罪と試練
はじめまして!!
簡潔に前書きさせていただきます。
初投稿&初執筆により、至らない点も多いかと思いますが…
暖かい目で見守ってください!
ここは天使界。天使界は、天使が住んでいる所だ。人間界とは全くと言っていいほど似ても似つかなく、周りが全てふわふわした輪郭を帯びている。ここでは、天使達が人間界について資料をまとめたり、人間を助けたりして過ごしている。
その中でも1番偉いのが大天使だ。5人いて、それぞれ部下をもっている。その中で、ブルームという大天使の所に勤めるどりーむ・じぇりっしゅ・うぃんぐがいた。ふわふわした白い天パロングで、服は人間界でいうチュール素材の白いワンピースを着ていた。ブルームはそのどりーむを溺愛していた。そんなある日、ブルームはどりーむへ書庫の資料を整理してこい、との命令をだした。
どりーむは上司の言いつけで資料を整理していた。
「あ〜あ、整理なんてめんどくさいですぅ…どうしてこんな事しなくちゃいけないんですかねぇ…?」
と一人言をぼやいていたら、そうだ!と思ってまだ未完成である〈整理の魔法〉を発動した。直後、本達が一斉に宙を飛び、本のページにある黒い文字、赤い文字全てが紙から離れてふわっと雲のように消えていく。どりーむは、はっと我に返り、慌ててその魔法を〈魔法よ、消え去れ!ですぅ!〉と言って消した。しかし、そこに残ったのは真っ白になって床に机に散らばった本と床にへなへなと腰を抜かすどりーむだった。
なんの騒ぎか、と他の者が駆けつけた。天使たちは驚いた。真っ白な本が散らばっていて、泣いているどりーむがいたのだから…。その翌日、どりーむは大天使ブルームに呼び出された。わかっていた。とんでもない事をしてしまった、と思っていた。ブルームは、どりーむを見て言った。
「どりーむよ、お主が何をしたかわかっておるな?」
どりーむは落ちこんでいたため、
「はい…ですぅ…」
と元気ない返事をした。ブルームは続けた。
「お主は天使界の大切な書庫の記録を全て消してしまった。しかも、それは私が元に戻そうと試みても全然歯が立たなかった。私に命令され、めんどくさい事をするのが嫌だったのであろう?だからあの魔法を使った。違うか?」
どりーむはびくびくしながら、
「は、はい…そうですぅ…」
と言った。ブルームは少し落ち着いたトーンで続けた。
「人間は必ずミスをする。それは天使にとっても同じと言える。どりーむのしたことは許されんが、次しなければ良いのだ。実はな、先日、他の大天使とお主について話したのだ。処分についてな。」
どりーむはどきどきしていた。怖かった。どんな処分が下されるかわからないからだ。ブルームは続けた。
「他の大天使は羽や魔法を1000年使えなくする刑が最適だ、と言っていた。しかし、どりーむの日頃の行いを私は伝えた。そうしたらどうだ。それなら、こうしよう!と決まったのだ。」
どりーむは頭の中はてなマークでいっぱいだった。
「ブルーム様、こうしよう、とはどう意味なのですかぁ?」
ブルームは答えた。
「その刑は、人間を1人幸せにするまで帰って来るな、という刑罰だ。どうだ?1000年使えなくなるよりこっちの方がずっとましだろう?」
と。どりーむは
「人間1人を幸せに、ですかぁ?随分刑が軽くなりましたねぇ…ブルーム様、ありがとうございますですぅ。」
ブルームは、うむうむと相槌をうち、そしてどりーむの目を見て言った。
「しかしな、どりーむよ。その刑には、羽を取り上げるという事がおまけでついてくる。加え、魔法も使えないという。」
どりーむは驚いた。しかし、自分の蒔いた種だ。自分で何とかしよう!と思い、決意していた。その事をブルームに伝えた。
「ブルーム様、私は自分の犯してしまったミスを深く後悔していますぅ。なので、この刑をうけますぅ。魔法や羽が使えなくたって、すぐに試練を完了して戻ってきますぅ!」
と。ブルームは満足気な笑顔で
「うむ。流石我が部下どりーむよ。それでは、今から試練を行う。おわったらその後人間界へ送ってやろう。準備は…良いな?」
どりーむは、既に笑顔だった。決心した感じにも見えるが、どこか不安そうだった。
「はい!いつでもこい!ですぅ!」
とブルームへ伝えた。ブルームは目を閉じた。その後、どりーむの背中から白い肩幅くらいの羽が消えた。髪色も、魔法が使えない証に黒くなった。容姿に驚いているどりーむに、ブルームは一言言った。
「どりーむよ、早く…戻って来いよ。私も含め、天使達は待っておるからな。」
その声を耳にとらえた直後、目の前が真っ白になった。
