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第8話

「あら?ベロニカ何をしておりますの?」


「きゃ!あ、アイラ。久しぶりね。最近は宿舎に行かないから全然会わないものね」


ええ。貴女こちらに戻って来て暫くは宿舎で働いていたけれど、すぐに他の仕事についてしまわれたものね?


それもこれもお兄様を避けるために。


「もう。無駄な抵抗はおよしになったらいかがです?お兄様絶対に諦めないと思いますが?」


「そ、そんな事ないわよ。そ、それにフィクスなら結婚相手なんて星の数ほどいるでしょう?私に拘る理由はないわ!」


貴方達。カスバールで絶対、何かありましたわよね?


だってお兄様の行動が、行く前よりも帰って来た後の方がその手段を選ばなくなって来ていますもの。


貴女が仰っている星の数程の婚約話をお兄様、華麗にぶった切ってますわよ?ちょっとハイト様を彷彿とさせる勢いですわ。私お兄様を改めて素敵だと思い直しましたわ。

兄はヘタレではなかったですわ。


「ベロニカ・・・お兄様は女性なら誰にでも優しいように見えますが逆ですのよ?どうでもいいから適当にお相手が出来ていたのですわ。それを周りが勝手に勘違いしていただけです。兄もわざわざその事を否定したりしませんでしたのでお兄様は女性に優しいと思われていますが。素を見せる事が出来る女性はティファやベロニカ以外おりませんわ」


「・・・・・・・」


あら?どうしたのでしょう?何故急に黙り込・・・あっ!


「・・・・ティファの事だって。きっとまだ好きなんじゃないかしら・・・・」


やってしまいましたわ。

何故私ティファの名前まで出したのでしょう・・・。

申し訳ありません。お兄様・・・・。


「ベロニカ・・・・お兄様は二人の人間を同時に好きになれるほど器用な方ではありませんわ。本当は分かっているのでは?」


「・・・・無理よ。貴族と結婚なんて無理だわ。私には務まらない・・・・」


あーーーその問題もありましたわね。

あっちもこっちもややこしいですわ。


「では、シンプルな問題だけお尋ねしても?」


「何よ」


「ベロニカはお兄様の事、好きですの?」


これは妹として真面目に聞いておりますわよ?

あの人は私の大事な兄ですから。

もし、本当になんとも思ってらっしゃらないのなら私ベロニカ様にはこのまま逃げ切って頂きたいですわ。

だって、私の兄様が愛のない結婚をするなんて許せませんもの。


「絶対にあの人に言わない?」


「そんな野暮な事は致しませんわ。嘘はなしですわよ?」


何故かティファとベロニカは似ているのですわよね。

だから答えは分かっていますわ。


「・・・好きよ。多分、誰よりも」


そう。そうですの。


「では、私はベロニカの味方になりますわ。貴女がどんな選択をしても、私は貴女の力になります。ですが、労力を使って抵抗するのなら、一度お兄様と向き合って自分が何を求めているのかを考えてみたらいかがでしょう?」


「アイラ?」


「相手や周りの事を考え過ぎるから行き詰まるのです。貴女がお兄様とどうなりたいのか、ベロニカはその事を一度ちゃんと考えるべきですわ。ティファはちゃんと向き合いましたわよ?」


私の場合、周りの事を考えなさ過ぎだといつも説教を受けますが。気にしませんわ!!


「いつまでも怖がっていたら幸せは掴めませんわ。人の一生などあっという間に終わってしまうのです。せっかく寿命が伸びたのですから、自分が幸せになる努力をしてみるのも悪くありませんわよ?」


「・・・貴女って前から思ってたけど、とても強いわよね。実は私達の中で一番強いのでは?」


「そうですわね?でも、私の中で一番強い女性は今のところ私ではありませんわよ?」


一番弱そうに見えて実は一番度胸と覚悟がある方でしたわ。私、本当に驚きましたもの。

・・・セラ様は、本当にお強い方ですわ。


「・・・ああ。そうね。サウジスカルの女性ってなんというか・・・神経図太いわよね?」


「それは褒めていませんわね?あの方も公爵夫人ですので、悪く言うと危険ですわよ?」


まさか、あのギャド様がエルハド様と腹違いの兄弟だったなど考えも致しませんでしたが・・・私その時はハイト様の事で忙しくてお助けする事が出来ませんでしたから。


無事、生き残る事が出来てホッとしておりますわ。

それに、お二人共とても幸せそうでしたわね。


私も、あんな風にヨシュア様となれたら・・・・。


「アイラ?貴女また脱線した妄想を繰り広げてないかしら?人の事より貴方はどうなのよ。ヨシュアと上手く行っているの?」


「いっていたら、こんな場所で貴方に絡んでいないと思うのですけれど?取り敢えずこんなからお兄様を見てないで素直にお会いになられては?」


「だ、だから!私は別にフィクスに会いに来たわけでは・・・」


「俺が、何だって?」


あら。お兄様いつの間に?(ニッコリ)


「・・・・っ違うわ。私は・・ティファに用事が・・・」


「じゃあそれは俺から伝えておく。アイラ、ヨシュア今帰って来たみたいだぞ?(よく足止めしてくれた。流石俺の妹)」


お兄様。顔。顔が緩んでますわ。ちゃんと隠さないと・・・・・。今の話全部聞いてたってバレますわよ?

哀れですわ。ベロニカ。


「では、私はこれで・・・お互い頑張りましょう」


正直私はベロニカが羨ましいですわよ?

貴女は困っているかも知れませんが。私もヨシュア様にそれぐらい必至に追いかけられたいものですわ。

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