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しょた丼エッセイズ

底辺作家の仲間たちへ〜変換が引き起こす恐怖のトラップについて考えたことはあるかい?〜

作者: しょた丼

 いらっしゃいませ〜

 エッセイ、読みにきてくれてありがとう。底辺作家なうなしょた丼でございます。お見知りおきを。


 今回は最近しょた丼がWeb小説を読み漁っている上で、感じたことについて一石投じてみようと思い連載作品執筆の合間に筆を()らせて頂きました。

 主に小説を書き始めた、または小説を書いてるけどランキングに載れないって作者様向けに書かせて頂くものになります。そんなの当然じゃんって方や、我が道をゆくんや!って方はブラウザバックでokです。


 さて、日々『小説家になろう』というサイト内では数千〜数万単位の小説達がランキング掲載や書籍化を目指してしのぎを削る戦いをしているわけですが、ランキングに残りやすい作品とそうでない作品において決定的な差があることをしょた丼は発見したのです。

 なんだと思いますか?


「誤字脱字誤用が少ない」だと思ったそこの貴方!

 たしかに大事な要素だけど違う。でも、多少ミスがあったってちゃんと連載続ける方が大事や。


「人称や文法がしっかり使い分けられている」だと思ったそこの貴方!

 たしかにこれも大事な要素だ。だけど、これも違う。極端な話、「一人称」「二人称」「三人称」統一されてなくたって面白ければ読者は付く!


 じゃあ何が問題なのか?

 それは、「漢字」だ。

 しょた丼はここに読者と作者の大きな認識の違いすなわち、齟齬(そご)が発生していると感じた。



 しょた丼と同じWeb小説物書き仲間に問いたい。



「貴方は、実際に手書きで小説を書いたことがありますか?」



 大事なことだからもう一回書くよ?



「貴方は、実際に手書きで小説を書いたことがありますか?」



 この質問の「手書き」というのは、自分で鉛筆、シャープペン、筆......、なんだっていい。とにかく実際に自分の手で原稿用紙やノートに字を書いているか否かということだ。


 恐らく、大半の方が、否と答えるだろう。Webという場で執筆する多くの方が、きっと「小説家になろう」というサイトを知らなければ執筆などという道に至らぬ者たちだった筈だから。


 さて、ここで問題が発生するわけだ。Web小説では書けて現実の原稿用紙には書けない諸君。しょた丼もその一人であるが。考えてみてほしい。

 Web小説で書くときはできて、原稿用紙で書くにはできないことを。


 そう。Web小説では原稿用紙では絶対書かない、否、書けない言葉が漢字で書けてしまうのだ......!


 自分の胸に手を当てて考えてみてほしい。

 自分が書けない漢字をPCやスマホに表示される予測変換で打ってしまったことは無いかい?

 Webで書くお仲間たちなら必ず経験しているはずだ。そう、ここにトラップが隠されている......!


 そろそろしょた丼が言いたいことが分かっただろうか?


 ここで現れるのが、ランキングに残る作品とそうでない作品の差すなわち、思いやりの差だ。


 ここからはより具体的に書いていこうと思う。今回しょた丼が語る基準として、常用漢字表(政府によって発行された2136字の漢字が記された一般社会生活における漢字の使用の目安となる表)を使わせて頂く。


 ちなみに、この2136字というのは漢字検定2級相当、レベルで言えば、大学入試レベル。つまり、極論ではあるが、この表に記されていない漢字を使う作品は、大学生以上の漢字知識がないと読めないもしくは読むのに苦労する作品と言えるわけだ。


 先ほど思いやりの差と言ったが、ランキング外の作品だとこの常用漢字表に載らない漢字を使わないもしくはそれを減らしたり読めるように努力するという当たり前の配慮ができていない作品が非常に多いのだ。(事実、しょた丼の作品もそうである。)


 例を挙げてみよう。「躊躇う」、「囁く」、「叩く」、「昂奮する」、「轢く」、「所謂」、「貰う」......。

 お分かりだろうか? これらの漢字は全て常用漢字表には載っていない、いわゆる【表外漢字】というやつだ。これらの漢字は簡単に予測変換に出てきてしまうからそのまま使ってしまうことも多いだろう。

 だが、大半の読者は読めないのだ。読めないということは調べるもしくは読み飛ばす、最悪の場合はブラウザバック......。お分かりだろうか?