そして目が覚めたら人間界の河原…という所に横になっていた。どりーむは魔法を出そうとしても出ない事、髪の毛が黒くなった事、そして羽が無くなったことを再度確認した。しかし、いつまでも落ち込んでいられないですぅ!と思い立ち上がった。その近くで、ため息をついて落ち込んでいる女子高生を見つけた。髪の毛は黒く、顎まであるショートヘアで、前髪は流していた。落ちついている雰囲気の子だったので、この人にしますかねぇ、と思いどりーむは話しかけた。
「こ、こんにちはですぅ。私は怪しいものではないですよぉ。ちょっと、落ち込んでいる気がしたのですぅ。話、聞かせてもらってもいいですかぁ?」
それを聞いた女子は、
「はぁ?初対面でこんなん話せるわけないでしょ。あと、言い方うざい。」
とはっきり言った。人間は見た目によらない、と理解したどりーむは更に話を進めた。
「実はですねぇ、私は…」
と、これまでの経緯を話した。信じてもらえるかはわからなかったが、それでも話しておきたかった。一通り話し終えたどりーむに、女子高生は言った。
「それで?私になにをしてほしいっての?」
どりーむは幸せにしてあげたい、とはっきり伝えた。女子高生は、嫌そうな顔をして言った。
「私はそんな事されなくても生きていけるんで。他当たってください。」
と言ってその場から立ち上がり去っていった。
どりーむはどうしようか考えた後、ブルームへテレパシーを使用した。テレパシーだけは使えるのだ。
「あ、ブルーム様〜!私はあの子を幸せにするべきなのですかぁ?拒否されたんですぅ…」
と言った。ブルームはふむ…なるほど…と言った調子で続けた。
「どりーむよ、私はその女子はお主に最適だと思うぞ。何より、学生というではないか。学生は幸せを求めて生きるのだからな。その女子にするがよい。」
どりーむはわかりました、ありがとうございますですぅ。といってテレパシーをやめた。どりーむは既に決心していた。
そうして翌日観察していると、女子高生は学校でいじめられているということがわかった。
どりーむは考えた。その女子高生をいじめから解放すれば天使界戻れると理解したので、どりーむはその女子高生に再度協力を頼んだ。女子高生は、それなら別にいいけど。としぶしぶ協力を承諾してくれた。
「ねえ、あんたの名前知らない。教えてよ。私は富田実愛。」
「私は、どりーむ・じぇりっしゅ・うぃんぐですぅ。皆どりーむって呼んでいるんですよぉ。」
実愛はとても嫌そうな顔をし、口を開いた。
「は?長すぎ。どりーむって名前とうぃんぐって名前を合わせて…あんた、夢羽って名前のがいいよ。毎回長ったらしい名前なんて言ってらんないから。」
どりーむ…いや、夢羽は驚いた。それよりも、命名してくれたことに関して嬉しかった。
「はい、わかりましたぁ!私は今から夢羽ですぅ!改めて実愛ちゃん、よろしくお願いしますぅ!」
というと、夢羽は手を差し出した。
「べ、別にしょうがないから協力するってだけで。…よろしく。」
2人は固い握手を交わした。
その翌日、夢羽は実愛の学校、都内のとある高校、3年C組へ転入した(ブルームにお願いしてそうしてもらった)。自己紹介は上手く出来た、と思っていた。しかし、本来の役割を忘れてはいけない。そう思って1時間目を過ごした。その後の休み時間、いじめの現場を目撃した。実愛の筆箱の中身をばらまき、机にはカッターで傷つけられたらしい傷跡があった。そこには、ネクラ、キエロ、などの罵詈雑言が刻まれていた。いじめは資料でも見てきたが、これ程にも…と夢羽は思った。夢羽ははっきりと実愛へのいじめを辞めるよういじめの主犯、菅原へ伝えた。
「菅原さん、実愛ちゃんへのいじめやめてくださいですぅ!実愛ちゃんは嫌がってますよぉ!」
菅原は聞く耳持たず。
「は?転入生の癖にそんな口聞かないで。関わらない方がいいよ〜?wwそれに、富田は嬉しそうだからしてあげてるんだよ〜ww邪魔しないで。」と言って、その後実愛への行為はどんどんエスカレートしていった。
どうすればいいのかわからず、1週間が経った頃。ブルームからテレパシーで報告せよ、との連絡がきた。何もしてやれてない事を知られたくなく、夢羽は
「ブルーム様、心配されなくとも順調ですぅ。あと1週間もしたら完了すると思いますよぉ。」と答えてしまう。
(やっちゃいましたぁ…この様子見ていると思うのに、嘘ついちゃいましたぁ…)
と心の中で後悔した。それを察したのか、ブルームは
「ならば期限を1週間とする。できなければ天使の業務を辞めて、空の星になって貰う。」
と言った。それを聞いた夢羽は焦りを覚えた。すぐに夢羽は、実愛に
「実愛ちゃんの幸せってなんですかぁ?」
と聞く。実愛は
「私に幸せなんて訪れない。一つだけわかるのは、死んだ方が幸せ。」
という。毎日酷くなるいじめ、実愛はかなり辛かっただろう。しかし夢羽ははっきり否定した。
