愛しの魔王
「ご主人様!啓ちゃん、魔王の生まれ変わりなんです。」と俺に刀を渡す友里。
「どういうことだよ。意味わかんないよ。」
「啓ちゃん、無敵と洗脳のスキル持ってるんです!」
「ガハハハハ。俺が魔王だと気が付くとは、さすが天使と悪魔だな。」
「どうしたの、啓介、どうしたのよ。ママよ、あなたのママよ。」
「ガハハハハ、ママかwww。産んでくれたことには感謝する。ばばあだと思ってたが、意外とまだいい乳してたな。ガハハハハ。
どうだ、また俺の女にならないか?ガハハハハ。」
「啓介、何言ってるんだ、啓介。パパだよ、パパだよ。」
「ふん。パパかwww。さすが勇者だ、お前がいると俺の洗脳が効かないからな。事故を装ってお前を殺そうとしたが、なかなかしぶとい。それに引き換え、金 真俊の親はちょろかったぜ?しかも、俺が『おぎゃー』と泣けば誰も俺を疑わない。ガハハハハ。」
「けいちゃん、そんなことパパとママに言っちゃダメ。」
「俺の娘で姉ってのも複雑な気分だな。
あのの時は大人になるまでなかなか保険金を受け取れなくてな。
ようやく保険金を受け取れるようになって、この国に来て好き勝手やって、さらに在留期限を延ばすために適当な馬鹿な女を洗脳してお前が生まれたってわけさ。
いい女に育ったな。お前も俺の女にしてやる。ガハハハハ。」
「くそっ。やめろ啓介!」
啓介は峰打ちしようとした俺の刀を交わし、おれに蹴りを入れる。
「ぐわっ」
数メートル吹き飛ばされる俺。
「勇者よ、そんなに手加減して俺を倒せるわけがなかろう。ハエが止まっているかと思ったぞ。ガハハハハ。」
「くっそっ。本当に魔王なのか…」
刀を持ち替え、再度啓介に切りかかる。
「やめてーーーー!」
麻衣ちゃんの声が響き渡る。そして、俺の刀が止まる。
「俺には無理だ…」
そして幼児とは思えない啓介のパンチが俺にミゾウチをえぐる。さらに、突き飛ばされた俺に啓介の蹴りが繰り出される。
「ぐっ。いやばい。肋骨と左腕の骨が折れている。」
「ご主人様!啓ちゃん!私が相手よ!」と大鎌で切りかかる友里。
「ふん。無敵のスキルをもった俺に、悪魔だろうが勝ちめはない。」
公園の遊具の金属パイプでできた支柱を引きちぎり、そのパイプを振り回す魔王。
キーン!キーン!キーン!
その隙をついて、英里が俺にヒールをかける。「旦那様、ヒール!」
キーン!キーン!キーン!
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ。」
肩で息をする友里。魔王は平然としている。