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魔王を探せ!

 その日から、俺たちは一緒に魔王を探しに街に出た。


 緊急事態宣言も解除された街で、

 買い物して、喫茶店に行って、おしゃべりして、映画館に行った。


 「旦那様、わたくし前々から気になってたんですけど、このピンクの建物はなんですの?」

 「あぁ、ラブホテルだよ。」

 「ご主人様、それってな~に?」

 「えっと、愛し合う二人が愛を確かめ合う場所、かな?」

 「それじゃ、一緒に入りましょう♡」


 次の日は、遊園地に行って、お化け屋敷で、

 「キャーキャー!ご主人様~♡」

 「旦那様、腕を離さないでください!」

 あの~。やわらかいのが当たってます。


 それからジェットコースターで、

 「わー楽しぃ~!ご主人様~、いっしょに手をあげましょう!」

 「旦那様、手、離さないで、離さないで~。」


 次の日は高級ホテルのレストランで食事して、そのままお泊りもした。


 「なかなか見つからないね~。」と、若者であふれる通りをクレープをほおばりながら歩く友里。

 「まぁ、あてもなく片っ端から鑑定していく方法では、そんなに簡単には見つかりませんわよ。」と、タピオカミルクティーを飲む英里。


 そもそも、二人ともほとんど鑑定してないよね。そりゃ見つからないと思うよ。



 そんなある日、俺たちはたまたま見つけた昔ながら喫茶店でコーヒーを飲んでいた。あ、英里は紅茶で。


 「たまには~こんな感じの喫茶店も~いいですねぇ~。」

 「そうねぇ~。レトロな雰囲気も落ち着くわぁ~。」


 ドン!


 「返すものはきっちり返してくださいよ~。」ドスの聞いた声が店内に響く。

 店員も注意しようとはしない。よくある光景なのだろうか。


 「す、すみません。娘の修学旅行の積立金が足りなくなってしまって。必ず来月にはまとめてお返ししますので。」

 ん?どこかで聞いたことがある声だ。


 「奥さん。奥さんもさ、まだまだ若くてきれいなんだから。もっと簡単に稼げる方法教えてやるって。これからもっと返すの難しくなるよ。」

 「や、やめてください。必ず返しますから。」

 「娘さん、もう16歳だっけ?あの娘もかなりの上玉だ。歳ごまかして働ける場所、教えてやるよ。」

 「や、やめてください。娘は、娘には…。お金は来月には返しますから。絶対返しますから。」


 「あの~」

 「あん?なんだてめぇ。こっちは仕事のまっ最中なんだよ。邪魔するな!」

 「お返しするお金って、いくらなんですか?」

 「あん?てめぇが立て替えるってか?月15万円だ。」

 「じゃぁ、これ。はい。あ、領収書ください。」

 「え、あ、お、おう。払えばいいんだ。払えば。」


 男たちは去っていった。


 「あの、どこのどなたかは存じませんが、いただいたお金は必ず返しますので。」

 「麻衣ちゃんだよね。」

 髪型もストレートのロングヘアーに変わっていていたが、間違いなく麻衣ちゃんだ。目元には疲労の跡があるが、面影ある声と姿に俺は確信していた。あの日から一度たりとも忘れたことなどない麻衣ちゃんだ。

 「え?」

 「麻衣ちゃん。僕だよ。僕。」

 「た、たかちゃん?」

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