某国の革命
「まっくろまおうでておいで~!出ないと目玉をほじくるぞぉ~!」
家に戻ってから、俺たちは気持ちを入れ替えて真面目(?)に魔王探しをしていた。
そんなある日の夜の風呂上り、5人でまったりTVを見ていると、臨時ニュースが飛び込んできた。
(俺のせいで)友里が財政破綻に追い込んだ某国で革命が起きたらしい。
金 真俊 47歳と名乗る革命の指導者の演説が流れる。
『立てよ国民!我ら某国国民こそ、選ばれた民であることを…』
「え、この人…」
「え、この人…」
「え、この人…」
友里、英里、麻衣ちゃんの3人が声を上げる。
「麻衣ちゃん、どうしたの?」
「あ、やっぱり麻衣ちゃんからなんだぁ(笑)」「順番に聞くから。」
「で、麻衣ちゃん」
「えっと、あの、この人、たぶん、姿を消した元夫。」
「えーーーー!」3人の声。その中で芽衣ちゃんだけが「この人がお父さん…?」とつぶやく。
「えっと、それ間違いないの。」
「あれから十数年経ってるからこの映像だけじゃなんとも言えないけど、名前も同だし、年齢、姿かっこう、雰囲気も似てるの。」
「えっと、次はわたくしが。わたくしもTVの映像越しなので言い切れないのですが、この男が魔王の生まれ変わりではないかと。」
「そうよね。わたしの鑑定でも、はっきりはしなけど魔王っぽいわ。」
「こりゃ、某国まで行って確かめないといけないね。3人で行ってくるから、麻衣ちゃんと芽衣ちゃんはお留守番よろしくね。」
「ダメです。私も行きます。」「メイも行く!」
「某国は革命が起きてるから危険なんだ。だから絶対にダメ。」
「いいえ。行かせてもらうわ。」「メイも!」
「ご主人様~、どちらにせよ~、あの男がぁもし魔王なら私たちも危険ですからぁ、訓練してから行きましょ~。」
「そうですね。それに旦那様、勇者のスキルの使い方、まだわかっていらっしゃいませんよね?勇者のスキルをお持ちでも使えなければ、宝の持ち腐れですから。」
その日から、友里・英里指導の下、俺と麻衣ちゃんは剣道の心得があったので剣術の訓練を、そして俺は剣術と一緒に、勇者のスキルを発現させるための特訓を。芽衣ちゃんは魔術の訓練が始まった。
「へ?魔術?」
「はい。旦那様。芽衣お嬢様の魔法少女好きはご存じですよね。」
「あぁ。」
「芽衣お嬢様は魔術のスキルをお持ちです。どうやらそれが潜在意識の中で魔法少女に惹かれたのではないかと。」
「ご主人様。現代人はスキルの使い方を知らないだけでぇ、スキルのある人なら練習すれば使えるようになるんですぅ。」
「まじか!ちなみに30歳まで童貞を守った俺に魔術のスキルは?」
「ありません。」「ありません。」
繰り返しになりますが、某国はあくまで某国です。あくまで仮想の国家です。