「違いますぅ。天使に比べたら人間の命は星の瞬き程ですぅ。そして、死にたいと思う人ほど、本当は生きたいんですぅ!私、夢羽にはわかりますぅ。今までそういう人間を沢山見てきたからわかりますぅ。だからみあちゃん。生きてください!みあちゃんにも、きっといい友達があらわれますぅ!死んだ方が幸せなんて、いつもの…優しいみあちゃんらしくないですぅ!」という。
実愛はぽろぽろと涙を少しずつ零し、夢羽の「大丈夫ですぅ。私がそばにいますぅ。ずっと、みあちゃんのそばに。」の言葉で何かが切れたかのように泣く。それを夢羽はずっと抱きしめていた。
翌日、いつも通りクラスへ。夢羽は心配するが、実愛は
「大丈夫だよ、夢羽。頑張るね。」
という。そしていつも通りの光景。いじめっ子が実愛の所へ来た。ニヤニヤしている。だが、話しかけられても実愛は無視を続けた。啖呵をきったいじめっ子に対し、鼻で笑って言った「いつまでそんな子どもっぽい事やってるの?ねえ、進学や就職に響くって事知っててやってる?これ以上私にいじめをするようなら、貴女達のいく学校にこの事を全部伝えるから。学校中の先生にも。」
その言葉でいじめっ子達は青ざめた。進学に響くなんて思ってもいなかったんだろう。
「もう私に何もしてこない、近づかないのであれば言わない。けど、それを破った時どうなるか…わかるよね?」
と実愛は言った。菅原は、
「は…ははっ…な、何よ…それ…うちがそんな脅しにのるとでも…?なんとでも言えば…?」
と、動揺をみせていた。実愛はそれを聞いてニヤッとした。
「じゃあどうなってもいいということで、ばらすね。もうこの学校にはいられないかもね。」
菅原は更に動揺。冷や汗も浮きでていた。
「え、いや………ごめん。謝るから、もう何もしないから学校にいわないでっっっ!お願い!」
と言うが実愛はそれを聞かずに今までの証拠を全てスマホに記録していたため、すぐに全部添付して送信した。
翌日、実愛と夢羽は最初に会った河原で待ち合わせた。あの菅原達は生徒指導室へ呼び出された。その姿を見たあと、姿を消した。いられなくなったんだ、と実愛は笑顔で言っていた。心無しか、実愛は明るくなっていた。
夢羽はそれを聞いて、安堵した表情を見せた。
「実愛ちゃん、今いじめから解放されて幸せですか?よかったですか?」
実愛は今まで見たことの無い輝いた笑顔で
「うん、ようやく解放されて、学校楽しくなってきた!今の自分がある事がとても幸せだよ!」
と言った。夢羽はそれを聞いて
「そう、ですか…よかったですぅ。」
と悲しそうな声で答えた。
そう、実愛を幸せにするという試練は完了したのだ。夢羽の言葉と同時に、夢羽はキラキラした空気で包まれはじめた。実愛は理解できず、唖然としていた。
「え、夢羽…これ、どういう事?消えちゃうの?」
夢羽は、どんどん浮いていく、離れていく地上と実愛を見ながら答えた。
「いいえ、違いますぅ。私は試練を…刑罰を終えたので、天使界へ帰るんですよぉ。…実愛ちゃんに、夢羽という名前をつけてもらったり、仲良くしてもらって楽しかったですぅ。次…いつ会えるかわかりませんが、私は実愛ちゃんをいつまでも、ずっと天使界から見守っていますぅ。」
実愛は理解できなかった。
「え、なんで…なんで!?せっかく仲良くなれて、これから沢山遊ぼう、一緒にいようって…思ってたのに…なんで…私は、夢羽ともっと一緒にいたいよ!お願い、いかないで!」
と涙声で言った。その瞬間、夢羽の背中に羽らしきものがふわっと浮きでて、翼が元に戻ったのだ。髪色も黒から白く、元の色に戻った。夢羽はそれを確認したら、自分の翼で実愛の元へ降りていった。夢羽も、泣いていた。
「実愛ちゃん…本当に、ごめんなさいですぅ…でも、これが永遠の別れじゃないですよぉ?実愛ちゃんが覚えていれば、私は必ずいますぅ。だから、忘れなければずっと、一緒ですよぉ…。だから、泣かないで…私も…実愛ちゃんとは、離れるの…いやですぅ…すっごく、すっごく嫌ですぅ…天使界になんて、戻らないで…ずっと、人間として…実愛ちゃんの…友達としてすごしたかったですぅ…でも、もう時間ですぅ…今までありがとうございましたぁ。また、逢う日まで、ですぅ。」
その言葉で夢羽はどんどん空の上へ上がっていった。実愛は夢羽を見上げながら
「夢羽!!私も、楽しかった!私こそ、ありがとう!また…また会おうね!!約束だよ!!!」
と大声で、夢羽に聞こえるように言った。
いつしか夢羽は白いキラキラしたものになり、ふわっと雲と同化して消えていった。ただ1人、実愛を残して…。だが、実愛の表情はとても清々しい笑顔で、その瞳は夢羽を信じているかのようだった。
最後までご覧頂きありがとうございました!
如何でしたでしょうか…?
ちょっと分け方がわからず、かなりな長文になってしまいました。申し訳ございません。
今後、反応次第では不定期に書こうと思っております。
今後ともよろしくお願いします( . .)"




