますか?」

「色?色かい?」


意外な顔の葉子義母は、着色料でピンクと黄色とか紫ならできると言った。


「最後はこれ!『星のソフトクリーム』、まず食べて」

「どうぞ。さあ、どうぞ!兄さんも!」


義母がにこやかに勧めるので陽介が先に口にした。


「味は悪くないですが、ザリザリする?柔らかいアイスの中に硬い金平糖って」

「そうですね。食感が良くないです」

「なんだって?」


これには葉子義母が説明した。


「爽やかな夏空のイメージでラムネソーダ味。そして星を表す金平糖がインスタ映え。これのどこがダメなのよ」

「お義母さん!興奮しないで?」

「インスタ映え、か……どうだ?瑠奈」

「うーん。確かに」


こんな瑠奈は、陽介にアイスのカップを持たせてみた。彼女はじっと彼を見つめた。


「そうですね。このアイスに、星形のホワイトチョコとか、大きなものを刺したほうがインスタ映えしますね」

「チョコか。どう?お義母さん」

「……薄くていいんだろう。よし、やってみようか」


こうして二人は、今度はキャンプ場にやってきた。



「ここは拓也の実家なんだ。お!拓也」

「うっす。って、瑠奈かよ。めっちゃ美人じゃん?」

「お久しぶりです、拓也君。可愛い犬〜」


中学の同級生の拓也はサラリーマンであったが、週末は実家のキャンプ場を手伝っており、今回のイベントも協力すると言ってくれた。


「俺のところにはもう問い合わせ来てるぞ」

「そうか。あのな、瑠奈。ここにも星にちなんだ物を仕掛けたいんだ」

「そうね。広いしね」


瑠奈はそばにあったブランコを見て、星のオブジェはどうかと言った。


「どんなの?」

「ロープを星の形に張るのはどうかな?その中から、星の写真を撮ったら面白そうだし」

「よくわかんねえな」


頭を傾げる陽介であったが、拓也はうなづいていた。


「俺はわかるよ。瑠奈が言ってるのはこういうのだろ?」

「そうそう!他にも考えるね」

「あのさ?今度一緒に」

「おっと?俺に言ってくれ。さあ、瑠奈行くぞ」



この後も星のイベントの協力は二人の同級生が主であった。


「しかし。まさかあいつが先生と結婚するとはな?」

「うん。私、まだドキドキしてる」


警備会社の帰り道の車の中、二人は驚きの事件に思わず車を停めて休憩していた。



「あのさ。瑠奈ってその、恋人とかいるのか」

「いないよ?仕事と家の往復だもの」

「そか!うん、そうだよな」


彼の事を聞こうとした時、彼のスマホが鳴った。彼は慌てて車から降り、話をしていた。話の様子から女の人と話をしていた。


……彼女さんかな?いつも話をしてるし。


そして電話を終えた彼は疲れた顔で仕事に戻ろうと言った。

こんな陽介に天文台の事で迷惑をかけたくない瑠奈は、彼のために星のイベントを成功させようと星に誓ったのだった。



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