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悪魔が来りて腹が鳴る

 グゥー


 記憶が混乱しているのか、何を言ってるのか判らない。判ったのはお腹が空いているということだけだ。


 「先に朝食でも食べる?」と言うと、「いいんでですかぁ?」と彼女。

 「悪魔さんのお口に合うかわかりませんが。」


 と言うと、俺は台所に立つ。


 トントントン、カシャカシャカシャ、ジュージュー、グツグツグツ


 ベーコンエッグと味噌汁、前日炊飯器にセットして炊いておいたお米をお茶碗によそい、いつも使っているちゃぶ台の上に並べる。

 食器が2人分ないので、ありあわせの器なのはしかたがない。


 「い、いただきまーす」「どうぞ召し上げれ」


 すさまじい勢いで食べる女の子。

 「お、美味しーぃ!」

 むしゃむしゃむしゃ。ご飯粒が彼女のかわいらしい頬につく。

 「ふ~。こんな美味しいごはん初めて食べましたぁ。ごちそうさまでしたぁ。」

 「そんなオーバーな。よほどお腹が空いてんだね。空腹こそ最高のスパイスってね。」


 「いいえ。間違いなく絶品ですぅ。とても美味しかったです。

 で、さっきの続きなんですけど~、どこまで話しましたっけ?」

 「死神の登用試験がなんとかって。」


 「そうなんです。聞いてください!」

 と手を前について身を乗り出す彼女。露出の多い胸元が強調されてこれはいけません。目の毒です。


 「生まれてから10万年近くまじめに過ごしていたのが神様に認められて死神見習いとして登用されたんですぅ!すごいでしょ!すごいでしょ!」

 ん~。よくわからない。10万年って某閣下の親戚なのかな?


 「で、死神見習もまじめに一生懸命頑張ったんですぅ。

 人の寿命を事前に調査して亡くなりそうな人のリスト作ったり~、死後の世界に連れていく途中で逃げ出した魂を連れ戻したり~、方向音痴の死神様のためにわかりやすい地図を描いたり~、何かと仕事をさぼっていなくなっちゃう死神様を探して連れ戻したりもしましたぁ。死神様の大鎌の手入れや~、衣装のほつれの補修~、その他備品の発注~、死神様やその他死後の世界のスタッフのお弁当の手配~、死神様たちの宴会の幹事~、神様への接待~、出来ることはなんでも頑張りましたぁ。

 そして、一生懸命がんばったので、神様から死神への登用試験を受けさてもらえることになったんですぅ。!」


 鼻息荒く語る彼女を見ていて、なんか凄いことなんだろうってのは伝わってきた。そしてこの娘が頑張り屋さんなのも伝わった。


 「んで、んで、その試験の内容が勇者のスキルを持った魂を連れてこいって言うんですぅ。

 なんでも異世界で無敵のスキルなんていう凶悪な力と邪悪な心を持った魔王が誕生してしまったのでぇ、勇者のスキルを持った魂を送り込まないといけないらしんです~。」


 そこからちょこんと女の子座りし直した彼女のトーンが下がる。


 「そして、それから5千年近く探し続けてるんですけど~、なかなかいないんですよ~。勇者のスキルを持った魂。でぇ~、この辺に勇者のスキルを感じて来たんですけど~、お腹すいちゃって墜落しちゃいました。てへっ」


 といった瞬間、彼女の片目が怪しく光った気がした。


 「で、桧山さん、あなた勇者のスキルを持ってますよね?」と言うや、どこからか取り出した大きな鎌を俺に向かって振り下ろす。


 ザクッ!

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