 折角書いた作品もこういう気遣いができていないだけで読者は去ってゆく。

 貴方が『小説家になろう』に空き時間に作品を読みに来た読者だとして、大学レベルの知識がないと読めないような作品をわざわざ調べながら読むだろうか?

 答えは言わなくても分かるよね?


 また、漢字のトラップは表外漢字を避けた先にもある。

 常用漢字表に載っていない読み、そう、【表外読み】だ......!


 要は常用漢字の中でその漢字の持つニュアンスを読みとして昇華させた意読という厄介なものたちである。

 上記の表外漢字に気を遣ったWeb小説作者様でも気付けない第二のトラップとも言えるだろう。


 こちらも例を挙げてみよう。「哀しい」、「漸く」、「暫く」......。


 辛いね。書いててしょた丼の小説は全文書き直しレベルだと痛感しちゃったよ。最近は意識してるんだけどね......。

 さて、上記の文字を見て、見事に使っちゃってた方、貴方の伝えたい「哀しい」という感情が伝わっていない。

 貴方の伝えたい接続詞が伝わっていない。

 ああ......! 大変だ! 読者様はお話の流れが掴めずに離脱しちゃう......。

 なんてことになっているわけだ。


 さて、ここでしょた丼が言いたいこと。


 小説はたしかに作者の知識を存分に発揮できる場である。


 だが、


 知識の品評会に読者は付き合ってくれない!


 変換でたまたま書けた漢字を読者は読めない!


 ......ということだ。


 漢字は平仮名では表せない多くの情報を伝えてくれる代わりに読者を選ぶということも我々作者は忘れてはいけないのだ。

 表外漢字を、表外読みを使ってしまったら......まずは言い換えや平仮名に直すことを意識しよう!

 そしてどうしても使わなくちゃいけないって時はルビを振れ!

 読んでもらいたいのならこの努力を惜しむな!


 要は独りよがりな文を書いてしまっている方が思いのほか多いというわけである。


 だが、ここで問題が出てくる。どれが常用漢字で、どれが表外漢字なのかわかんないし...一々調べてる時間なんて無いって方。


 しょた丼が現在使用してる物を一つ紹介しましょう。



 常用漢字チェッカー

 https://joyokanji.info/



 では最後に......

 今回触れたことは、きっと多くの作者様が心がけていることではあると思うが、同時にランキング圏外の作者様は多くの方が出来ていないことでもある。最初に書いたが、表外か否かにかかわらず、字を打つ時、自分がその漢字を書けるか、その読みを使うかよくよく考えてみてほしい。自分の知識を背伸びする必要なんて全くないんだ。読者はそれを求めていない。今回は基準として常用漢字表を持ち出したが、そこまで詳しく調べる必要なんて実際には無いとしょた丼は思っている。


 ただ一つ意識を変えてみてほしい。自分が日常で使う漢字以上の漢字を使わないようにすると。どうしても使わなきゃいけない時は出来る限りの配慮を忘れないと。


 それだけで格段に読者にとって読みやすい文章となるだろう。


 このエッセイが同じなろうの底辺を漂う仲間たちに届くことを祈って。








誤字報告ありがとうございました。

二箇所適用させて頂きました。

21/1/7

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです! 前々から『いわゆる』を『所謂』と書く方が気になっていました!  漢字の使い方が明治の文豪みたいな方いますよね。『夏目漱石なのかな? 』みたいな。 「そこ漢字にする必要あ…
[一言] 難読漢字を多用されると読むのに疲れるんですよね。 それとともに作者様達に気を付けていただきたいのが、キャラクターの名前の漢字表記ですね、特徴付けのために凝った名前付けられるのはいいのですが、…
[良い点] 配慮。 素敵な言葉ですよね。 文章を、自分本意ではなく読む人のことを考えて、ひらがなにしたりルビを振ったり。 読めない、読みにくい、どういう読みか一度考える必要がある。 そんなとき私は…
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