電撃の天使
翌日。
ピンポーン♪
俺の家の呼び鈴がなった。宅配便の方ですね。はいはい。玄関を開けて荷物を受け取る。認印を押して、
「ご苦労様です。」と配達員を見送ってドアを閉めようとしたその時
「見つけたぞ!勇者の魂を持つ者!」
いきなり電撃が足元を襲う。
「わっ危ない!」
慌ててドアを閉める俺。電撃を放った声の主は見ていない。
ドン!ドン!ドン!「ここを開けなさい!勇者の魂をよこしなさい!」とドアを叩く襲撃者。
「また勇者の魂かよ。」
女の声だがリリィの声ではない。彼女はもっとアニメ声でおっとりとした喋り方だ。
必死でドアを抑える俺。
俺、またまた絶体絶命のピンチ!
「ただいま~。あれ?ご主人様、何やってるんですかぁ?」とベランダから帰ってきたリリィ。
「あ、リリィ。いいところに帰ってきた。突然電撃がドーン!で勇者の魂をよこせ!って」
「何言ってるんですかぁ?ちょっとどいてください。」とドアの覗き穴を除くリリィ。
「なんだ~、エルじゃない。」とドアを開けてしまう。
ドアの向こうには、エルと呼ばれた天使コスの長身スレンダーな女の子が立っていた。
天使の輪みたいなものが浮いている…リリィの同類?
でも電撃と言えば、『だっちゃ』とか言う鬼娘じゃないのか?ダーリンて呼んでほしい。
「え?なぜ、あなたがここにいらっしゃるの?そんなことより、後ろにいる人間、勇者の魂持っていらっしゃるのよ。知ってて?」と、彼女がまた電撃を放つ。
そして必死にかわす俺。
「わっ、わっ、わっ」
「エル、ちょっと待ってぇ。」
「あなた、試験に合格したくないの!?」
その間も電撃が足元を襲う。
「エル、エルぅ~、ちょっと待ってよ~。試験課題、変わったのよ!」
「いくら幼馴染で親友だからって、そんなこと言っても騙されませんわよ。今回はライバルなんですから!すばしっこいわね!」
そして電撃が足元を襲う。
「待って、待ってってば~。本当なのよ!!」
「親友を騙そうだなんて、ちょっと会わないうちに、あなたすっかり変わってしまったのですね。こら、おとなしく魂を渡しなさい!」
また電撃が足元を襲う。
「待って、待ってってば~。本当なのよ!信じてよエルぅ~!」