表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/56

第9話

「あら?ヨシュアまた帰っていらしたの?」


悪いかコラ。

ここは一応、俺の家だよな?


お前達が首を長ーくして俺を待っていた俺の実家だよな?

家督を俺が継ぐことが決まった瞬間、態度がでかくなりやがって。調子いい奴等だぜ。


「親父に用事があってな。ヴァンディル家と婚儀の準備の話をしないといけないからな」


「それはそれは素晴らしいわ。くれぐれもあちらのお家の方に失礼のないようにお願い致しますわ。私が恥をかくことになるのですからね?」


ん?コイツは誰かって?

俺の親父の後妻だ。

つまり俺の義理母。


いかにも貴族の後妻って感じ出てるだろ?

コイツ親父の金と地位目当てだからな。

分かりやすいだろ?


「ヨシュア?母を無視するのは、おやめなさい?」


「え?母?どこだソレ?」


おかしいな?俺の母親なんてここには居ないぞ?

お前は親父の女だろ?勘違いしてんじゃねぇぞ?


「ヨシュア!!」


「おーい!親父〜サッサと出て来いや」


「・・・・ヨシュア君・・・いい加減仲良くしてよ。私の奥さんとぉ」


なんだテメェは。

何、扉の隙間に挟まりながら目に涙を浮かべてやがる。


ハッ!いけねぇいけねぇ。今日はちゃんと用事があるんだったな。イラついてる暇はねぇや。


「アイラの親父があんたと話がしたいってよ。その日取りを決めてもらいたい」


「ひ!ヴ、ヴァンディル様と?そ、そんな!私一人であの方と話すなんて無理だよ!!」


・・・・・・頭、痛ぇ。

どんだけ気が弱いんだよ、テメェ親父よ?

プルプル震えんじゃねぇ!いい大人がぁ!!


「シェスタ!貴方そんな情けない事言わないで下さいませ!このお見合いが成功すれば我等エルカディア家の格も上がるのですよ!!なんとしてもヴァンディル家と繋がりを持たなければ!!」


「そんなぁ・・・私は別にそんな事はどうだって・・・平和に過ごせればぁ」


「本当に情けない人ですわね!うんざりしますわ!!」


うん?ああ、気にするな。このやり取りは日常茶飯事だ。

安定の騒がしさだな?オイ。


「今決めないなら自分でヴァンディル家に伝えろよ?俺はちゃんとあんたに伝えたからな?じゃ!」


「待ってヨシュアくぅん!!決める!決めるから君から伝えてぇ!!びえええええ!!」


ウゼェ!本気で泣くな!おまっ!お前は本当に大人なのか?実は俺より年下なんじゃね?年齢詐称してるだろ?


そんで実は俺の本当の親じゃねぇな?

俺は本気でそれを望んでいる。


なんだかなぁ。

この女も災難だな。


エルカディアもそこそこに名の知れた貴族だったけどよ?

親父が継ぐ頃にはその名なんて、あってないような有様だったからな?持つ領土も殆ど回収されて資産も少ないしな。全て親父に才能がない所為だが。


「ヨシュア君。この家継ぐんでしょ?なら騎士なんて辞めてよ」


「あ?こんな家、騎士業の片手間でも充分やりくり出来るわ。俺が普段どんだけ宮廷で仕事してると思ってんだコラ。ここの30倍は仕事の差があるぞ。舐めんな」


「そ、そういう事じゃないなくて・・・」


アーーーーイライラするわぁ。

早いとこ帰ろ。こんな所にずっと居たら俺の健全健康な精神が病みそうだ。まだハイトの隣で震えていた方がマシだわ。


「じゃ、この日取りでいいんだな?伝えておくわ」


「あ!ヨシュア君!」


「あと、サッサと子供作れよ。あの人、若いんだから望めるだろ?そうすりゃあの人が俺に絡む事もなくなるだろ?アイラん家だって領土をじわじわ返還して各領主に分配してる。あんたらの思い通りになんてならねぇぞ?」


あの女に言っても無駄だからなぁ。

アイツ、この国の物を自分の物だと勘違いしている節がある。


「そ、それはいいんだ。そんな事より・・アイラ様とは上手くいっているのかい?」


ああん?


なんだそりゃ?大きなお世話だし、上手くやれてねぇあんたに言われたかねぇな?


「上手くやれてるから話が進んでるんだろが。あんたが失敗しなけりゃ恙無く順調に進むから安心しろや」


「ひぇ!そ、そ、そ、そんなぁ。重圧が・・・」


アーーーー帰ろ。宿舎に帰ってティファに甘いものでもねだろう。珍しく甘い物食べたい。

俺はここ一番で疲れている。


「あ、あと・・・アイラ様はその・・ヨシュア君の事知ってるの?その、姿が・・・・」


・・・・・・・・あ?


「ふ、普通の人間じゃないって、知ってるの?」


・・・・本当に、変わらねぇな。コイツ。


俺の生みの母親も、デズロも、ササラも、ちゃんとあんたに説明しただろうが。


俺はちゃんとした人間なんだよ。


「ハッ!なんだよ?心配してくれてるのか?そりゃどうも?自分で聞いてみたらどうなんだよ?私の息子は化け物ですけどいいんですか?ってよ?」


「ち、違う!そうではなくて・・・・」


「ウゼェ。それ以上口開くんじゃねぇよ。あんたは黙って俺の言う通りヴァンディル家と上手く行くように話を進めてりゃいいんだ。それ以外の事は何もすんじゃねぇ」


あー気分悪くなった。


なんか気分が晴れる事ねぇかな?

とりあえず宿舎にでも帰って、ダメ元でティファに何か無いか聞いてみるか。とか、思ってたんだが・・・・。


「せいせいせいせいせいせーーい!!」


「今日も?今日もなの?」


「もういいんじゃね?俺、あのパリパリな生地も味わいがあって美味しかった。寧ろもう一度あれを味わいたい」


ティファ・・・・お前毎回厨房で暴れるの・・いい加減やめねぇ?


ツッコミ辛ぇよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