成長
そんな啓介だが、どうも他の子より成長が早い。すぐにハイハイして動き回るようになった。
そして俺の後ろから体当たりしてくるんだ。
「敬ちゃん。電球交換してぇ~」
「はいよ~」
おれは不安定な椅子の上にあがり、切れた電球をLED電球に交換する。
ドン!
「おっと。あぶない。また啓介か。いけない子だ。うりうり。」
「キャッ!キャッ!」
それにしても赤ん坊とのハイハイとは思えない力だ。
その割には離乳食は断固拒否し、おっぱいは飲み続ける。歯が生えてきて麻衣ちゃんも痛そうだ。
さすがに麻衣ちゃんのおっぱいも出が悪くなり、あきらめたのかやっと離乳食に移行できたが、こんどはプラスチック製のお皿やらフォークなどの食器を俺に投げつけてくる。
プラスチック製だからたいして痛くないが、目にでも入ると危険だ。乱暴…いや、わんぱくすぎないか。
こないだは、子供が飲み込めない程度の大きさの木の積み木を投げてきた。さすがにこれはちょっと危ない。
「ご主人様、まだ赤ちゃんですからぁ~。」
「そ、そうだね。」
「ねぇ、友里、ちょっとこっちに来て。」
「なによぉ、英里ぃ~。今、啓ちゃんと遊んでるんだからぁ~」
「あなた、啓介坊ちゃんを鑑定してみた?」
「え?そんなことするわけないじゃない。」
「ならしてみて。」
「いやよぉ~。どんなスキルがあるのかなんてぇ大人になってからのお楽しみじゃない~。」
「いいから。鑑定してみて。無敵のスキル持ってるのよ。洗脳も…」
「え、でも、まさかぁ…あ、本当だ…ってことは?」
「そういうことよ。」
(くっ、くっ、くっ。まさか勇者の子供に転生できるとはな。金 真俊の両親の時のように、なんとか事故を装って勇者の命を奪えれば、あとは俺の天下だ。)